2023年の映画感想日記

はじめに

2023年に見た映画の感想を消化するために書きました。今年見た作品なので、23年公開だけじゃなく過去作も含みます。
日記です。
感想です。

▽ブラック・パンサー ワカンダ・フォーエバー

監督/原案/脚本:ライアン・クーグラー
製作:ケヴィン・ファイギ
主演:レティーシャ・ライト
共演:ダナイ・グリラ、ルピタ・ニョンゴ、ウィンストン・デューク、ドミニク・ソーン、テノッチ・ウエルタ、アンジェラ・バセットほか。
初公開は日米ともに2022年。

”マーベル・シネマティック・ユニバース”シリーズの一作で「ブラック・パンサー」シリーズ第二作。前作の主演チャドウィック・ボーズマンが2020年に急逝したが、代役を立てずに製作し、それを踏まえたストーリー展開がなされた作品。

(あらすじ)国王亡き後、ワカンダ国に残された者たちは喪失感だけでなく、多方面から来る国際問題にも向き合わなければいけなかった。

感想

見たのは2022年だけど、書いちゃったので残しておく。

「マーベルスタジオ」ロゴの黙祷。葬儀。そしてワカンダ施設の襲撃。返り討ちは良いけど「こういう事が起こるから今まで鎖国していたのに…」と思わされて辛い。
冒頭から早々にギスギスして、今作が重いトーンで描かれる事が十二分に伝わる。昔のヒーロー映画の様な明るさは無いが、どうしたって脳裏に浮かぶ主演俳優の急逝、そして現実の世界情勢を思うと、このドキュメンタリックな作風は必然的で求心力がある。

タロカン帝国との戦いに向け準備するシーンではBGMで盛り上げているけど、これは避けるべき戦争である訳だし、リリ=他国の子供を巻き込んでいるのだから、高揚させつつ崩壊一歩手前の緊張感を現していて、とても歪。
新たなブラックパンサーが舞い降りるシーンもそう。

ラスト、ワカンダ復興中のシーンで、踊りながら笑う男の子が映されたのが良かった。


▽すずめの戸締まり

監督/原作/脚本/絵コンテ:新海誠
製作:川口典孝
主演:原菜乃華、松村北斗
共演:深津絵里、染谷将太、伊藤沙莉、花瀬琴音ほか。
初公開は2022年。

「君の名は。」で一大ヒットを飛ばした新海誠の劇場用長編アニメ。

(あらすじ)九州の高校に通う岩戸鈴芽が、不思議な扉を閉じて周っている青年、宗像草太と出会い、共に日本各地戸締りの旅をするなかでトラウマを思い出していく。

感想

2022年公開だけど、見たのは今年だったので感想日記入り。
鑑賞予定が無かったけど見る事が出来た。

インタビューや評論で理解が深まる作品というよりも、自分は何を持ち帰ったかどうかという作品だと感じた。
ストーリーも、アニメというフォーマットや見やすい絵柄も、作品の規模や認知度から言っても最早国民的で、大衆的な強さを持っている。百貨店ではなく大型スーパー。

「カナタハルカ」は主題歌「すずめ」のメロディを変奏していたり、歌詞も対比で対応させている等、細部からこの作品を読み解く角度はいくらでもある。あるけど、作り手はやっぱりメッセージを咀嚼すること、そういう映画体験こそ、語る上ではまず先に話して欲しいのだと思う。

すずめの「ドキドキする」や、地震の揺れ始めなど音が全てリアルだったとか、東北は工事中で片側通行待機中だったのはだるま屋ウィリー事件かなとか、雑感が沢山。

隣りに座っていた親子が印象的で、小さいお子さんが、スペクタクルなシーンでは前のめりだったり、エンディングが流れると首を横に振り出したり。
劇中の少し古いJ-POPは、隣りの子みたいな世代にはどう聴こえているのかな。「耳をすませば」のカントリーロードみたいなものだろうか。鑑賞後、
父「どうでした」
娘「楽しかった」「泣いてたよ」(恐らくキャラではなく自分が泣いたの意)
という会話を聞けたのが、良い映画体験だった。


