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シミュレーションかシュミレーションか。なぜうろ覚え(うる覚え?)のままなのか。

うろ覚えで、いざ発音する時に自信を持って言えない。そんな言葉はどうして存在するのか。

そもそもこの「うろ覚え」もそう。友人で「うる覚え」と言う人がいて驚いたこともある。

スマホやPCでの「予測変換」が学習機会を奪う

最近は、多少怪しい入力をしても、Google先生が「それって、もしかしてこのこと……?」「ひょっとして、あなた、こう言いたいのでは?」みたいに自動変換してくれちゃう。だから、学習する機会がないし、忘れていても恥をかかない。ところが、いざ、口に出そうとするとしっかり言えないのだ。

今日、友人との間で話題になったのが「ホメオスタシス」例えば、この言葉を打つ時「ほめ」だけで出てきた。予測変換の中にあったのだ。だから「ホメオスタシス」なのか「ホメオタシス」なのか「ホメスタシス」なのか、おぼろげな記憶になったままだ。「ホメ」しかあっていないけど、出て来ちゃう。これが危険だ。そもそもこの言葉は「褒め」とは関係ないから、発音する時に、変なところで切っちゃう危険性もある(笑)

このように、スマホやPCでの「予測変換」がワナということも多い。

外来語は語源をしらない場合に混乱する

このタイプで有名なのが、シミュレーションとシュミレーション。ちなみに予測変換では、両方のかたかな表記が出てくる。試しに、正しくシミュレーションと全文字打つと、英語の「simulation」も変換できるが、間違えてシュミレーションと打つと、候補には、かなり無理っぽい「趣味レーション」などが出てくるので、ここでやっと間違いだと気づく。

そもそも simulant (シミュラント)には、「真似」「模倣」という意味がある。この言葉を知っていれば「シュミ」にはならない。

大人になると、誰も誤りを修正してくれない

子どもに対しては「それ、間違えて覚えているよ」と言えても、大人にはなかなか言えない。しかも、話題が違う方に行ってしまう危険性がある。

私の妹がデイサービスのことをずっと「ディーサービス」とLINEで打っていた。内容は介護の相談なので、深刻だ。気になっていても修正できない。ところが先日、母が「これって、イは大きい字よね?」と素朴な疑問を私たち姉妹に投げかけてきた。普段は話の流れ的にそこを指摘するわけにはいかない雰囲気だが、この時は「チャンス!」とばかりに「そうね。イが小さいとアルファベットの『D』になっちゃう」と発言。妹は「ずっと『ディー』だと思ってたー」となり、笑い話に落ち着いた。良かった、深刻な話の時じゃなくて(笑)

私は、文章指導もしているので、友人だろうがなんだろうが、言葉の誤りはその場で極力指摘するようにしている。

「これ、食べれる?」
「食べ『ら』れるだよね」

「もうこれって、いぞんしょうじゃない?」
「それ、本来は『いそん』だったんだよ」

「汚名挽回しなくちゃ」
「『汚名』を『挽回』してどうするの『返上』だよ」

もうほんとに、話の腰を折ることこの上ない(笑)
でも「あの時、修正してくれてよかったー。この前会議でね……」
みたいな後日談を聞かせてくれる人もいる。
いわゆる「恥をかかずに済んだ」報告。

いえいえ、私、これ、仕事なんで。
仕事と言えば、その辺の怪しい言葉をまとめて、昔、主婦の友社のotona saloneで記事にしたこともある。

1・振りまくのは「愛想(あいそ)」と「愛敬(あいきょう)」どっち?
2・卒業前の大学生と雇用契約を結ぶのは「青田買い」「青田刈り」どっち?
3・すくうのは「足元」と「足」どっち?
4・怒りは、心頭に「達す」と「発す」どっち?
5・正しいのは「うる覚え」と「うろ覚え」どっち?
6・「極めつけ」、「極みつき」どっち?
7・まじめな表情。「しかめつらしい」「しかつめらしい」どっち?
8・「新規」に続く言葉は「蒔き直し」「巻き返し」どっち?
9・相談するきっかけがつかめない場合は「取り付く島もない」「取り付く暇もない」どっち?
10・間は「持てない」「持たない」どっち?

下記記事より

この機会にしっかり覚えなおしたい!という人は解説付きの私の記事を読んでね。解説を読めば納得。二度と間違えない……と思う(笑)


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