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第138回 「希望」は、人を動かすガソリンだ! 「希望」が無い時はパフォーマンスも落ちるし、火事場の馬鹿力も出せなくなる!


西野亮廣による“真実すぎて、耳の痛い話”。どんどん縮小する日本の市場で、あなたは10年前と同じ行動をしていないか?

今日は【『希望』って大事だよね】です。

いろんな問題を誤魔化してしまう「日本人の正常性バイアス」

日本人だけを相手に商売をされている方にとっては少し耳の痛い話かもしれませんが、「大切な話は大体耳の痛い話」ということで、ほどほどに話を聞いてください。

「『希望』というものが、結構重要かもしれないっす」という話です。

今、日本でインバウンドに関わる仕事をしていない方のほとんどは、小さくなっていく市場を見て見ぬフリをして生きているのではないでしょうか?

YouTubeをメインで頑張っている人でも、自分のチャンネルが日本語に依存したチャンネルなのであれば、やっぱり「…10年後、20年後は、やばいな」という考えが頭をよぎって、次に「でも、10年後、20年後のことを今考えても仕方ない」という正論めいたもので、小さくなっていく市場と向き合わない自分を納得させて、「その時は、その時!」みたいな感じで、いろんな問題を誤魔化している。

僕はこれを「日本人の正常性バイアス」だと思っています。

正常性バイアスというのは、異常なことが起こった時に「大したことじゃない」と落ち着こうとする心の安定機能のことで、不安や心配を減らす役割がある一方で、緊急時には、かなり裏目に働いてしまう。

津波がすぐそこまで迫っているのに死に物狂いで走って高台に上らずに、冷静に歩いてしまって、津波に飲み込まれる人がいると思うのですが、あれは「正常性バイアス」の仕業だそうです。

僕らが生きているこの時代の日本は、かなりの緊急時

僕らが生きているこの時代の日本は、かなりの緊急時(Jアラートが鳴り響いている)だと思うのですが、「まだ大丈夫でしょ」と自分を落ち着かせて、なんなら、「大丈夫じゃない理由」を探さないことで、大丈夫ということにしている日本人が少なくない。

ちなみに、2010年には約1億2800万人だった日本の人口は、2030年には1億1600万人ほどになるそうです。
1200万人も減っちゃうんですって。

スイスの人口が870万人、シンガポールの人口が550万人いかないぐらいですから、「人口が1200万人減る」というのは、ものすごいインパクトです。

これ、5~6年後の話なんですけども、そのくせ、2010年と同じような感じで活動している人がほとんど。

こんな数字を出されなくても、自分のもとに宵闇が忍び寄っていることは、さすがに皆、気づいている。
だけど、そこには蓋をしている。

実はそれが凄くストレスなんだなぁということを、今回のアメリカ遠征で再確認しました。

体力的には厳しくても、『希望』が支えてくれた

僕がブロードウェイでのミュージカル『えんとつ町のプペル』の舵を本格的に握ったのは、去年の秋頃。

これまで何度もお伝えしましたが、プロデューサーの交代劇や、スタッフの脱退やら何やらありまして、日本から来ているスタッフは「僕一人」という時間帯があったんです。

ブロードウェイで仲間を見つけなきゃいけないし、日本に残っているスタッフに説明しなきゃいけないし、お金を集めなきゃいけないし、何より、作品を作らなきゃいけないし……とにかく大変だったんです。

この3ヶ月はまともに眠った記憶がありません。

少なくとも、「さぁ、寝るぞ」という感じで、ベッドに向かった日は一日も無い。

明け方の4時ぐらいに寝落ちして、慌てて朝7時に起きる…みたいな3ヶ月です。

体力的にはかなり厳しかったと思うのですが、自分がタッチしている仕事(つまり、ミュージカル『えんとつ町のプペル』の英語版)が上手くいくかどうかは分からないけれど、「広がっていく市場」に席を置いている(「当たれば大きい」という)『希望』はあって、その希望が、かなり支えてくれたんです。

気がつけば、自分の日本の活動は、どこか延命処置のようになっていて、『希望』の割合が極めて小さかった。

『希望』が無い時のパフォーマンスは、自分の体力とイコールで、身体が疲れたら、それに従ってパフォーマンスが落ちてしまう。

そこに、精神力からくる、火事場のバカぢから的なボーナスタイムが無いんです。

結局、動いているのは人間なので、そんな算数みたいな正確さはなくて、『希望』というものが、いかに重要かを知りました。

今、NFTを頑張っている人って、端から見たら「何やってんの?」と思われているかもしれませんが、彼らは『希望』をガソリンに走っていて、それも僕らの体力の一つで、今の日本人が失っているものかもしれません。

西野亮廣

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