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お父さんだってさみしいよ……という認知症の父

認知症気味(未診断)の父が急性胆管炎で入院していた。胆管炎の症状が治まり、手術する必要もないということになり、元気になったので、10月20日に退院予定だった。ところがある事が起き、最長60日予定の入院延長となった。もう、泣きそうだ。というか、時々泣いている。

そんな父の動画が妹から届いた。オムツを届けに行った時に、撮影OKをもらって撮ってきたもの。

妹「早く良くなってね。お母さん、さみしいってよ。」
父「お父さんだって、さみしいよ……」

父と母は、とても仲が良く、娘たちもちょっと恥ずかしいくらいだが、この動画を見て、私は泣いた。かわいそうすぎる。20日に元気に帰っている予定だったのに……。

そんな気分の中、この記事を読んだ。

“ 認知症ってなんですか?  横木さんの言う認知症とは…  ・周りの目を気にしない、自分の感情に純粋になる病気 そして ・今 その瞬間に全力で生きている人  いま現在、認知症は治る病気ではないけども、2025年には4人に1人が75歳以上とも言われる社会で、ポジティブに捉え直さないと、何も生まれないじゃないですか。”

世の中、こんな介護士さんばかりだったらいいのにな。
介護士さんだけでなく、看護師さん、というか医療に関わる人、日本中のヘルプマンさんたちは、尊い気持ちでこの仕事を選んできている。
私の父を看護している人だってきっとそうだっただろう。ではどうして、父の入院は60日も延長するようなことになったのか。

私の友人知人の中には「人手不足」だからとか「看護師も人間」だとか「医療現場の逼迫」だとか言う人もいる。

でも「お父さんだってさみしいよ……」という父に「人手不足だから仕方ないね」「看護師も人間だから仕方ないね」「医療現場も逼迫しているから仕方ないね」って言える? 私は言えない。

認知症は、自分の感情に純粋になる病気。そして、今、この瞬間に全力で生きていること。

「さみしい」と言いながらも、全力で痛みと戦っている父。リハビリを頑張る父。それでも、真っ黒なビー玉のような目で、ちょっとうつむいて「お父さんだってさみしいよ……」という父に、私は何も言えない。でもこうして戦っているヘルプマンさんたちもいるんだ。

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