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倍音次数と音階の関係01 基本のおさらい

自然倍音と音階との関係

特に金管楽器奏者はみな自然倍音という言葉を知っている。高次の倍音を使って異なる高さの音を発生させることができる。これは周知。
倍音によっては音程が正しくない、よく聞く常套句。(なお、「正しい」とは、A4=約442Hzを基準とした平均律で定義される音高に対して、の意味である。音楽的どうこうは本投稿では一切触れない)
では、第何次の倍音が どのくらい 正確でない:ずれている:高いor低いのか、定量的に可視化して説明されている教則本やサイトは多くない。

こちらのサイトでは「近似音」という言葉を使い「ずれている:高すぎor低すぎ」を図示している。しかし、高いor低いはやはり可視化されていない。

ここはやはりWikipedia、セント単位で数値化されていて完璧である。

こちらのサイトも見やすい。

これで、どの倍音次数が、「平均律音階のど真ん中」から「どのくらい」「高いor低い」かをセントを単位に定量的に示された。

高いor低い、金管楽器目線での解釈

ただし、金管楽器の演奏にどのように実戦応用するかには、とある情報が欠けている。
上述資料は、基音=第1次倍音の音程の平均律よりの差が ゼロ で計算されていること。

つまり、音程が高すぎor低すぎる倍音次数、具体的には第7,11,13,14倍音も、基音の音程をとても高くすればor低くすれば正しい音程にできる。例えば、基音を31セント高くすれば、第7,14次倍音は正しい音程になる。
典型例はテナートロンボーン奏者が第3ポジションよりちょっと手前:管長が短くなり基音音程が高くなる側:にして実音Fisを第7次倍音で演奏することだ。同じテノールB管でもバルブシステムのホルンやユーフォニアムではその管長を形成することができないため、より長い管長(運指B23)として第8次倍音を使うしかない。

とはいえ。

実際の金管楽器はスライドをより多く抜き基音を低くすることはできても、スライドを目一杯入れる「入れ代」はほとんどない。トランペット等のソプラノB♭管なら数mm、ホルンユーフォニアム等のテノールB♭でも5~10mm、チューバ等のコントラバスB♭でも数cmしかない。これらは約10セントでしかない。トロンボーンのような「入れ代:縮め代」が残っているスライドを使うか、基音が高くなるような追加スライド長の組み合わせ(例えば123)を使うか、となり限られる。
(なお、バルブスライド13は 約 +18.4セント、123は約+41.1セント、であり、策はある。いずれ詳しく書きたい)

いっぽう、もう半音低い音を基準にして「***高い」と解釈すれば、トリガー操作・ホルンの右手操作等によって基音の音程を下げれば、正しい音程を得られる可能性が出てくる。
例えば、第7倍音は約69セント高い「ラ」と認識解釈すれば、管長を長くして基音を下げれば、正確な「ラ」の音程を得ることができる。同様に、第11倍音が 48.7セント低い「ファ#」とは、51.3セント高い「ファ」 である。
同様に、第13倍音が 59.5セント低い「ラ」とは、40.5セント高い「ソ#/ラ♭」である。

可視化

既存の数値表に対して「高い側」「低い側」を併記するとこうなる。

自然倍音と平均律からのズレ

それを五線譜で書き直すとこうなる。「棒」が下側なら低め/上側なら高めを意味する。符尾が多いほど高いor低いの程度が大きいことを示す。

自然倍音列 第7,11,13,14次の表現見直し

第7倍音で正確な音程をシ♭を得るために、基音を31.17セント高く(管長を短く)した状態の数値表はこうなる。これが、トロンボーン奏者が実音上のFisを3ポジより手前/実音上のGを2ポジより手前で演奏している状態である。

自然倍音と平均律からのズレ 基音を31.17セント高くした場合

それを五線譜で書き直すとこうなる。(工事中)

基音を68.83セント低く(管長を長く)した状態の数値表はこうなる。トロンボーン奏者が実音上のFisを2ポジよりかなり遠く/実音上のGを1ポジよりかなり遠くで演奏している状態である。物理的には同じである。

自然倍音と平均律からのズレ 基音を68.83セント低くした場合

それを五線譜で書き直すとこうなる。(工事中)

同じことは第11、13倍音にも言える。両者のズレが約50セントなので、+54セントした場合を示す。第11倍音は「ファ#」に、第13倍音は「ラ」になる。

自然倍音と平均律からのズレ 基音を54セント高くした場合

同じことは第11、13倍音にも言える。両者のズレが約50セントなので、-46セントした場合を示す。第11倍音は「ファ♮」に、第13倍音は「ラ♭」になる。

自然倍音と平均律からのズレ 基音を46セント低くした場合

なお、上記の数値表:基音=第1次倍音が何セント高いor低いを設定できる計算はグーグルスプレッドシートでつくったので公開する。色付きセルにセント数を設定する。通例だとほぼ無条件に忌避されてきた7,11,13,14倍音も「使い物になる可能性は十分にある」ことが見えてくる。

(余談だが、高校生の頃は関数電卓で一つ一つ作ってた、懐かしい)

これら数値表を倍音列を五線譜に書いてみると、より実感できる。楽譜作成ソフトでなくても手書きで十分。

以上を組み合わせれば、「基本管長=基音の周波数」 X 「倍音次数」 の選択肢がぐっと広がる。総当りしてもせいぜい数百通りなので現物で試すことは十分現実的である。
音程が悪い:高すぎor低すぎ:ので使い物にならないと捨てていた運指、倍音次数が使い物になりえるのである。
とはいえ完全汎用表現すると広大となるので、いずれ特定の倍音次数をクローズアップして取り上げたいと思う。

何十もキーのある木管楽器に比べたら、たかだか数百通り。

2022-10-29

参考サイト


以上


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