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ウルビーノ公の物語

フィレンツェ、シエナ県公認ガイドの佐藤由佳です。

もう一組のルネッサンス期の夫婦について。


先日取り上げた「ドーニ夫妻の肖像画」と同じ部屋に、ラファエロが手掛けたもう一組の夫婦の肖像画があります。


ラファエッロ「ウルビーノ公夫婦の肖像」 1502-4年頃 ウフィツィ美術館蔵

「グイドバルド・ダ・モンテフェルトロとエリザベッタ・ゴンザーガの肖像」です。


この二人はフィレンツェから北東に180キロほど離れたところにあったウルビーノ公国の君主でした。彼らの宮廷もルネッサンス文化が花開き、洗練された芸術、文学、ファッションなどが広がります。特に奥さんは芸術に強い関心を持ち、その教養から時の有名なルネッサンス文化の研究者バルダッサーレ・カスティリオーネに「完璧な宮廷の女性」と称賛されたほどです。


ドーニ夫妻と同じく、ウルビーノ公夫婦の衣装も素晴らしいです。

グイドバルドの服には当時流行していたビロードのゆったりとした衣装に金の刺繍が施されています。彼の衣装を見る度に、黒ほど品性や上質さがはっきりする色はないと感じさせられます。


エリザベッタのドレスも黒を基調とした布に金と銀が織り込まれており、襟ぐりには金糸でアラブの文字が刺繍されています。サラリとかけられたシンプルな金のネックレスもおしゃれです。


二人はお子さんができなかったにも関わらず、奥さんは離婚をしようとしませんでした。当時跡取りができない場合、離婚をすることができたにも関わらずです。それは二人が芸術への興味を通した絆で繋がっていたためと言われます。


共通の趣味で繋がった夫婦の物語でした。


ウフィツィ美術館にいらした時の参考になさってみて下さい。

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