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【第1章 -社会構造-第1節 】現代社会の実態と社会階級

突然だが、簡単に私の自己紹介させて頂こう。私は(経済的な意味では)平均的な中流家庭で育ち、不幸な偶然が重なり社会の底辺に没落した。そこからとあるきっかけで裏社会へと足を踏み入れ、努力と運によって世界トップクラスの外資系企業に就職することが出来た。せっかく掴んだチャンスを逃すまいと、自分の持てる力を全投入し、全社トップの成績を達成し表彰されるという、一風変わった経歴の持ち主である。

このように「中流階級→社会の底辺→裏社会→超一流企業」と全く異なるコミニュティを転々とする中で感じたのは「この世には明確な社会階級と格差が存在しており、各階層において、考え方やライフスタイルが全く異なる」という事である。

「人間はみな平等である」学校教育や道徳においては、この言葉が吹聴されているが、こんなものは現実から目を背けた理想に過ぎず、現実社会では間違いなく社会階級と格差が存在している。

「最も親しい友人5人の平均値はあなたと一致する」という言葉があるように、人間は同じレベルの者同士でコミニュティを形成し、他のコミニュティと交わることは無い。そのため、自分と異なる社会階層の人間と触れ合うことは難しく、テレビや本で見聞きするというのが大概である。

子供から大人になり、自分と異なる階級の人間と触れ合う事はあるだろう。しかし「人間は平等ではない」という現実を、10代の頃に把握しておくのは、今後の人生において役に立つはずだ。

それでは早速、それぞれの階級における、生活環境、考え方、ライフスタイルの違いを見ていこう。

【中流階級】

中流階級においては、ある程度の社会的安定と収入が手に入るが、安定を維持するために不可欠なのは、「常識」である。彼らはコミニュティと社会における常識を遵守することで自らの生活を守る。そのため、安定と引き換えに「刺激」が全くと言っていいほど存在しない生活スタイルなのが特徴である。

与えられたレールの上を歩き、レールから逸脱する事を極端に恐る。彼らは自分が歩んでいるレールは誰が作ったのか、そのレールがどこへ向かっているのかを、ほとんど理解しておらず、なんとなく人生を生きているのが特徴だ。

中流階級における「常識」とは、自ら探し当てた常識ではなく、コミニュティやテレビ、マスメディアから影響を受けた「与えられた常識」である。突き詰めて考えていくと、彼らの思想や行動の原動力は「広告」が由来である。そのため、趣味や思想は広告が源であり、大衆消費社会に溶け込む。

彼らは自らの頭で考える事を放棄し、テレビや世間一般に知名度のある商品やサービスを無意識で選択する。CMやテレビ番組で繰り返し報道される、ソーシャルゲーム、ブランド品、人気店、流行アイテムなどを好んで消費する。サラリーマン、公務員、教師、OL、専業主婦、工場労働者(正社員)、などがこれに該当する。

しかし、精神的にもっとも安定しているのは、この階層の人間である。考える事を放棄する代わりに、それなりの安定とそれなりの娯楽を手に入れる事ができる。平均的な生活と平均的な趣味、平均的な交友関係の中でその生涯を終える。しかし、与えられた環境が崩壊した時、いとも簡単に底辺社会に没落するのである。

【底辺階級】

中卒、高校中退者、派遣社員、シングルマザー、家出少女、生活保護受給者、風俗嬢、ホストなど、社会のレールから外れた人間は底辺社会で暮らしている。底辺社会においては親から保護され、安全に保護された環境からは想像もつかない残酷な生活を送っている。

彼らに共通するのが、幼少期から青年期にかけての家庭環境があまりにも酷いという点である。肉親や養父からの肉体的、精神的、性的虐待はありふれたものである。親の機嫌が悪ければ、サンドバッグのように殴られ、存在価値を否定する暴言を浴びせられ、食事も与えられず、家から外に投げ出される。給食費の滞納や、子供への生活費の催促は当然の世界。また、家庭内の掃除が行き届いておらず、ゴミや物に溢れている環境で育った人間が多い。さらに、歯の健康状態が悪く、歯磨きの習慣を疎かにしており、虫歯の治療を放置する人間が多いのも特徴だ。

金銭的に余裕がある家庭の場合でも、両親から構って貰えず無視される、愛情を注がれる兄弟と差別される教育、祖父母の家に預けられる、常に両親の喧嘩が絶えない、再婚後に養父からセックスを強要され実母は見て見ぬフリ。

