奈良軍政府について

大戦後、奈良にやってきた進駐軍は奈良軍政府と呼称する。
場所は奈良市高畑町、かつて日本の歩兵連隊がいたところだ。
アメリカの第25歩兵師団で構成されており、司令部の下に10課(セクション)を置く。
経済、法律、福祉、教育、衛生、労働、情報、農業、食品、運営。

町の案内板を英語表記に変更し、三条通りにカフェや食品店を置き、県内各所へジープに乗った将校が行く。
家族を伴って来日している者も多く、彼らの子供が通うスクールバスも走っていた。

記録を見る限り、奈良県民はかつての敵と割と友好的だったようだ。
それを事勿れ主義と捉えるか、度量が深いと捉えるかは、やはり人それぞれだろう。
第一、人の心は一つではない。
複雑で、相反する感情が同居してしまうものだ。
残された写真では、米兵と並んでにこやかな人達がいる。
それを見て、どう解釈するかは人それぞれ。
私が歴史は不確実とする理由のひとつが、ここにある。

参考文献
奈良軍政府
進駐軍と奈良
(どちらも奈良県立図書情報館より)

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