▽アントマン&ワスプ クアントマニア

監督:ペイトン・リード
製作:ケヴィン・ファイギ、スティーブン・ブルサードほか
主演:ポール・ラッド、エバンジェリン・リリー
共演:キャスリン・ニュートン、ケイティ・オブライアン、ジョナサン・メジャース、マイケル・ダグラス、ミシェル・ファイファーほか。
初公開は日米ともに2023年。

”マーベル・シネマティック・ユニバース”シリーズの一作で「アントマン」シリーズ第三作。

(あらすじ)サノスとの戦いを経て、平穏な暮らしに戻っていたアントマンことスコット・ラング達は、娘のキャシーが開発した装置の暴走をきっかけに、原子以下の小さな量子世界に引きずり込まれてしまう。そこでは、カーンという男が支配し、元の世界へ侵攻しようとする準備が進められていた。

感想

開始10分で量子世界に行く展開の早さ。吹き出しの少ない漫画のようにサクサクと進む、そのスピード感により厚みは無くなり、味わって楽しむ余地も無くなりつつある。最近のMCUは大体そうだけど、今までが奇跡だったので、言うべき文句は言いつつそれなりに楽しむ。
評判は良くないけど、知っているキャラが全く違う世界を巡るのは漫画的でコミック的だし、4作目あたりで見たい設定だった。惜しい。

ジョナサン・メジャースの存在感は何となく説得力があって良かった。意見が合わなかった時はどうすると問われ、「WIN(勝利する)」と一言だけ答えるシーンが最高。彼に拳で戦わせたのは正解だと思う。
"在り続ける者"は侵略しないだけまだマシだった、と思ってたけどアイツも同じことしてたし、やっぱ変異体はややこしい。
ディズニー傘下の影響みたいな陽性も多く見られた。モードックが説得されたのも"敵の倒し方の脱単純化"ではなく、単にディズニーの陽性っぽい。今作で退場なのはちょっと残念。


▽ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!

監督:ディーン・パリソット
製作:スコット・クルーフほか
主演:キアヌ・リーヴス、アレックス・ウィンター
共演:ブリジット・ランディ=ペイン、サマラ・ウィービング、ウィリアム・サドラーほか。
初公開は日米ともに2020年。

「ビルとテッドの大冒険」シリーズ第三作目であり、前作から29年ぶりの新作。

(あらすじ)ビルとテッドはかつての人気も無くなりパッとしない生活をしていたが、世界が消滅すると知り、家族と偉人を巻き込んだ時空旅行に出る。

感想

Huluで鑑賞。
この時期色々あったので、鑑賞済みの作品や馴染みの無いカルチャー以外、気軽に触れられなくなっていた。そんな中、BS日テレでの”007”24作品一挙放送があり、気軽に楽しめるボンド映画は何かを楽しむリハビリになって、とても救われた。
そしてボンド映画以外にも救われた作品があり、それがこの映画。

過去シリーズは見ていなかったけど、アトロクでの特集を聞いていたおかげで何となくわかっていたし、数年ぶりの続編というのもあってそもそも新規が入りやすい導入にもなっており、とても気軽に見ることが出来た。

傑作という程ではないけれど、大仰ではなく、平熱を感じられる演技と作品のトーンはとても親切で、元気が出た。音楽を聴くのも楽器を弾くことも好きな自分にとって、とてもありがたいカルチャー・リハビリとなった。これからが、少し、楽しみになった。


▽ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3

監督/脚本:ジェームズ・ガン
製作:ケヴィン・ファイギ、ルイス・デスポジートほか
主演:クリス・プラット
共演:ブラッドリー・クーパー、ゾーイ・サルダナ、デイブ・バウティスタ、ヴィン・ディーゼル、チュク・イウジほか。
初公開は日米ともに2023年。

”マーベル・シネマティック・ユニバース”シリーズの一作で「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」劇場シリーズ第三作。

(あらすじ)惑星ソヴリンからの刺客により重症を負ったロケットを救うため、彼を改造したハイ・エヴォリューショナリーの元へ向かうガーディアンズ一行。狂気の科学者の野望を食い止め、銀河の落ちこぼれチームは仲間を救うことが出来るのか。

