不可思議刊行筆風録6

前回

 さて。無事に連休突入前に改稿を済ませ、あとはゴールデンウイーク明けまでのんびりするつもりでいたら、3日後くらいにメールが来た。まだギリギリ連休前のことだ。何か問題でもあったかしら、などと思ったら。
 メールのタイトル部分に『ゲラ(校正紙のこと)を送ります』との文言が。いわく『いい感じだったのでソッコーで業者に回してみたらソッコーで出来上がって帰ってきた』との事。

 まあ送られてくる校正紙は本番前のコピーということだったけれど、連休が10日もあるので心づもりをしておいてもらえれば、ということだった。なんというか仕事が早い。改稿やら校正やら、作業自体は時間がかかるものの、次の工程に進む際のスピード感は実に頼もしく、またガンガン先に進んでいく感覚が非常に楽しかったのを覚えている。

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 コピーをぼんやり眺めながら自分なりに改善点を見つける等しつつ、連休明け、事前にメールをはさんで初回校正紙が送られてきた。校正――原稿の誤りを修正したり、文章を差し替えたりする機会は2回設けられていて、なるべく1回目ですべて直しきり、2回目で仕上げ、という流れだ。
 事前に若干凹むくらい改稿したのだから、そこまで手間はかからないだろう……などと思っていたけど、やっぱり甘かった。校正紙は赤ペンで修正箇所を記入した後に送り返すので現物は手元にないが、これもまた結構な量の朱書き(明らかな間違い)やら鉛筆書き、蛍光マーカー(修正提案)が書き込まれていたのを覚えている。
 しかも今度は本番用なので、改稿時のA4紙より紙のサイズがデカい。うおおコレが校正か、なんかファミレスでやってるイメージあるやつ……!
 などと気分はすっかり作家の端くれであった。ところで記憶に残っている中でいちばん印象的だった指摘は、話の中に『ぼく』(一人称)が多い、というもの。試しにそれぞれの話を目で追ってみると、確かに多かった。ぼくぼくぼくぼく。木魚か!

 他にも諸々受けた指摘を地道に確認し修正し、結局この初回校正紙とも3週間近く向き合うことになったのだった。
 この校正作業中にカバーやオビに関する話も出てきたのだけど、それはまた次の機会に。

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