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【島暮らし】家に〇〇が出る話

今住んでいる島の家は、カッコよく言えば「オーシャンビュー」。

開放感のある掃き出し窓から海が一面見渡せて、心地のいい波の音が一日中聞こえてくる。

人間の脳とは不思議なもので、この文章を書きながら意識が向くと確かに波がザバーン、ザザーと響いているが、普段生活している時は気にならない、というか聞こえていない。それほど波の音が生活の一部になっている。

この島には猫がたくさんいる

そんな海のそばに引っ越してきて、想像もしていなかったモノが家の中にいた。

それは海辺の岩場とかにワシャワシャいるやつ。

そう、……フナムシ。

正直、これがかなり精神的に堪える。

君、どこから入ってきたの?という感じで1日に何匹も遭遇する時もある。窓を閉めていても。

洗面台、流し台、廊下、リビング—。
どこから出てくるか分からないため、なかなか家のことが進まない、と言ったら進まない言い訳に聞こえるかもしれないが、フナムシに1匹でも遭遇したらやる気を全部持っていかれるし、しばらく動けなくなってしまう。

生き物博士(と呼んでも遜色ないであろう)の夫でさえも、「家にいるフナムシ」は流石にうれしくないようだ。(最近は「可愛くなってきたかも」なんて言っているが)

ここで少し、私の情報を補足。私は基本的にどんな場所でも寝れるタイプ。海外旅行が好きで大学時代はお金がないのに時間があればどっかに行っていた。海外で野宿したこともあるし、気付いたら頭の横にネズミがいたこともある。自分の長所を挙げるよう言われたら言葉に詰まるが、それでも“柔軟性”だけは出てくる。これまでどんな場所でもやっていけていたはずなのに……。引っ越した1日目から「この先やっていけるか」なんて考えてしまうほどだった。

人って、絶対的な「ホーム」に不安要素があると脆いんだなぁと痛感した。

フナムシの対応はいつも夫がしてくれる。いくら「家にいるフナムシ」はいやでも、ほうきの先にふわっと乗せて外に出してくれる。やさしい。

何度もフナムシを乗せたほうき

そんなこんなで引っ越して半月。私も成長した。
フナムシの音に気付くようになったのだ。

シャシャッ—。

微かな音に耳が反応し、悲鳴をあげることなく音を確かめて、音の出所が大体わかるようになった。
そして、フナムシの足音だと確信したら夫を呼んで対応してもらう。(お願いだから1人の時に出てこないでちょうだい)

この音も、いつかは気にならないほど生活の一部になるんだろうか……。

いや、ならないな。

いつも対応してくれる夫、ありがとう。これからもよろしく。

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