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【教育編10冊】高濱正伸氏(花まる学習会 代表)

子どもの生きる力を育てる。

経歴

1959年熊本県人吉市生まれ。
県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。
東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。
算数オリンピック委員会理事。
2018年7月より、日本棋院理事。
1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。1995年には、小学校4年生から中学3年生を対象とした進学塾「スクールFC」を設立。チラシなし、口コミだけで、母親たちが場所探しから会員集めまでしてくれる形で広がり、当初20名だった会員数は、23年目で20000人を超す。また、同会が主催する野外体験企画であるサマースクールや雪国スクールは大変好評で、延べ50000人を引率した実績がある。
各地で精力的に行っている、保護者などを対象にした講演会の参加者は年間30000人を超え、毎回キャンセル待ちが出るほど盛況。なかには“追っかけママ”もいるほどの人気ぶり。


①私たちは子どもに何ができるのか 非認知能力を育み、格差に挑む

教育に携わるなら押さえておきたい1冊です。ジャーナリストの視点で、現代的な課題が取り上げられ、「非認知能力」をどう育てるのか、最新の研究や先進事例がまとめられています。「教育においては、人的環境としての親が最重要ファクターであることを一番のテーマとしているところも必読ポイントです。」


②知ってるつもり 無知の科学

私たちは自分が受けた教育や我が子の情報だけで教育を語りがちです。何かを語ろうとするときに、いかに何もわからないまま議論しているかを知らしめ、思考の方法を認知科学者が教えてくれます。「わかったつもりにならないと前に進めない人間の思考と行動の特性についても触れられています。」


③身体する数学

小林秀雄賞を最年少で受賞した著者は、30代前半の研究者です。「言葉のセンスが良く、数学の楽しさや面白さが伝わってきます。数学を「身体的な営み」として捉え、指で数えるところから始まった計算の道具としての数学が、AI時代の到来によって「何であり得るか」など、哲学的に考察しています。」


④オイラーの贈物 人類の至宝を学ぶ

数学の独習書を手がけるサイエンスライターが数学の醍醐味を素人に向けて解説しています。虚数、指数関数、三角関数といった数学の基礎が高度な「オイラーの公式」へと繋がっていきます。「数学的思考力を伸ばしたいなら、これぐらいは読んでほしい。同じ著者の名著『虚数の情緒』も必読です」。


⑤AI vs 教科書が読めない子どもたち

著者は、東大合格を目指したAI「東ロボくん」の開発者です。最近の学生の読解力のなさは、教育現場の大きな課題であり、数学的思考力の育成以前の問題だと指摘しています。「AIをむやみに恐れるより、もっと足元を見ないといけない。子どもたちは算数の問題を解く前に、文章が読めていないんです」。


⑥修身教授録 現代に贈る人間学の要諦

「国民教育の師父」と謳われた哲学者で教育家の著者が、戦前、大阪府天王寺師範学校(現・大阪教育大学)で、教師を目指す学生に向けて行った「修身」の講義をまとめた1冊です。誇り高き教育家の人生論でもあり、教育界のみならず企業の経営トップで愛読書として挙げる人も多いです。


⑦エミール

現代の教育に通じる問題点を語りつくしている古典です。例えば、買い与えや過保護の悪影響についてです。「子どもをダメにしたければ、欲しがるものをすべて与えよ、といった箴言が満載です。過保護の残酷さも見抜いています。子どもにはケガしない程度の冒険をさせないといけない。」


⑧学校は行かなくてもいい 親子で読みたい「正しい不登校のやり方」

地方創生のニューリーダーである著者が約10年間の不登校を経て高3で起業した自身の体験談と、現在、社会で活躍している不登校経験者の体験談を収録しています。「正しい不登校」なら、社会人として活躍できる道も開けることが提示され、ネガティブに語られやすい不登校問題の捉え方が変わります。


⑨藤原和博の必ず食える1%の人になる方法

リクルートから公立中学の校長へ転身し、複数のキャリアを築く著者が、普通の子が生き抜くための方法を示します。100人に1人のレアな人間になれば食べていけます。100人に1人の技を3つ持てば、100万に1人にも成りうると説きます。「複数の強みを掛け合わせることが重要なんです」。


⑩子どもが生まれても夫を憎まずにすむ方法

子どもの最大の環境である「親」が陥りやすい問題を鋭く考察する1冊です。「子どもの問題にずっと取り組んできましたが、親を変えないと話にならないなというところに行き着いた。理解しあえる夫婦関係を築くために、特に男性は結婚と同時に読んでほしいです」。

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