最も安全なはずの家庭内において、彼らは常にストレスに晒されてきた。「自分は誰からも必要とされてない」「自分は汚い人間だ」「この世は辛く厳しい世界である」と思い込み、自尊心が低い人間が多い。特に金銭的事情で学校を中退した場合には、周囲と明らかに異なる扱いを受けるため、自尊心はさらに落ち込む。女性においてはリストカットおよび向精神薬、男性においてはアルコールおよび薬物に手を出すのは、お定まりのルートである。

就職においても金銭的に援助する人間が居ないため、暴走族などヤンチャな青春を過ごしたのちに、肉体労働、派遣工員、キャバ嬢、風俗嬢、ホスト、ヤクザ、に就職する。しかし、これらの職業は肉体的・精神的ストレスが非常に高く、肉体と精神をボロボロにする過酷な環境である。

だが、底辺の人間に救いの手を差し伸べる人間たちも存在する。例を挙げると「宗教、マルチ商法、自己啓発、人材派遣、ブラック会社、ヤクザ、ホスト業界、風俗産業、薬物の売人、精神科医、人権活動家(自称)」などである。

彼らは場合によっては衣食住を提供をしてくれるが、真の目的は彼らの「労働力」「肉体」「金銭」である。彼らは見返りとして身も心も奉仕することを誓わせる。私も多くの人間から声を掛けられたが、誰も彼もが偽善者だった。

知恵の回る人間は、過酷な生活から脱却するため、援交斡旋、振り込め詐欺、闇金業者、デリヘル経営、薬物売買、などを生業とする。彼らはやがて裏社会の住人となり、かつて自分を劣悪な環境に放り出し、救いの手を差し伸べなかった「社会」に対して報復を行うのである・・・。(裏社会については第4章で詳しく解説する)

底辺社会は順風満帆な生活を送るあなたにとっては、無関係な世界と思うかもしれない。だが金銭的破綻、会社の倒産、転職の失敗、不慮の事故や病気、離婚による経済状況の変化など...思いも寄らぬタイミングで簡単に底辺に落ちてしまうのだ。

私の好きなユダヤ人に伝わるこんな言葉がある。

学校や会社というレールから逸脱した人間には、誰も援助を差し伸べない。生きる目標が突然消失し、他人から常に見下され、強烈な劣等感の中で、自らの力で次の道を探さなくてはならない。何となく与えられたレールを生きている人間には、彼らの孤独は理解できない。

さらに、家庭環境が最悪で、家庭や社会からありとあらゆる差別や被害を受けた人間は性格が歪み、言葉は悪いが面倒な人間が多い。 内向的になり引きこもるか、社会に不満をぶつける攻撃的な人間になる傾向がある。世間的に見ると、底辺の人間はあまりにも厄介で面倒くさいため、多くの人間は関わる事を避ける。

現在のポジションから這い上がるための知恵や情報、機会を与える人間は存在しない。誰も助けてくれないので、自らの力で這い上がるしかないのだ。

しかし、要領が良く、好奇心と野心旺盛な少数の人間は、自らの力で事業を起こし、中流階級以上の収入を得るパターンも多く見られる。それができるまで、中流以上に肉体的・精神的に奉仕するしかない。

肉体と精神の安全が約束された生活を送る者には想像も出来ない環境で、底辺の人間たちは生きている。だが、彼らは表面上は攻撃的に見えたとしても、自分の兄弟や仲間への愛情は深く、人の痛みを身をもって体験している。彼らの内面には深い悲しみと絶望が潜んでおり、心からの安らぎと安全を求めてあるのが本音なのだ。

我々は、いつどこで没落するか分からない。明日は我が身であることを自覚して、日々を大切に、慎重に生きよう。

【上流階級】

一流企業のサラリーマン、マスコミ業界、外資系企業に勤務する人間達は、人並み以上の収入と社会的地位を手に入れる事ができる。しかし、世間的には憧れの存在である彼らは、常人の3倍は働く必要がある。一日15時間労働など当たり前で、繁忙期においては土日に処理しきれない業務を抱えて、慢性的な睡眠不足に陥る。

しかしこれはあくまで新入社員の話であり、下積み時代の貢献が認められ、部下を管理するマネジメントに出世した場合には、これまでの苦労が報われる。部下や外注に雑務や調査を任せることが可能となり、彼らの業績は自分の手柄となる。この段階に到達するまでは、生命時間の大半を仕事に費やす必要があり、肉体的・精神的に会社に奉仕する必要がある。

