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砂漠の街、無償の愛【イラン旅行記6】


こんにちは!yukiです。

今日はイラン旅行記の6回目。

いよいよイラン旅も佳境となりました。

砂漠の街・ヤズドでの出来事を
お話ししていきますね。

ここでの経験は、僕にとって、
とても大きいものでした。

なにか伝わるものがありますように。



“休日”の影響がツラい


素晴らしいエスファハーンを離れ、
ヤズドという砂漠の街に
行ってみることにしました。

窓の外は、ひたすら砂漠が続きます。


ときどき現れる町は、
まさにオアシス都市。

「ここで降りちゃいたい!」
って思ってしまうほどでした。



荒野を走り続けたバスは、
6時間程度でヤズドに到着。

バスを降りると、

「タクシー乗らないか!」

という客引きに囲まれました。

まるでアジアに戻ってきたみたい!

こんなに客引きがすごいのは、
バスターミナルが
だいぶ郊外にあるからでした。

「市内までバス出てるんですよね?」

「今はノウルーズだから、
 ここからのバスは無いぞ。」
(イランの歴でのお正月期間)


まじか。参ったな。


さらに、バスターミナルを離れる前に、
明日の夜に首都・テヘランへ向かう
バスのチケットを買ったのですが…

「高くないですか?!」

「普通のバスは売り切れで、
 VIPバスしか空きがないんですよ。
 今はノウルーズだから」

ノウルーズ…つらい…!

バスでの衝撃的な出来事


夜行バスが高かったのもあり、
タクシー代を節約することにします。

イランではATMが使えないので、
現金がなくなると一巻の終わりなのです。

7kmくらい離れた中心地まで、
散歩がてら歩きはじめました。

しかし、歩き始めてすぐ、
キーッと音を立てて車が停まり、
お兄さんに声をかけられたのです。

「車、乗ってくかい?」

マジですか?!
ヒッチのサインもしてないのに!

「どう見てもバックパッカーだから」
とのことでした笑
親切すぎる。

彼は日本の車が大好きらしく、
熱く語ってくれました。

あと極真空手も大好きだそうで、
日本の選手をいろいろ言われましたが、
知らなかった…ごめんね…汗

街の中で降ろしてもらい、
もう本当に感謝です!

ヤズドには、
日干しレンガで作られた建物が
たくさん残っています。


屋根の上の四角い構造は、
“バードギール”という
自然の風を利用した天然エアコン。

エコですね!

街全体が茶色っぽくて、
「これぞ中東のイメージ!」
って感じでワクワクしてきます。



予約している宿に行くため、
市内を走るバスに乗りこみます。

日本のバスとほとんど同じような車内。

近くに座っていたおじさんに、

「きみ、どこの国から来たんだね?」

と、話しかけられました。

「旅行かい?それとも仕事?」

「旅行です!」

しばらくお話しして、おじさんは、

「Welcome to Iran!」

と言って降りていきました。

イランはほんとに、
ウェルカムと言ってくれる人が多くて
心があたたかくなります。


降りたい場所に着き、
バスのお金を払おうとしたとき、
運転手さんに何か言われました

何だろう、
聞き取れなかった。

「金額違いますか??」

英語を話さない方だったので、
「お金いらないよ!」
ってジェスチャーが返ってきます。

もしかして、
さっきのおじさんが
払ってくれたのか…?!


