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不可思議刊行筆風録4

前回

 さて。出版に関わる契約事務あれこれが済んでからだいたい一か月弱経った3月の終わりごろ。担当していただく編集者が決まったとの連絡があり、電話でご挨拶をいただいた。大いなる偏見、かつ少年マンガの読みすぎで申し訳ないが、『編集者』というとなんとなく男性のイメージがあったので、担当編集の方が女性だったのには少しだけ驚きもした。
 このとき、送付した原稿に手直ししたい箇所はないか、みたいなことを聞かれたのだと思う。その辺のやりとりのメールがなく、実際に直した原稿を再送付したメールが作業の最初だったので、多分口頭でのことだったのだろう。
 どこを直したかといえば『信じない男』の結末部分で、こちらは別の方――出版の提案をくださった男の人からいただいた講評を参考に、オチをやや別の方向へともっていった。それ自体は問題もなく、上手いこといったと思っている。けれども。

 後日、担当編集の方から原稿を読んだという旨のメールがきた。うん、ビジネスメールのやり取りだけでも『作家業やってる感』が湧き上がってきてたいへんよろしい。まあ、それはともかく。
 ざっくり内容をまとめると『おおむねしっかり書けているが、なんかちょくちょく変な日本語がまざっている』ということであった。

『変な日本語』。まじで。
 あれ、でも応募前に手直ししたのに、と思われるかもしれない。私もそう思った。情けないことに、このとき自分ではどこがどうヘンなのかサッパリわからなかった。そりゃそうだ、自分では正しいとして書いているものがベースだから、自分でヘンだと感じてないところは基本的に何もしていない。自分の文章に関して、誰かから文法的な指摘を受けたことも、この時までなかった。小説サイトに公開はしていたけど、ぶっちゃけあんまり読まれてないし。

 さあどう直したものか。『ヘンなところにチェックつけて紙で送るよ』との提案をいただいたので、すぐさま『下さい』と返答した。向こうとしても手間暇かかる作業なのは想像に難くなかったものの、こちらもデータだけを眺めるよりは作業しやすいはず、と踏んだのだ。
 またしばらく時間をおいて、問題の紙原稿がやってきた。封筒開けて中を確認して、愕然とする。

 チェックや指摘事項、
 ものすごい多い。

 これ全部目を通して、さらに直すのか……と考えると、軽く目眩でもしそうなほど。わかりやすく自分の実力を眼前に叩きつけられ、原稿をめくりながらカオが(´・ω・`)になる。こりゃヤバイ。

 とはいえせっかく出版するのであるから、やはり読者に不親切な書籍ということにはしたくないし……ということで、ここからひたすら原稿データの修正をしていくことになるのだった。
 もちろん、サラリーマン業の合間にね!

つづく。

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