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ウルビーノのヴィーナス

もう一つ、ウルビーノ公縁の作品を。



ティツィアーノ・ヴィチェッリオ 「ウルビーノのヴィーナス」 1538年 ウフィツィ美術館蔵


前回ご紹介したイドバルドとエリザベッタの後の世代に、グイドバルド・デッレ・ローヴェレという青年がいました。ウルビーノ公の跡継ぎとなる青年です。




彼は20歳の時、ローマの名家オルシーニ家の女性に恋をします。しかしウルビーノ公国の君主となる彼が自由恋愛をできる訳がありませんでした。当時、結婚は家同士の契約であり、恋愛結婚はあり得なかったからです。特に貴族や君主の一族となると、家や国益を考えて縁談を結ばなければいけませんでした。そのため父親は断固として息子の恋路を阻止し、隣の国の姫と結婚させます。


結婚をしたものの、奥さんとなった人はまだ13歳。遊びたい盛りです。しかもお世継ぎのことも考えないといけないのに、中々先に進みません。そこでグイドバルドは結婚生活が上手くいくよう、ティツィアーノに奥さんへの教訓画を依頼します。


愛情、美、多産のシンボルとして、結婚を機にルネッサンスの時代によく描かれたヴィーナス。数あるヴィーナス像の中でも群を抜いています。恥じらいながら向けた蠱惑的な目線、手を伸ばしたくなるようなしっとりした肌。ティツィアーノならではのじんわりとした色気が漂う作品です。


ウフィツィ美術館にいらした時の参考になさってみて下さい。




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