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言葉は圧縮率が高い

最初にこの言葉を聞いたのは、あの茂木健一郎先生の口から。茂木先生のトークショーに行って、本を1冊買ったら、1つだけ質問ができるという特典がありました。握手とかサインとかはよくありますけど、質問が1つできるなんて すごい!私はこんな機会は滅多にないと、本を買って列に並び、茂木先生に質問しました。私は

ある言葉を伝えた時に、なぜその通りの思いで、人に伝わらないのでしょう

と質問しました。すると茂木先生は、まるで元から答えがそこにあったかのように

それは君、言葉は圧縮率が高いからだよ。

とおっしゃいました。

・・・・・・すみません……わかりません

分からないですよね? 頭のいい人との格差を感じました(笑)
素直に伺ってみると、説明をしてくださいました。

思想や意識や思いを言葉にする時には、圧縮するのね。言葉はその圧縮率が高いから、受け取った人が解凍する時に、話し手と違う内容になっちゃうんだよ。

この言葉に衝撃を受けた私は、中高生の講座で、度々この話をします。なるべく自分の感情に近い言葉を厳選して話さないと、受け取った人がその通り、100%同じ気持ちを受け取れない。順番 も大事だよと。

また最近、似たような説明に出会いました こちらの本です。

可能 な 限り、 知的 労働 に 携わる とき、 自分 の 心理 状態 を 生産的 に 変える よう 努力 す べき で ある という もの です。 脳 の コンピューター として の たとえ は、 これ まで 何度 も 限界 に 直面 し て き まし た。 そして ここ で、 もっとも 明白 な 欠陥 に 遭遇 し ます。 情報 の 塊 を 入力 する と、 コンピューター は どの 情報 で あれ 常に 同じ 処理 を し ます。 それ が 起動 から 5 分 後 で あろ う が 5 時間 後 で あろ う が、 蛍光灯 に 照らさ れ た オフィス で あろ う が 日当たり の いい 窓際 で あろ う が、 近く に ほか の パソコン が あろ う が、 部屋 唯一 の パソコン で あろ う が 変わり ませ ん。 コンピューター では これ が 普通 です が、 人間 は そう は いき ませ ん。 私 たち 人間 が 情報 を どう 考える かは、 その 情報 を 手 に し た とき に 自分 が どの よう な 状態 に ある かで 大きく 異なる の です。 効果的 に 知的 能力 を 拡張 する には、 手元 に ある タスク に 最適 な 状態 を 自分 の 中 に 誘発 す べく 注意深く 考える

アニー・マーフィー・ポール『脳の外で考える』より

先週、chatGPT の書いた小論文が、及第点だけど優勝しない話を聞きましたが、結局コンピューターが、どの情報であれ 同じ処理をするのと違い、人間は、受け取った状態で情報の処理が変わります。言葉の圧縮率をどんなに考えても、受け取った状態で変わってしまう、つまり、自分がコントロールできない域が原因で誤解が生じる場合もあるんですね。

 この本では、その情報の処理をする時に、効果的に知的能力を拡張できるように、環境の方を工夫しようということが書いてあります。人間は、受け取った状態で、情報の処理が変わるというところがポイントで、分かりやすい例で言うと、同じ言葉を聞いても、怒り狂う人がいるかと思えば、やり過ごす人もいるというのは、その人たちの人格も関わりますけど、置かれた環境が大きいんじゃないかなと思います。だって、同じ人が同じ言葉を聞いても、その人のその時の環境で意味が大きく変わるじゃないですか。
感情的な言葉を置いといても、例えば、知的情報を自分の中に吸収したいと思った時に、同じ本を読んでも上手に吸収できてうまく活用できる人と、ただただ受け取るだけの人の違いって、その人たちの能力の差ももちろんあるんですが、環境の差も結構大きいかなって、この本を読んで思いました。

ちなみに、この本のポイントは、ここではありませんので、また本の感想は 別の機会に。特に教育者に、めっちゃおすすめです。
タブレットではどんどん思考が小さくなるって話は驚いたので、今度記事にしますね。

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