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この春休み高校生に読んでほしい一冊

尊敬する出口治明先生が、Facebookで「おもしろい!」とだけ書いた投稿をされていた。

おもしろい!

Posted by 出口 治明 on Tuesday, April 2, 2024

出口先生がおっしゃるなら、絶対。即購入。

なぜ脳は存在するのか、僕らはなぜこんなに大きな脳を持ってしまったのか、時間はなぜ存在するのか、この世界は現実なのか、人工知能にとって人間とはなにか、私とはなにか
――数々の問いを巡らせていくと、全てがつながり、思いもよらない答えを導く。
人気脳研究学者である著者が、3日間にわたっておこなった感動の講義録。

Amazon本の紹介文より

本当に、面白い。まだ今年は4か月しか経っていないけれど、今年一番面白い。高校生相手の講義録だが、ただの文字起こしじゃなくて、きちんと分かりやすいように編集してあるので、読み上げソフトでも全然ついていける。そして、まるで講義を受けている気分になってくる。

この本は672ページもあって、まだ115ページぐらいしか読めていないけれど、雰囲気は、まるで哲学書のようだ。

人はなぜ感じるのか、なぜ自分が見ているものが現実だとわかるのか、脳のメカニズムから迫るパターンと、そもそもその「感じる」「分かる」ってどういうことだろうという面から迫るパターン、両方のアプローチで見えてくる世界が、本当に興味深い。そして、神と科学との境界のような融合のような話も出てくる。

数々の実験の話も登場して、高校生にぜひとも読んでもらいたい「考え方の考え方」のような講義になっている。講義と言っても、高校生との対話部分が多く、私が高校生だったら絶対にこの講義を聞きたかった!という内容だ。

中でも興味深かったのは、ネズミの脳に磁気センサーを移植し「磁気感覚」を作り出すことに成功した実験の話。記事があった。

簡単に言うと、スマホは地磁気チップが入っているので、アプリは方角を判断できる。そのチップをネズミに移植したら、ネズミが方位が分かるようになったという実験。チップを外しても、学習した方位はネズミの脳に残るという。すご。

私は、極度の方向音痴だけど、絶対方角感覚は、もともと人間が太古の昔に持っていたかもしれない感覚だと私は思っている。そういう失われた感覚をAIの力を借りて一時的に復活させられたら、私の方向音痴も治るかもしれない(笑)ちなみに、私はほとんどの人が持っていない絶対音感は持っている(笑)

そこで思い出したのが、このTED

世界では約7千の言語が使われており、それぞれに異なる音、語彙、構造を持っています。でも、言語は私たちの考え方に影響するのでしょうか?認知科学者のレラ・ボロディツキーが、左右の代わりに方角を使うオーストラリアに住むアボリジニの言葉や、青を複数の語で言い分けるロシア語といった様々な事例を紹介し、この問いへの答えがイエスであることを示します。ボロディツキーは言います。「言語の多様性が素晴らしいのは、人の心がいかに巧みで柔軟かを明らかにするからです。人間の精神は認知的な宇宙を1つではなく、7千も生み出してきたのです」

デジタルキャストの紹介文より

このTEDの中に登場する「左右の代わりに方角を使うアボリジニ」の例がすごい。普通私たち日本人は、時系列のあるものは、左から右へ並べる(日本史の年表は逆だが)1,2,3,4,5のカードを小さい順に並べろと言われたら、左から順番に並べるはずだ。これが、アラビア語のように右から左に書く文化の国では、右から左に並べる。ここまでは理解できる。
ところが、オーストラリアに住むアボリジニの場合、東から西に並べる。人がどちらを向いていようと、東から西に並べるそうだ。もう、これは私たちには分からない感覚。もし同じようにしろと言われたら、方位磁石を持っていないといけない。でも、この人たちは頭の中にこのセンサーがあるのかもしれないと思ったわけ。

そんな感じで、とてもワクワクしながらこの本を読んでいる。残りも楽しみ!


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