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【経済学編10冊】安田洋祐氏(大阪大学大学院経済学研究科 准教授)

「ビジネスに役立つ経済学をゼロから学ぶ。」


経歴

1980年東京都生まれ。筑波大学附属駒場中学校・高等学校を経て、1998年東京大学文科二類に進学した。進学校から深く考えることなく東京大学に進学したため当初は特に研究の道に進む気は無かったが、神取道宏教授の講義に感銘を受けて神取ゼミに進んだことが転機となり、経済学を志すようになった。学部卒業時には最優秀卒業論文に与えられる大内兵衛賞を受賞し、卒業生総代となった。東京大学卒業後はゲーム理論発祥の地であるプリンストン大学に進学し、2007年には同大学よりPh.D.を取得した。その後、政策研究大学院大学助教授(2007年8月-2014年3月)を経て、2014年4月より大阪大学大学院経済学研究科准教授。大阪大学に移籍した2014年以降も、非常勤講師として、政策研究大学院大学、財務省「理論研修」、神戸大学大学院などで理論経済学関連の講義を複数担当している。


「入門」

①スティグリッツ入門経済学(第4版)

経済学の「いろは」をマスターできる入門書です。経済学のコンセプトや考え方を初歩的なレベルから理解できる内容で、経済学の全体像を掴むのに適した入門テキストです。


「ツール」

②ミクロ経済学の力

わかりやすい文章、図解の多様、理論を裏付ける実例により、ミクロ経済学の基盤である市場メカニズムをしっかりと理解できる。経済学部の学生だけでなく、ビジネスパーソンも対象にした本。


③「原因と結果」の経済学 データから真実を見抜く思考法

データを正しく理解し、利用するための内容が盛り込まれている。本書は、因果推論を前提知識ゼロからきちんと学び直すことができる画期的な入門書です。


④ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるのか?

02年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン教授の書です。人が判断を誤るパターンや理由を、行動経済学や認知心理学的実験を使って解明しています。

「使い方」

⑤Who Gets What マッチメイキングとマーケットデザインの新しい経済学

著者は「マーケットデザイン」と呼ばれる分野の先駆者で、今なお学会をリードする第一人者です。婚活におけるペアリング、臓器提供者と患者、人気企業への就職など、世の中には「組み合わせ」が必要です。その最適な組み合わせを効率的に実現するために、マッチメイキングとマーケットデザイン研究の視点で解き明かしています。


⑥その問題、経済学で解決できます。

行動経済学者が実地実験で、人をやる気にさせるものは何か、人はインセンティブにどう反応するかを解き明かします。意思決定の奥深くをあぶり出し、差別や格差という問題にも解決案を提示しています。


⑦実践 行動経済学 健康、富、幸福への聡明な選択

原題は「Nudge(ナッジ)」。「軽く小突く」ように、強制やインセンティブに頼らず、人々を賢い選択へと導く工夫を意味します。人間の意思決定には様々な癖がありますが、選択肢の作り方を工夫することで、本人や社会にとって望ましい結果が自発的に選ばれる場合もあります。こうしたナッジの実践例が多数紹介されています。


「未来志向」

⑧資本の世界史 資本主義はなぜ危機に陥ってばかりいるのか

資本主義を歴史から紐解き、資本主義が今後どうなっていくかについて、ドイツのジャーナリストがまとめた本です。丹念に取材をして非常に多角的な視点が盛り込まれています。


⑨経済学の宇宙

常に経済を多角的に捉えてきた経済学者・岩井克人先生が、自身の研究史を振り返ります。主流派を離れ、貨幣、法人、資本主義論などを分析してきた著者だからこそ書ける、悪戦苦闘とその魅力が凝縮された1冊です。


⑩宇沢弘文 傑作論文全ファイル

宇沢先生は、ノーベル経済学賞に最も近い日本人と言われ続けた一方で、理論経済学の大家としての地位に安住することなく、常にメインストリームの経済学説やその誤用に対して警鐘を鳴らし続けていました。本書を通じて、宇沢先生の先見の明や、問題解決への熱い思い、そして人類社会に向けた温かい眼差しに触れていただきたいです。

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