感想

ジョス・ウィードンはストーリーの、ルッソ兄弟はアクションの交通整理力が凄いなら、ガンはキャラクターの交通整理が上手い。比喩に溺れている気がするけど、群像劇において沢山のキャラの成長を描けているのが凄い。

落ち込んだり、寂しそうにガモーラを見つめるクイルが、NCIS:LAのディークスみたいな(犬みたいな)愛嬌があった。
ノーウェアを船にするのはガンらしいアイディアっぽいけど、どうかな違うかな。こういうクレイジーなアイディアをクライマックスに出すのが、ガンっぽい。
こんなに肯定してくれるシリーズだっけ?ってぐらい温かい。今回は言葉で伝えてくれるシーンが多いからそう感じるのかな。
完全じゃないから迷ってきたガーディアンズと、完全主義だからこそ迷いを見せないハイ・エヴォリューショナリー。完全体として生まれた筈のアダムは、迷うことが出来たからやり直せた。

『キャッスル』好きとしてネイサン・フィリオンも嬉しかったけど、その部下の宇宙人の表情が絶品。ニンジン顔の表情も絶品(笑)


▽ザ・フラッシュ

監督:アンディ・ムスキエティ
製作:バーバラ・ムスキエティ、マイケル・ディスコほか
主演:エズラ・ミラー
共演:マイケル・キートン、ベン・アフレック、サッシャ・カジェ、マリベル・ベルドゥほか。
初公開は日米ともに2023年。

DC・エクステンデッド・ユニバース、通称DCEUシリーズの一作。「ジャスティス・リーグ」のメンバーであるフラッシュを主人公に据えた作品。

(あらすじ)ジャスティス・リーグの一員として人々を救っていたフラッシュ=バリー・アレン。タイムリープ出来る力を持っている事に気が付いたバリーは過去に戻り、死ぬ筈だった母親の命を救い運命を変える。それによって未来も変わってしまい、世界滅亡の危機に直面したバリーはとあるヒーローに助けを求める。

感想

2時間半を費やした"自分との対話"映画でもある。結局何もしていないけど、内面のストーリーだと思えば納得がいくかも。”過去改変は良くない”という教訓ものでもあるし。
ifや客観的な視点、その自覚や、自分にすら言えない、辛すぎること。違う世界でも出てくる言葉は同じ。愛する人への気持ちも同じ。

オリジンじゃないから展開が早い、でも成長の余地を残している。更にもう一人のバリーのおかげで、能力を説明するオリジン的展開を作っているのも上手い。
複雑な設定なのに意外と監督のストーリーテリングはまとまっている。
何故犯人自体を止めないのか、何故元の時間に帰らないのかとか、辻褄を合わせるセリフもちゃんとあった。

ドラマ版フラッシュを見ているおかげで、真面目な部分もありつつ戦闘中は軽口叩くとか、最後に父親だけは救おうとする都合の良さとか、バリーらしいと思って納得できた。ドラマもコミックとは違うとは思いつつ。
一人二役が自然に見えるのが凄い。

今スクリーンに映されているのはいつなのか、日時や年代を示さないのはタイムリープものとして不誠実だと思った。場所もアメリカのどこなのかわかりにくい。
リバースフラッシュ(?)は一体何がしたかったのか。「この戦いに勝とうとする限り~」とかバリーが解決できる答えを親切に教えているし、"この戦い"に勝てないとわかっているなら何で繰り返していたのかわからない。バリーと協力して母も救い"この戦い"にも勝利するつもりだったのかな。でも邪魔するなら殺す、というのも・・・。
ちょっと長いけど、無理して2時間に納めず、要点絞って納得するには必要な長さかもしれない。
アメコミ映画ファン以外はピンと来るのか?不安ではある。でも新鮮な絵面もあって楽しい映画だったし、面白かったよ!


感想記事リンク

コチラ。

1(ドクター・ノオ)
https://note.com/yukanoyu2157/n/ncb7c33ead211?sub_rt=share_pw

22~24+25(慰めの・スカイ・スペクタ・ノータイム)
https://note.com/yukanoyu2157/n/n2c6c663508a7?sub_rt=share_pw


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