社会的知名度がない自営業者、営業職の場合でも、時に年収1000万円を超える収入を稼ぎ出すケースもある。初めは自らの努力で顧客を探索し、膨大な時間を費やして商材の売り込みに専念する。やがてコツを掴むと効率的な営業スタイルを確立し、既存客の紹介で売り上げが徐々に拡大していく。

この好循環に突入すれば、部下や社員を雇う事が可能となり、徐々に激務から解放され、自らは主要な業務のみを行うようになる。だが彼らのポジションが「従業員」である場合には、どれだけ出世したところで、会社は「所有物」ではなく「帰属場所」である。資本主義においては、会社の所有権は株式の保有率で決まる。つまり日本企業におけるサラリーマン経営者は「雇われ社長」であり、どれだけ高収入を得たところで、会社に奉仕する立場というのは変わらない。

そのため、仕事で身に付けた能力と顧客を資本に、事業を興す人間も多く存在している。会社の所有権は自分であり、ビジネスが成功した場合には、収入の割り当てを自ら選択する事ができる。彼らは「ビジネスオーナー」と呼ばれる存在であり、現場仕事やマネジメントは社員が行い、指揮系統や管理のみを行う真の社会的成功者となる。

ビジネスオーナーとして富を築いた場合、半自動的に収入が口座に入ってくる。この状態になれば、高級自動車やキャバクラ、飲食店で豪遊する事が可能となり、会社の経費として処理される。ビジネスが正常に回っている間は、金融資産は増え続け、使い切れない大金を持て余すようになる。

そのため、蓄えた金融資産を安全に管理し、さらに増やすための「投資」というステップに移る。仮に資産が3億円あったとしよう。これを年利8%で運用する事に成功した場合には、1年後には「2,400万円」を「何もせずに」入手する事が可能となる。

運用期間を10年間とし、複利で年利8%の運用に成功した場合には、なんと「647,677,495円(元金の約2.15倍)」もの大金を獲得する事が可能となるのだ。厳密には税金が発生するため、手取り金額は少なくなるが、一度大金を獲得すれば一生遊んで暮らす事が可能になる。「金が金を生み、さらなる金を獲得する」これが資本主義における階級格差の実態なのである。

このように上流階級の人間は、自分以下の階層から労働力と成果を回収するポジションに居ると言えるだろう。裏社会の構造と通じる部分もあるが、裏社会と異なる部分がある。それは上流階級の人間は「合法的に金を稼ぎ、守ること」に長けているという点である。法律には必ず盲点があり、法整備が整ってない隙間部分を活用し、顧問弁護士や税理士を雇う事で、合法的に活動している。

社会的知名度があるため信頼され易いが、やっている事は詐欺に近い。魅力的なサービスに見えるが、実態は詐欺に等しい商品や営業がゴロゴロ存在している。携帯電話の契約、保険会社、投資信託、健康食品、嗜好品(タバコ、コーヒー、ポテトチップス、清涼飲料水)、テレビショッピング、住宅ローン、サラリーマン投資、街金融、クレジットカード、公営ギャンブル...。

これらは知名度がある企業において販売されている商品であるが、いずれも「顧客の期待感」を煽り、不必要な商品であっても買いたいと思わせる戦略を取っている。一度購入すれば定期的な支払いや、定期的な再購入が待ち受けており、我々の給料の一部分が自然に天引きされて行く。

マーケティングの世界では、「フロー型ビジネス」と「ストック型ビジネス」と言われる2つのビジネスが存在している。フロー型ビジネスは、飲食店や家電量販店など一時的な消費を提供するビジネスである。ストック型ビジネスは、携帯電話や不動産業、定期購読、健康保険など、毎月一定額の金額を徴収するビジネスである。

企業においては、顧客を自社で抱え込む(ストックする)ことを目標にしている。そのため、中毒性のある商品、効果が一定レベルに抑えられた商品、ローンを組ませる事で長期的な支払いを約束させる高額商品を売り込む事に専念するのが特徴である。これらの主要なターゲットは、中流階級であり、企業は膨大な研究開発費と広告費をかけて自社商品を宣伝し、社会的知名度の向上を目指す。

これらの詳細については、「第2章 :お金と仕事の仕組み」で解説する。

【社会構造の総括】

現代社会には明確な社会階級が存在しており、上位の階層が自分以下の階層に労働を肩代わりさせる。下層の労働力と成果は、上流階級に上納され、余った分け前を給料という形で分配されるのだ。この構造は、各階層内においても当てはまる構造であり、超一流企業に就職した場合でも、自分のビジネスを所有していない場合には、上流階級に肉体的・精神的に奉仕する必要があるのだ。

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