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イノマーロックフェスティバルから学んだこと

昨日【イノマーロックフェスティバル】というイベントに行ってきた。
このイベントは『オナニーマシーン』(以下:オナマシ)というバンドが主催。
正直私はオナマシについてあまり知らない。知らないというか(まあ知らないんだけど)知ってはいけないものだと昔から思って生きてきた。

皆さんは『STREET ROCK FILE』(以下:ストロク)という雑誌をご存知だろうか。
20年以上前に発売されていたインディーズバンドを中心とした音楽雑誌だ。
当時私は14歳。中学2年生。多感な時期にどハマりしていた175Rが載っている雑誌を片っ端から買い漁っていた。それこそ、お小遣いの全てを音楽雑誌やCDにつぎ込んでいた。それで出逢ったのが『ストロク』。
A4サイズの他の雑誌とは違って少し小さめ。表紙は毎回勢いのあるバンドマン。パンクロック好きにはたまらないカラーとガチャガチャした構成で、遊び心満載の雑誌。毎回付録として付いてくるCDとバンドステッカーが楽しみだったのを今でもよく覚えている。毎回購入できるのが嬉しくて仕方なかった。多分1番好きな音楽雑誌だったと思う。
なんと、この『ストロク』を作っていたのは他でもないイノマーさんだったのだ。

その雑誌の中で袋とじのページがあった。イノマーさんと峯田さん(銀杏BOYZ 峯田和伸)の対談コーナー。きっと真面目なことや音楽について熱く語っていた部分もあったのだろうが、ストレートに卑猥なワードや表現をぶっ込んでくるスタイルが、当時14歳女子でまだ性について無知な私には刺激が強すぎたのだ。
一度だけ恐る恐るハサミを入れたのだが、2分くらいで閉じた(笑)

今だったらきっとニヤつきながら読めるだろうな。

そしてオナマシのLIVEはレポを一目見ただけでヤバさが分かるほど。
『ピー(放送禁止用語)』と全裸は当たり前。行為まで。すごくない?
今の時代あり得ない。でも、欲望に忠実というか、ただただ素直で真っ直ぐで正直でおバカなバンドなんだと思う。

話は前後するが、イノマーさんに見つけ出してもらったり、お世話になりまくって今日に至るバンドや人物が多いことに驚いた。
私が愛してやまないガガガSPを始め、氣志團、四星球、サンボマスター、STANCE  PUNKS、峯田和伸、江頭2:50・・・。
どれだけ愛されていたか、昨日の数々のLIVEで思い知らされた。

皆それぞれイノマーさんとの出会いや思い出を語っていた。特徴的だったのが、出演者が時折空を見上げ、イノマーさんと目を合わせているかのような仕草というか表情をしていたのだ。【とてつもなく密接な関わり】を持っていた彼らにはきっとイノマーさんの笑顔が見えていたのかもしれない。

舌がなくなってもステージに立とうとする姿。
闘病生活だけでも十分きついのに執筆やレコーディングまでやっちゃうところ。
何を言っているかわからないのに『オナニー』だけははっきり言えているところ。

その全てがイノマーさんという人間を象徴していたのだと思う。

過去の映像や文章からわかるイノマーさんの姿。
そして、昨日の出演者たちから語られるイノマーさんの姿。イノマーさんに聴こえるように鳴らされる爆音。

会ったことも喋ったこともない。今まであまり見てこなかった人の生き様に涙を流したのは生まれて初めてだった。

【本物は伝わる】
そう思った。

イノマーさんの本気。出演者の本気。心臓が痛いくらい響いてきた。
だからこそ思った。

今の自分の幸せに素直に感謝しよう。

イノマーさんの闘病生活の記録の中にこんなものがあった。
『オイラの今の夢はウンコ漏らしたい。それだけでいい。些細な夢。』
この文章だけ読んだら意味が分からないと思うし、ただただふざけた内容に見える。
でもこの時のイノマーさんは、難病の薬の副作用でかなりの便秘になって身体が便で重たくなっていたのだ。おまけに大好きな塩煎餅や柿ピーが食べられないとか、炭酸水が飲めないとか・・・

当たり前にできていたことがある日突然できなくなる。
想像しただけで恐ろしい。

自分をスーパーマンだと思っちゃいけない。
いつ自分がその立場になってもおかしくない。
『俺に限って』『うちの家族に限って』そんな理屈は通用しない。
当たり前なんてこの世に存在しない。
だから大切にしないといけない。
自分のことも、自分の大好きな人たちのことも。
今日カレーライスが食べられること、二本足で元気に歩けること、親から小言のLINEが来ること、トイレで排泄できること。
全部奇跡みたいなもん。
そう考えたら、毎日がとても尊く思えた。

これがイノマーロックフェスティバルで私が学んだことです。

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