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組織の創造性を高める「ルール」の在り方を考える

最近すっかり更新ができていませんでしたが、気づけばフォロワーが10,000を超えていた(ありがとうございます!)ので、noteも不定期で更新していきます。メモ程度の軽めのものになるかもしれませんが。

先日、CULTIBASEの会員限定のウィークリーイベントで法律家の水野祐さんと対談させていただきました。すでにアーカイブ動画がアップされています。

水野さんの20分ほどのプレゼンテーションを受けて、その場で掲げた当日のディスカッションテーマ(キーワード)は以下。

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すべては話し尽くせませんでしたが、個人的に非常に学びが深かったので、お話を伺った印象に残ったことと、安斎の感想のメモを記録しておきます。

1.禁止・制限ではなく、奨励するルールを増やす

組織のルールは、多くの場合「〜してはいけない」という形式の禁止・制限型で埋め尽くされがちです。まずどんな組織にでも着手できることは、ここに「〜してもよい」「〜できる」という形式の、主体的な行動を奨励・許容する、肯定的なルールを増やすとよいのではないか、という提案が印象的でした。

2.ルールとメタメッセージ

ルールには、明言されているメッセージに加えて、メタメッセージが内包されており、それが重要ではないかと感じました。

メタメッセージ(英: metamessage)とは、メッセージが伝えるべき本来の意味を超えて、別の意味を伝えるようになっていることを指す社会学用語。グレゴリー・ベイトソンによって設定された概念であり、メッセージとメタメッセージという構図によってコミュニケーションを考えようとされた。ベイトソンによればこれはメタ言語的な位置づけの意味になるかと思えば、表現されたメッセージに対する裏の隠されたメッセージという意味にもなりうる。(wikipediaより)

組織をマネジメントするリーダーやファシリテーターは、ルールだけでなく、ルールを意味付けるメタメッセージのコミュニケーション戦略もセットで考えなくてはならないと感じました。使ってみたくなる、関与してみたくなる、問い直したくなるルールの「届け方」とは?

3.堅牢ではなく、やわらかなルールをデザインする

ルールを守ることが自己目的化し、思考停止してしまう場面もあります。そんなときは、もしかするとルールが「堅い」ものになりすぎてしまっているのかも。

ルールを作るときは、堅牢なものを「作って終わり」にしてはいけない。完璧なルールを作りきることは諦め、やわらかなルールをデザインする。このことが、今回のなかで特に印象に残った学びでした。

ルールは、それ自体を破って、逸脱することで生まれる創造性もあります。それすらも想定・許容し、現場の逸脱を「手がかり」にして、ルールそのもの定期的にアップデートできるようにすれば、組織のルールからの逸脱は、組織にとってのエネルギーにもできる。アップデートする仕組みそのものを、メタルール 的に、あらかじめルールに組み込んでおくことが重要だという提案がありました。

このようなルールの解釈と運用は、かなりコストがかかります。けれども、ルールを組織デザインの肝と考えて、良い意味で「コストをかける覚悟」を持っておくことが必要なのかもしれません。

4.ルールによる組織ブランディング

組織ルールの公知は、ブランディングにつながります。組織のユニークさを体現したルールをみんなで考え、みんなで育てていく実践は、組織のフェーズに関わらず、やってみる価値がありそうです。

CULTIBASEでも好評だった以下のセッションで、福岡さんから語られている「チームの"変"を見つけよう」という提案と、あわせて実践すると、シナジーがありそうです。アーカイブ動画をぜひご覧ください。

5.組織開発と組織デザインをつなぐルールの役割

これは生煮えの思いつきですが、ふと、組織開発のための社内ワークショップのファシリテーションは、未来の文化構築に向けた「ルールのプロトタイピング」とも捉えられるのではないか、と感じました。

ワークショップのなかで実験的、偶発的に浮かび上がったルーティンの種みたいなものを、ルールに落とし込んで定着させていくような..。組織開発と組織デザインの接点にルールがあるように感じました。


以上です。詳細はぜひ以下のアーカイブ動画をご覧ください。会員でなくても初月無料で視聴可能です。

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組織の創造性とルールの関係性は、安斎の探究テーマのひとつである「遊びのデザイン」にも直結するので、引き続き考えていきたいと思います。

水野祐さんが展覧会ディレクターを務める企画展「ルール?展」もとてもおすすめです。11月28日(日)まで開催しているようですので、もう少し感染者数の状況が落ち着いた頃にでも、足を運んでみて下さい。


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