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『好き』が呼び込むサプライズ

 2022年7月。ごく一部の、しかしその日を待ち続けていた情熱溢れるゲームファンたちが、ついに訪れた『その』瞬間に歓喜していた。

伝説のRPGが、今。

 知る人ぞ知る名作『LIVE A LIVE』が、28年の時を経てフルリメイクされ、switchで発売されたのである。
 スーパーファミコン版が発売された1994年、当時小学5年生だった私もまた、このゲームの持つ熱量、そして正義とは、悪とは何かを問う深いストーリーに胸を打たれたひとりだった。
 諸事情あってリメイクは不可能ではなかろうか、と(おそらく多くの人が)諦めていたところに飛び込んできたまさかの朗報――2月のニンテンドーダイレクトで発表された際、タイムラインが一瞬ざわついたのを今でも覚えている。

 ソフトの発売に合わせて週刊ファミ通でも特集が組まれ、表紙は
『LIVE A LIVE』一色に。ベース白だけど。とにかく自分の中ではひたすらお祭りムードだったこともあって、市内の書店を数店舗巡って手に入れた。

 7月のソフト発売からひと月ほどが経ったときにはファミ通.comにて『ユーザーアンケート』なるものも実施され、他のゲームではたいていスルーして終わるこのアンケートにも、いちファンとしてきっちり回答しておいた。さらにその後の9月2日、オリジナルの発売28周年を祝う生放送配信を視聴するなどしてようやく、自己お祭りムードも落ち着いてきたように思う。

 さらに少し時間が経って9月の終わりごろ。ふらりと寄った本屋でふと目にしたファミ通の表紙、その隅に小さく『ライブアライブ振り返り特集』とあった。これもやはり手に取らずにはいられない。
 しかし発売直後の42ページ特集にはさすがに及ばないだろうし、表紙が特殊なものでもないから、まあ特集ページだけパラパラめくってみて……などと思っていた。特集は先のユーザーアンケートの結果発表と、その中で寄せられたコメントの一部掲載、ファンアートギャラリー、配信の振り返りなどだ。
 コメントの部分を読んでいき、それぞれのプレイヤーの熱に思いを巡らせ……皆、このリメイクをやはり待ち望んでいたんだなあ、などと妙な感慨にひたりながらページをめくっていたとき。
 文字を追う目がぴた、と止まった。


 自分のコメントが載ってる……!!


 うん。買うしかないね。
 なんとなんと、アンケートに寄せた自分のコメントが載ってるじゃないか。ファミ通に。いや本当かよ、いや本当だよ。

 なんということだろう。自分のP.Nが初めて載った雑誌が、他のあらゆる文芸誌を差し置いてのファミ通。
 作家らしくはない、しかし同時に、最高に私らしい展開ではないか。

 静かに、けれども好きなものをしっかり好きであり続けたなら、ときに思いがけないプレゼントがいただけるかもしれない、ね。

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