生徒さんの保護者に「聞く耳」を持ってもらうには?
こんにちは、辰巳です。
突然ですが皆さま!
皆さまは、「自分の価値観を肯定してくれる人」と「自分の価値観を否定してくる人」、
どちらの話に「聞く耳」を持ちますか?
今日のテーマは「聞く耳」と「信頼関係」です♪
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音楽講師の先生方、レッスン方針などで保護者の理解を得られず、もどかしい思いをされた事はありませんか?
自分が大切にしているレッスン方法、練習を習慣付ける大切さ、そのためには家族の協力が必要である事、習い事のマナー、それから、継続する事で得られる演奏力以外の成長について、
などなど、伝えたい思いはたくさんあると思います。
そんな思いを保護者の方が皆理解してくれたら、どれほどやりやすい事かと思いますよね。
しかし、
どれだけ素晴らしい思いであっても、「聞く耳」のない相手には残念ながら伝わりません。伝わるのは、もとから似ている価値観の相手だけです。
ですから、思いを伝えて理解してもらうには、まずは相手の「聞く耳」を作ってからが良いでしょう。
では、どうすれば相手は「聞く耳」を持ってくれるのでしょう?
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私は、大学の音楽学部で、ピアノ講師志望の学生に教授法の講義をしています。
授業で学生に、
「どんな先生になりたい?」
と質問すると、
色々な答えが返ってくるのですが、
「生徒さんの親から信頼される先生になりたい」
という回答も多数派の1つです。
そこで、さらに質問します。
「じゃあ、どんな先生が保護者から信頼されるの?」
と聞くと、ほとんどの学生は、
「教え方がうまい先生」
「経験や知識が豊富な先生」
というように答えます。
もちろん、こういう要素も信頼に繋がるのかもしれませんが、
しかしもっと大切な事があります。
先程の、学生が回答した先生像は、技術的に信頼出来る先生です。
しかし音楽講師に必要な信頼は、
技術的な信頼と人間的な信頼、両方です。
この2つは、両輪走行の関係なので講師としてはバランスが大切ですが、
「信頼関係」を築いているのは後者です。
では、どうすれば「人間的な信頼」を得て、保護者と信頼関係を築く事が出来るのでしょうか?
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ここで、「先生の職業病」について考えてみましょう。
講師の皆さま、「先生の職業病」って何だと思いますか?
色々あると思いますが、
多くの先生は、「教えたがり」です。
そりゃそうですよね笑、コレは決して悪い事ではありませんし、むしろそうでなくては務まらない仕事ですよね。かく言う私も、こんな記事を書いている位なので、相当な「教えたがり」だと自覚アリです( *´艸`)
「教えたがり」は悪い事ではありませんが、しかし、弊害がある事を知っておいた方が良いでしょう。
弊害の1つに、「教えたがり」が原因で、相手が聞く耳を持ってくれなくなる事が考えられます。
例えば、生徒さんの保護者に、レッスンに対する自分の方針や思いを伝える時を想像してみてください。
先生方は、ご自分の思いばかり主張していませんか?保護者の方の思いを、同じだけ尊重出来ていますか?
保護者の思いを尊重すると、自分のレッスンの方向性がブレてしまう、、と思われるかもしれませんね。
しかし、そうではないのです。
心理学的には、
人は、自分の考えを尊重してくれる相手の考えは尊重する傾向があるのです。
ですから、
全く違う価値観の相手であっても、まずはそれを尊重する事で、自分の価値観も受け入れてもらいやすくなるのです。
手術を断固拒否していたおじいちゃんがいたとしましょう。先生から、手術の経験値や腕の良さ、手術の必要性をどれだけ聞かされるよりも、
「出来れば手術したくないですよねぇ、ほんと怖いですよね、分かりますよ」
と言ってもらう方が、
「こんなに自分の気持ちを分かってくれる優しい先生だったら任せてみようかな」
と思えるかもしれませんよね、そんな感じです。
同じ価値観でなくても良いんです。先生は「手術をする価値観」だろうし、おじいちゃんは「しない価値観」でしょう。でも、相手が「大切だ」と感じている「気持ち」を尊重すれば、こうやって重なる事も出来るのです。価値観の内容は関係ありません(^^)
レッスンでの具体的なシーンに当てはめてみましょう。
初めてのレッスンで、生徒さんと一緒にご挨拶に来られるお母様。
まずは、お母様の大切にされている事をたくさん聞き出しましょう。そして、その考え方に理解を示し尊重する応答をします。
子供に何でも自分で決めさせる方針の方なら、
「あぁ、なるほど。それを大切になさってるのですね」
親が子供をガッチリ管理しているタイプなら、
「お母様、すごいですね!」
ゲーム大好き親子なら、
「ゲームってやめられないんですよねぇ!」
