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不可思議刊行筆風録8

前回

 さて。初回校正を終えて帯文とカバー案の打ち合わせも済ませて、著者側でする作業はわずかとなってきた。事前にもらったリーフレットと照らし合わせても、あとは再校を残すばかりだ。その再校も、初校で修正を頼んだ箇所がちゃんと修正されているか確認するのが主な目的であるから、初校に比べればほとんど時間はかからない。

 初校紙を返送してからメールのやり取りをはさみつつ、一週間ほどで再校紙が届いた。それこそ目を皿にして飽きるほど読んだ原稿を改めて一読してみて、問題なさそうなら全作業終了、である。仕上げにちょっと直したいところはあっても、もうそこまで大きな修正はなかろう……と思いながらも、一応全体を通して読んでいく。と。

 一か所、ものすごい違和感が。

( ゚д゚) あれ?

( ゚д゚) この文章……。

(((( ゚д゚)))) 順番がおかしいぞ?

 なんということだろう。どこがどうとまでここでは言わないが、ある部分の文章、段落が、入れ替わっていたのである。このままでは話がつながらず、展開が明らかにおかしくなる。ショートショートとしては致命的だ。
 まさかと思いながら改稿に使った紙と初回校正紙のコピーの両方をめくってみると、確かに入れ替わった状態のまま。おそらく、応募前の手直しで順序を入れ替えたはいいが、ちゃんと確認してなかったのだろう。で、作者の目と編集者の目を、なぜかどちらもすり抜けてしまったと……!
 気付いた瞬間、まさに心のうちはこの記事のタイトル画像そのままに震え上がった。『一応、ゲラを読むのもこれで最後だしなあ』とか思ってちゃんと読んでいったから気が付いたものの、『もう何度も読んだから見るところだけ見とけばいいや』などと気の抜けた作業などしていたら、間違いなくそのまま世に出回ってしまったことだろう。もう少しで一生モノの後悔を背負うところだった。まさに危機一髪。

 発見した間違いを急いで修正し、他の部分も念入りに確認して、再校も終了となった。やれやれ終わった、などと思っていたら最後の最後、校了紙なるものが送られてきて、これが本当にラストの修正チャンス、ということだった。リーフレットの手順の中には書かれていなかったやつだ。ひとつふたつ簡単な修正を入れて、これにてようやく全作業が終了。念願かなって、無事9月1日に刊行される運びとなった。のだけど。

もうちょっと つづく。

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