フィレンツェ歩き ここだけの話

フィレンツェ、シエナ県公認ガイド。日本の大学で学んだイタリア美術好きが高じて、イタリア…

フィレンツェ歩き ここだけの話

フィレンツェ、シエナ県公認ガイド。日本の大学で学んだイタリア美術好きが高じて、イタリアへ留学。気づいたらイタリア居残り部15年目。 自分の目から見たフィレンツェ、美術の解釈、美味しいものを発信します。

最近の記事

フィレンツェサッカー

フィレンツェの伝統行事の一つにフィレンツェサッカーがあります。 起源は1530年。 この時フィレンツェはヨーロッパで力を振るっていた神聖ローマ皇帝カルロス5世の軍に囲まれていました。そのため外からの物資が途絶え、フィレンツェの人達は飢えに苦しんでいました。 そんな中、自分たちの恐ろしさをスペイン軍に見せつけて、追い払おうという考えが生まれます。54人のフィレンツェの貴族たちがサンタ・クローチェ教会前の広場に集まり、アグレッシブなサッカーを見せつけます。手も使い、乱闘も行う

    • 「ロミオとジュリエット」の展覧会

      ゼフィレッリ監督の映画「ロミオとジュリエット」の展覧会に行ってきました。映画の中で俳優たちが着ていた衣装の公開です。 ゼフィレッリ監督はフィレンツェ出身の映画、舞台監督だった人で、彼の作品は日本でも多く公開されました。「尼僧の恋」「オテロ」「ムッソリーニとお茶を」「永遠のマリア・カラス」などご存じの方も多いと思います。 中でも「ロミオとジュリエット」は私の中で印象に残っているので、見に行きました。 まだ私が高校生くらいだった時にテレビで映画を見て、異国の時代衣装や風習、町

      • 赤ワインとチョコ

        まだイタリアではヴァレンタイン週間と言われているので、チョコレートに関わる話題を。 14日、チョコレートケーキでも焼こうと思い立ち作ったのがこちら。 「酔っぱらい」という赤ワインを入れたケーキです。チョコと赤ワインは相性抜群。ダークチョコとフルボディータイプの赤という組み合わせで嗜むこともあります。 本当はこのケーキ、ワインのブドウを収穫する時に作るそうですが、恋人同士が酔いしれるヴァレンタインにもいいと思います。 私が昔から愛用しているレシピはバター、粉砂糖、カカオ

        • 今週でカーニバル期間も終わり

          2月13日で17日間続いたカーニバルも終わりを迎えました。水曜から節制期間が始まり、18日日曜のクアレーズィマ(イースターの40日前の日曜日)から本格的な自粛期間に入ります。キリスト教の教義上お肉や楽しみ事は禁止です。 それはキリストが人類の罪を背負って十字架に貼り付けられて亡くなった後、天の王として復活する日に備えるためです。 その40日の自粛期間に入る前に、たくさん楽しんで、美味しいものもたっぷり食べておく期間がカーニバルです。カーニバルはラテン語の「お肉を消す」とい

          あるお姫様の肖像

          昔話に出てくるようなお姫様。 ヴィットーリア・デッレ・ローヴェレ。ウルビーノ公国最後の末裔です。前回ご紹介したグイドバルドの曾孫で、メディチ家の親戚にも当たります。 ウルビーノ公国は男性しか跡を継ぐことができませんでした。しかし彼女の代、嫡子が生まれなかったために公国は教皇庁の手に渡る危機を迎えます。幸い、予めメディチ家とウルビーノ公国を合併する事で安泰を図る話が進んでいたため、ヴィットーリアと将来のトスカーナ大公との間に婚約が交わされました。 わずか2歳の時にフェルデ

          とってもすてきなラビオリとクッキーの型を発見。食卓が華やかになりそう。

          とってもすてきなラビオリとクッキーの型を発見。食卓が華やかになりそう。

          ウルビーノのヴィーナス

          もう一つ、ウルビーノ公縁の作品を。 前回ご紹介したイドバルドとエリザベッタの後の世代に、グイドバルド・デッレ・ローヴェレという青年がいました。ウルビーノ公の跡継ぎとなる青年です。 彼は20歳の時、ローマの名家オルシーニ家の女性に恋をします。しかしウルビーノ公国の君主となる彼が自由恋愛をできる訳がありませんでした。当時、結婚は家同士の契約であり、恋愛結婚はあり得なかったからです。特に貴族や君主の一族となると、家や国益を考えて縁談を結ばなければいけませんでした。そのため父親は