みたいな感じで、受け入れます。
自分と同じ価値観だから尊重するのではなく、相手と同じ気持ちになって、その良さを想像してみるのです。
そうする事で、保護者の方は「あ、この先生は理解のある人に違いないぞ」と感じるのです。
これが「人間的な信頼」の第一歩です。
そして「この先生の言う事ならきっと正しいのだろう」という態度でこちらの話を聞いてくれるのです。
これが「聞く耳」です。
相手を肯定する事で、相手も自分に対して肯定的になります。
この状態になってから、先生方はご自分の理念や思いを伝えるのが良いでしょう。
もし、お母様が来られた時に「教えたがり」が発動してしまい、自分の価値観を一方的に話してしまったら、このお母様は聞く耳を持ってくれなかったかもしれませんね。
また、これは初回レッスンだけの話ではありません。常にこの姿勢でいる事が大切です。
ただしこの方法は、自分の価値観を押し付ける為の「前フリ」として相手の価値観に表面的に共感するのは違いますよ。
自分の考えが大切だと思うなら、相手にも同じように大切な考えがあるのだと考えて。
「自分の考えは大切だ」という思いを、自分だけでなく相手も持っている。どちらも尊い。
1番大切なのはこの気持ちです。
先生と保護者が価値観を共有している状態はレッスンを長く続けるほど心地よさが増してゆきますよ〜(^^)
反対に、価値観のズレは、はじめは見過ごせても放っておくと年月とともに深刻化しますから、注意が必要です、、、
というわけで!
そろそろ投げっぱなしの質問を回収しましょう!
「人間的な信頼」も、相手の「聞く耳」も、
先生の価値観の素晴らしさどうこうではなく、
相手を尊重できているかという点にかかっている
という事がお分かりいただけたかと思います(^^)
また、
信頼関係とは、お互いの欠点も受け入れられる関係、と言う事も出来ます。
欠点も保護者の方に受け入れてもらえる先生、強いですよね!
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これに関係した話をもう一つだけ。
最近時々見かける「マウントを取る」という表現がありますよね。相手よりも優位に立つ言動をする人の事です。
「マウント」を取る人は嫌われてしまいますよね。
そもそも相手を見下してやろうと思ってマウントを取っているなら嫌われても仕方ないのですが、
そうではなく、親切のつもりで知識や情報を伝えたつもりが「アイツはいつもマウントを取る」と言われてしまい傷付いてしまう人もいるようです。
このタイプの人は、おそらく、相手の意見を尊重せずに、自分の意見を一方的に話してしまっているのでしょう。
こんな風に。
A子「この前、美味しいイタリアン見付けたよ♪国道からちょっと入った所で隠れ家みたいで、コスパも良いしオシャレだったんだ〜♪」
B子「へぇ〜!それなら私も、この前すごく美味しくてコスパ最高のお店見付けたよ!そこは、シェフが元有名ホテルの人で有名人も時々お忍びで来るみたいよ」
A子「へぇ〜そうなんだぁ、良さそうだね」
コレが、悪気なくマウントを取ってしまうB子さんです。A子さんが美味しいお店を見付けた話は軽く流されましたよね。
しかし、B子さんが、このように対応していたらどうでしょう。
A子「この前、美味しいイタリアン見付けたよ♪国道からちょっと入った所で隠れ家みたいで、コスパも良いしオシャレだったんだ〜♪」
B子「へぇ〜、イタリアンて美味しいよねぇ、私も好き!A子は良いお店見付けられてラッキーだったよねぇ」
A子「そうなの、ほんとラッキー!B子もイタリアン好きなんだよね。良いお店知ってたら教えてほしいな」
B子「実は良いお店知ってるんだ。そこは何と、元有名ホテルのシェフがやってるんだけど、コスパも良いのよ!」
A子「えー!それは気になる!そっちも行ってみたいな」
どうでしょう。同じ内容の話なのに、話す順番が違うだけで結末が変わりますよね。
最初の会話と後の会話の大きな違いは、B子は、質問されてから自分の情報を出している所です。質問されるまでは、A子の気持ちに共感しているだけです。
一回だけならともかく、会話が毎回前者パターンでは、2人の関係は変わって来そうですよね。
知らないうちに悪気なくマウントを取ってしまい相手との関係が意図せず対等でなくなる、
さらに、このエピソードのように、
「教えたがり」は相手を黙らせてしまいますから、人から何も教えてもらえなくなります。
ここまでの「教えたがり」の弊害をまとめると、
⭐︎相手が聞く耳を持ってくれない
⭐︎関係が意図せず対等でなくなる
⭐︎人から何も教えてもらえなくなる
こんなところでしょうか。
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ちょっと長くなりましたね、
最後までお読みくださってありがとうございました♪
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