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初めての国際学会への投稿。初めての査読つき。

2022年度は初めての国際学会への投稿と査読を経験したので、今日はその振り返りというか備忘録を書こうと思います。

投稿した学会(ISLS)について

投稿した国際学会はInternational Society of the Learning Sciences(国際学習科学会, 略称 ISLS)という国際学会で、今年6月にモントリオールで行われるAnnual Meetingでのポスター発表の原稿を出しました。

ISLSは、学際的な学習科学研究の促進、学術的な研究成果の共有、学術的なコミュニティの構築、若手研究者の支援、そして学習科学分野の発展をなどを目的としていて、年次総会や研究会、ジャーナルの出版、などの活動を通じて、学習科学分野の研究者や教育実践者、技術者、政策立案者などを結びつける役割を持っています。ISLSは、世界中の学術研究者によって構成され、学際的な学習科学における理論と実践の両方を統合することに焦点を当てています。学習科学に関する幅広い分野の専門家が参加し、共同で研究を進め、知識の共有と発展を促進しています。

ISLS公式ホームページ「About ISLS」の冒頭をDeepLで和訳したもの

ちなみに、学習科学はもともと北米で始まった学問領域ということもあり、やはりその研究の中心は北米になっています。2023年4月現在、日本に学習科学の学会はないですが、日本教育工学会のSIG活動(Special Interest Group=特定のテーマに興味・関心を持つ会員が形成して行うグループ活動)として「協調学習・学習科学(SIG-CL)」のグループがあり、The Leaning Siences JapanとしてISLSのアフィリエートになっています。(詳しくはこちらを参照→https://sites.google.com/view/jsetsig06/

話を戻すと、ISLSが毎年行っている一番大きな研究大会がAnnual Meeting(年次総会)です。過去3年間はコロナの影響でバーチャルカンファレンスだったので、久しぶりの対面プログラムでの開催(ハイブリッド)となっていて、世界中から学習科学研究者が集まります。

Annual MeetingのCall for papers(論文投稿募集のアナウンス)についての詳細は割愛しますが、ICLS(the Learning Sciences)とCSCL( Computer-Supported Collaborative Learning)の二種類のカテゴリーがあり、それぞれ以下のような3つの種別があります。

Full Research Papers (8 pages): Full papers are for mature work, requiring lengthy explanations of the conceptual background, methodology and data and analysis.
Short Research Papers (4 pages): Short papers are for work that makes significant contributions, but that is still in progress, of smaller scale, or that can be reported briefly.
Research Posters (2 pages): present work in early stages and for novel and promising ideas. The two-page paper should also identify the aspect of the work that will likely lead to productive discussions with conference participants in a poster session, including figures exemplifying the visual support to be provided for these discussions in the actual poster.

ISLS 2023 Call for papers

私は今回は3つ目のResearch Posters(2 pages)の投稿にチャレンジしました。参考に数年前のものにはなりますが以下の動画を見たところ、ポスターの採択率が20%くらい?みたいな話がでていました。

LS Japan HPより

採択率は学会によっても本当に様々で、そもそもポスター発表については査読自体がない学会もあったりします。そういう意味では、最初に挑む国際学会がISLSというのはかなりハードモードだった気がするのですが(今更)、そこは指導教員の方針もあり背伸びして頑張りました。。

結果通知までのざっくりスケジュール

Call for papers→提出完了→結果通知までのスケジュールはこんな感じ。

2022年:
9月19日  First Call for papers → まずは日本語で原稿執筆開始!
10月26日 締め切り延長のお知らせが届く。(元々の締め切りが11月4日で、延長後の締め切りが11月21日。最終的には22日まで延長された)
10月31日 英文校正 1回目 → 11月3日 納品
11月15日 英文校正2回目 → 11月16日 納品
11月22日 原稿提出完了!!

2023年:
2月28日 査読結果通知メール(元々の結果通知の予定日は2月6日だったけど、その後21日まで延長になり、最終的に届いたのは28日でした)

なんとか提出できた瞬間・・・!

初めての英語原稿だったので、たったの2ページですが本当に苦戦し、何とかギリギリに提出しました。

査読結果は・・・

上にも書いた通り、元々の結果通知が2月6日の予定だったところ、最終的には28日まで延びたので若干待ち疲れた感がありながらも、ドキドキしながらメールを開封してみると、「We regret to inform you that your submission has not been accepted for the ICLS 2023 conference.」の文字。結果は残念ながら不採択でした。

査読は3名のレビュワーと1名のメタレビュワーによって行われ、いくつかの観点ごとにスコアが付けられ、それをもとに総合スコアがつけられます。
そして、それぞれのレビュワーが各項目ごとにスコアと合わせてコメントもつけてくれています。採択されなくてもこのようにフィードバックがもらえるのは、査読つきに出す大きなメリットだなと感じました。
また、同じ項目でも結構厳しいコメントを書いている方とポジティブな方が両方いたりと、査読者によってかなりスコアの付け方に差があるのも面白かった。研究者として何を大事にしているのか、どのようなバックグラウンドの研究者なのかなどが評価をつけるときに反映されるんだなということがわかったのも面白かった。

2/3のレビュワーが総合判定でAcceptを出してくれていたことや、テーマについては評価してもらえたことがわかってそこはよかったポイントでした。というわけで、この経験を次にいかしてこれからも頑張ります!

方向性は良さそうってことで・・・

ちなみに、不採択だったけどこの原稿があったからこそその内容をもとにしながら先日初めての英語での研究発表ができて海外の研究者からもコメントがもらえたし、なんだかんだで結果的にはモントリオールにも行くことにはなったので、やはりとにもかくにも様々な意味において挑戦してよかったのであります。


おまけ:使った英文校正サービス

今回英文校正は、Editageさんのサービスを使いました。

プレミアム英文校正にしたのですが、スムーズ&丁寧に校正していただけたし、追加サービスで「学術英語スキルアップ実践ガイド」を付けてくれるようなプランがあったのでそれにしたところ、私はアカデミックライティングの知識が全然なかったので勉強になりました。
ただ英文校正サービスについては比較検討したわけではないので、もしおすすめなどの情報お持ちの方がいたらぜひ教えていただけると嬉しいです。

ではでは

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