しかし、違ったのです。

座席のほうから声がかかり、振り向くと、
黒いヒジャブで全身を覆った女性
にこにこしながらこちらを見ていました。

「あなた日本から来たんでしょ?
 バスの料金は、わたしが払っておいたわ!
 良い1日を過ごしてね、Welcome to Iran!」


・・・全身に電流が走ったようでした。

目に映る世界が、
パーッと光に溢れていく。

どれだけ嬉しそうにお礼を言ったのか、
自分では分かりませんが、
それを聞いた彼女もすごく嬉しそうでした。

窓に映る笑顔に手を振り、
バスは小さくなっていったのです。

砂漠の街、旅情


驚きと嬉しさのあまり、
ちょっと放心状態で宿に到着。

荷物をおいてから
ふたたび街を歩いてみました。

モスクの荘厳なファサード


驚いたのは、街中でも、
あたたかく声をかけてくれる人が
たくさんいること。

他の街でもそうでしたが、
さらに多い感じです。

ヤズドのモスク


道行く青年がひまわりの種をくれたり、
女子高生たちにセルフィーに誘われたり。

なんだか良い雰囲気の街だなあ。

旧市街を走るバイク

ヤズドは、
街そのものも魅力的です。

旧市街なんて、
まるで迷路を歩いているよう。

ヤズド旧市街

日が暮れてしまったので、
散策は打ち切りにしました。


宿に戻ると、欧米人たちが
アコギを弾いたり歌ったりしていて、
とても賑やかな夜。

屋上のイスに腰掛けて、
涼やかな風を浴びます。

・・・旅って良いなあ。

明日は、
ゾロアスター教の遺跡に
行ってみよう。

沈黙の塔


イスラム教が広まる前、
イランではゾロアスター教が主流でした。

成立が紀元前までさかのぼる、
とても古い宗教です。

“拝火教”と言われるだけあり、
寺院では1500年以上も昔の聖火が
消えることなく燃えているのだそう。

善神アフラ・マズダー
悪神アーリマンという名前を
知っている方もいらっしゃると思います。

(ちなみにマツダ自動車の名前は、
 アフラ・マズダーに由来しています!)


現在、ゾロアスター教徒の多くは、
このヤズド地域で暮らしているそう。

沈黙の塔

ゾロアスター教には、
鳥葬の風習がありました。

つまり、
遺体を鳥に食べてもらうということ。

ゾロアスター教では、
火、水、土は聖なるものであり、
それらを汚さない方法として
鳥葬が行われていたそうです。

今のイランでは鳥葬は行われていませんが、
ヤズドの郊外には、かつて鳥葬が行われた
「沈黙の塔」が残っています。

「沈黙の塔」の周りは
一面に荒野が広がっていますが、
かつての鳥たちはどこに行ったのでしょうね…


ちなみに、
鳥葬はチベットでも行われますが、
意味合いはかなり異っています。

(チベットの鳥葬は実際に見学しました。
 興味ある方はコチラの記事をどうぞ)

無償の愛


「沈黙の塔」からバスで街に戻り、
降りようとしたとき、

「お金はいらないよ!
 良い1日を!」

と運転手さんに言われました。

また?!

そして運転手さんは手を差し出し、
握手を求めてきたのです。

なんてことでしょう…
本当にあたたかい気持ちになる…

弾むような気持ちでバスを降りて、
歩きはじめた瞬間。

道端のベンチに座っている
2人の女性と少女が目に入ります。

「あーっ!」

片方の女性と目が合い、
2人で同時に叫んでしまいました。

信じられないことに、
昨日バスで会った女性だったのです。

奇跡でしかない…!

彼女はニーラさんといって、
今日は娘さんとお友達と一緒でした。

黒のヒジャブに紫のスカーフ。
昨日と同じ、やさしい笑顔。
とても素敵な方なのです。

しばらくお話しして、
昨日感じた気持ちと
感謝を伝えられました。

また会えて本当に良かった。


ニーラさんは、別れ際に、
ささっと連絡先のメモを書いて
渡してくれました。

「なにか困ったことあったら、
 ここに連絡してね。力になるわ。」

偶然会った人への無償の愛。

ニーラさんの生きる姿に、
大きな感銘を受けたのでした。

いただいたエネルギーは
僕も別の人に循環させていかなきゃ。


ニーラさん、
本当にありがとうございました。

この先もずっと、
平和で幸せな日々を
過ごされることを祈っています。

ニーラさん、娘さん、お友達





最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

イラン旅行記は、
次回で最後となります。

それでは今日も良い1日を!

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