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『伝え方が9割(佐々木圭一/ダイヤモンド社)』を読んで、まさか痴漢の撃退法を知るとは。

私は痴漢ではない。
いきなり電車内で捕まった容疑者の常套句っぽくなってしまったが、それでもボクはやってない(良い映画だった)。
そんな、容疑者ではないはずの私でも膝を打つ内容が、この本にはあった。

本書の中に、こんなエピソードが出てくる。
痴漢が多発している、ある地域でのことだ。

・「痴漢に注意」というポスターではほとんど効果が無かったが、「住民の皆様のご協力で痴漢を逮捕できました。ありがとうございます」に変えたらピタリと痴漢が止まった。
相手(痴漢)の頭の中を「嫌いなこと回避」で想像した結果です。

この話(もっと言えば本書全体)の本質は「相手の立場に立って考える」ということではないだろうか。
もう少し掘り下げて考えると、それは「相手のメリット(もしくはデメリット)を考える」ということだろう。

「痴漢に注意」と書かれていても、相手(痴漢)からしたらほとんど何とも思わないだろう。
でも、「住民の皆様のご協力で痴漢を逮捕できました。ありがとうございます」と書かれていたら?
おそらく、「この地域で痴漢をするのはリスクがある(=自分にとってのデメリット)」と感じ、思いとどまるのではないだろうか。
※決して実体験ではありません。

他にも、例えばこんなエピソードがある。
放置自転車に悩んでいた人が、「ここに自転車を置かないでください」という貼り紙をしたが、全く効果がなかった。
ところが、貼り紙に書く言葉を変えた途端に、放置自転車をする人がいなくなったという。

その言葉とは、「自転車捨て場」。
「自転車を置かないで」ではなく「ここは自転車捨て場です」と書いたのだ。

「ここに自転車を置かないでください」では、視点が「自分(放置自転車をされて困っている人)」になってしまっている。
しかし、「自転車捨て場」と書くことによって、相手(放置自転車をする人)からすると「ここに自転車を置いたら捨てられてしまう(=自分にとってのデメリット)」となる。
それが抑止力となった結果なのだろう。

他にも例えば、こんな事例がある。
芝生が踏まれて困っており、注意書きの立て札を作る時、どう書いたら人は芝生に入らなくなるか?

ここでも、相手の視点がポイントになる。
「芝生に入らないで」→こちらのメリットでしかない。
「芝生に入ると、農薬の臭いがつきます」→相手のデメリットにフォーカスしており、こちらのお願いを聞くことが相手のメリットにつながる。

「なかなか他人が自分の思うように動いてくれない」。
そんなお悩みを持つ方におすすめの1冊です。


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