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ママのこと 5

 こんにちは ゆかっぱです。
 2年前、私は離婚して家を出る際にほとんどの荷物を処分しました。
服も 靴も バッグも 本も そして写真も。
 写真だけは少し後悔しています。
ママとの写真 たくさんあったのに。

 祖母は相変わらずの気まぐれで
ふらっと遊びに来ては数週間から数年
不定期に同居しては故郷に帰って行きました。
祖母が不在は仕事の間だけベビーシッターさんをお願いし
それ以外は完全ワンオペ育児だったそうです。

ママは可能な限り 私を連れて行く事にしました。
お給料日の早出ミーティングも。
お客様との会食も。
夜遊びも。

お給料日のミーティングでは皆さんに
とても可愛がっていただいた記憶があります。
実家にお子さんを預けて働いている女性も少なくなかったとの事。
ご自分のお子さんと私を重ね合わせていたのかもしれません。

お客様との会食では、母の身の上話を聞いて
涙したお客様が親身になってくださり
私が成人してからも、まるで親戚のように気にかけてくださいました。

そして夜遊び。
この時まだママは20代。
流行していたゴーゴー喫茶に行ってみたいと思っても
当然のことでしょう。

今の時代、乳幼児を夜遊びに連れて行くなんて考えられない事ですけどね。

さて、そうやって育てられた私は
銀座の超一流と言われる女性達の接待術や会話術
身のこなしを間近で体験し

一人当たりの客単価が大卒会社員の初任給クラスのお店で
特別メニューを用意していただき
お食事のマナーをきちんと教えて頂く機会に恵まれ

見よう見真似で踊ったダンスが可愛いと大絶賛され
気がつけば人前に出ても物怖じしない子どもに育ちました。

ママの育児書からかなり外れた行動は
結果として私に素敵な経験をもたらしたのです。

たとえそんな自由な子育てをしていたとしても
シングル、ワンオペ育児は相当厳しいものだったに違いありません。

当時、赤ちゃんの遺体がコインロッカーに
遺棄されると言う事件が多発したそうです。

「子どもをロッカーに入れるってどんな気持ちなのかなと思って
あなたを入れてみたの。
あなたをロッカーに入れて 扉を閉めて 鍵を掛けて。
きっと真っ暗になってすぐに泣き出すはずだから
そしたら出そう。そう思ったんだけど 全然泣き声がしなくって。
慌てて扉を開けたら 満面の笑顔のあなたがいたの。
いないいないバァと勘違いしていたみたいなのよ。
私に絶大な信頼を置くこの子は裏切れないなって思ったら
涙と笑いが溢れちゃった」

シングルマザーであっても 専業主婦であっても ワーキングママであっても
子育てに困難はつきものです。

相談する相手もおらず、頼る事もできない。どんどん自分を追い詰めていく。
追い詰めた結果、手遅れになるくらいなら
正しくなくてもいい。
誰かに評価されなくてもいい。
親子で笑顔でいられることだけを考えて
生きていればいい。
私はそう思っています。

こんな環境で育ってしまった私は
ちょっと変わった子どもに成長して行きます。

次回も読んでいただけたら嬉しいです。







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