          中央郵便局に行ったら素敵な記念切手を発見。こんな切手でおてがみをイタリアからもらったら嬉しい。

          中央郵便局に行ったら素敵な記念切手を発見。こんな切手でおてがみをイタリアからもらったら嬉しい。

          今朝の朝食、リコッタクリームのブリオッシュ。カスタードクリーム入がなかったので代わりに食べたら、美味しかった。

          今朝の朝食、リコッタクリームのブリオッシュ。カスタードクリーム入がなかったので代わりに食べたら、美味しかった。

          ウルビーノ公の物語

          フィレンツェ、シエナ県公認ガイドの佐藤由佳です。 もう一組のルネッサンス期の夫婦について。 先日取り上げた「ドーニ夫妻の肖像画」と同じ部屋に、ラファエロが手掛けたもう一組の夫婦の肖像画があります。 「グイドバルド・ダ・モンテフェルトロとエリザベッタ・ゴンザーガの肖像」です。 この二人はフィレンツェから北東に180キロほど離れたところにあったウルビーノ公国の君主でした。彼らの宮廷もルネッサンス文化が花開き、洗練された芸術、文学、ファッションなどが広がります。特に奥さんは

          ウフィツィ美術館で結婚祝い

          フィレンツェ、シエナ県公認ガイドの佐藤由佳です。 今日は毎年1月31日に行われる催しについてご紹介します。 この日にウフィツィ美術館を訪れたカップル(恋人同士も含む)は、一人分のチケット代で入場できます。それは520年前の1月31日に結婚した、あるフィレンツェの夫婦を記念してです。 高級毛織物の輸出で財を成したドーニ家のアーニョロと銀行業で成功を収めていたストロッツィ家のマッダレーナのお祝いです。 二人の華やかな衣装や宝石を見れば、彼らが名家の出身というだけでなく、美

          ウフィツィ美術館で結婚祝い

          道端で私達に語りかける記憶

          フィレンツェ、シエナ県公認ガイドの佐藤由佳です。 今日は先日のブログでふれた、記憶の日に関連するモニュメントについて。 フィレンツェだけでなく、他のヨーロッパの街でも見かける、石畳にはめられた小さなプレート。 これらはストルパーシュタイン: つまづきの石と呼ばれ、主にナチスの迫害にあった人々が住んでいた家の前にあります。隠れ住んでいた人もしくは監禁されていた人たちです。プレートの表面には住んでいた人の名前、生年月日、連行された日、収容所、死亡日などが記されています。

          道端で私達に語りかける記憶

          戦争の記憶

          1日過ぎてしまったのですけど イタリアで1月27日は記憶の日という大切な記念日です。1945年1月27日、ウクライナに派遣されていたソビエト軍がアウシュビッツ強制収容所を発見し、囚われていた人たちを開放した日だからです。 ユダヤ人だけでなく彼らを庇って迫害されたり命を奪われた人も忘れないため、2000年7月20日にイタリア議会で認定されました。その5年後国連でも公式の記念日としています。 毎年この日にはドキュメンタリー番組が放送されたり、各街で式典が行われたりします。

          辰年だから竜が描かれた作品を

          もう年が明けて20日も経ってしまいましたが、山田五郎さんのアイデアを拝借して、辰年に因んでドラゴンが表されたフィレンツェの作品を取り上げます。 ドナテッロ 「聖ゲオルギウス」 1417年頃 バルジェッロ美術館 今回取り上げるのは土台のレリーフ。 残念ながら西洋ではドラゴンは悪魔や異教のシンボルで、美術では聖人や天使に退治される役です。山田さんが取り上げた作品も、聖ゲオルギウスが竜を退治するものでした😅 この彫刻は武具の組合がドナテッロに依頼したものです。聖ゲオルギウス

          辰年だから竜が描かれた作品を

          イタリア在住者のおうちごはん

          久しぶりに家でゆっくり料理をして過ごしました。随分自分のために好きなものを丁寧に作るということをしていなかったので、天気が良かったけどお籠りの日に。朝に合わせるワインを買いに行く以外はのんびりとしていました。 最初は何が食べたいのか思いつかないくらいだったのですが、オッソ・ブーコが大好きなことを思い出しました。ミラノ風にサフランのリゾットとと思いきや、冷蔵庫にあったトマト缶をうまく使いたくてフィレンツェ風に。プリモ(ファースト)のリゾットは好物のカボチャ味にしました。旬の味

          イタリア在住者のおうちごはん

          バルジェッロ美術館に加わった作品

          ドナテッロ 「ピエトラピアーナ通りの聖母子」 1454年頃 バルジェッロ美術館 名前の通り、フィレンツェのピエトラピアーナ通りにありました。個人蔵でしたが、2年前120万ユーロ(1億9千万円相当)で国家が買い上げ、長い手続きを経て先月からバルジェッロ美術館のドナテッロの間で公開されています。 向かって左にいる聖母が幼子イエスを見つめ、支えるドナテッロの構図は彼だけでなく、多くの芸術家にも模倣されました。ゴシックの女性的なしっとりとした線とルネッサンスの量感を融合させたドナ

          バルジェッロ美術館に加わった作品