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あるお姫様の肖像

昔話に出てくるようなお姫様。



ヴィットーリア・デッレ・ローヴェレ。ウルビーノ公国最後の末裔です。前回ご紹介したグイドバルドの曾孫で、メディチ家の親戚にも当たります。



ウルビーノ公国は男性しか跡を継ぐことができませんでした。しかし彼女の代、嫡子が生まれなかったために公国は教皇庁の手に渡る危機を迎えます。幸い、予めメディチ家とウルビーノ公国を合併する事で安泰を図る話が進んでいたため、ヴィットーリアと将来のトスカーナ大公との間に婚約が交わされました。


わずか2歳の時にフェルディナンド・デ・メディチ(2世)と婚約。12歳の時に結婚します。

彼女は父親が亡くなった時、メディチ家出身の母親と共にフィレンツェに移り住んだため、彼とは幼馴染でもありました。


この肖像画はなんと彼女が2歳の時に描かれたものです。豪華というだけでなく、今でもキッズ・ファッション誌の表紙を飾りそうな風格です。


繊細かつ豪華


真紅の絹に銀の刺繍。スカート、マントの縁、袖などに繊細に施されています。左胸には大ぶりの十字架のブローチ、5連のパール、珊瑚のブレスレットなど豪華絢爛です。裏地にはイタチのファーも。しかも犬にも彼女のファッションに合わせて珊瑚の首輪がつけられています。当時珊瑚は魔除けの効果があると信じられていたため、お子さんによくつけられていました。それにしても両手と犬にもつけさせるなんて、親御さんの強い願いが伺えます。


ヴィットーリアが結婚する前、ウルビーノにあった芸術品や宝飾品がフィレンツェに運ばれてきます。輿入れの際に持ってくる持参金としてです。そのおかげでフィレンツェには前回ご紹介したラファエッロ、ティツィアーノなどの名作が揃っています。


ウフィツィ美術館にいらっしゃる時の参考になさってみて下さい。


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