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「短歌も完全栄養食」短歌西荻派の夕べ

前回は一度別の話題になりましたが、今回は10月22日に西荻窪・今野書店で開催された「短歌西荻派の夕べ」のお話の続きです。

(写真は左から木下さん、枡野さん、山階さん)

短歌や歌集の作り方も異なる短歌西荻派のお三方はこれまで2人ずつの交流はあったものの、3人全員で何かをすることは、あまりなかったのだとか。

木下龍也さんと山階基さんは山階さんが1年程前に西荻窪に引っ越す前から遊んでいたり、引越後もふたりで食事に行ったりしていたそうです。

枡野浩一さんと山階さんは日頃からかなりお付き合いもあるようですが、木下さんは
「枡野さんは友達って感じじゃない。
僕が短歌を始めた時、枡野さんは短歌というものの中枢にいると思っていて、神様みたいに感じていた。 
(枡野さん曰く「ほんとは端っこだった」)」
とのこと。

本当に、枡野さんに対する憧れが強いのですね。

でも、枡野さんによると
「僕は歌人の知り合いが少ないから、木下くんはだいぶ会っている方だし、山階くんなんてめっちゃ会ってる方。」

枡野さんの新刊には枡野さんと俵万智さんとの往復書簡も収められているのですが、俵さんともメールや電話でのやりとりはあっても実際にお会いしたことはまだないのだそうです。
(ちょっと意外…)

また、この日3人で話しているうちに、「西荻窪」以外のいくつかの共通点も判明。

その一つが、初めて人とあった時に「会うと怖くないんですね」と言われること。

意外だったのが、3人とも何かしらの「完全栄養食」を日常的にとっていること。

枡野さんは「Base」というビタミンやミネラルを含む「完全栄養パン」、木下さんはカロリーメイトの固形タイプ、山階さんは完全栄養食のドリンク。

木下さんはカロリーメイトの全ての味についてのエッセイを書き、それが某雑誌に掲載予定なのだそうです。

みなさんお忙しそうですし、山階さんが
「完全栄養食をとっていると安心」
とおっしゃるのもわかる気が。

木下さんは
「短歌も完全栄養食ですから」
と話していましたが、コンパクトで種類豊富、心身への滋養も豊か、いつでも身体に取り込めるという意味では確かにそうかもしれません。

そして、3人ともそもそも免許がないかほぼペーパードライバー状態。

ちなみに、以前枡野さんが行っていた「ショートソングネット」(短歌愛好者のみのSNSグループ?)のメンバーにも聞いてみたことがあったそうですが、「運転できても、下手」という人が多い印象だったとか。

枡野さんによると、「歌人は方向音痴」(真偽のほどは不明…)と言われていて、待ち合わせしていても大抵誰かが迷って遅れてくるのだとか。

そして、今野書店で開催中だったお三方による選書フェアのお話に。

3人が選んだ本の中でダブった二冊が錦見映理子(歌人、小説家)さんの小説「リトルガールズ」と又吉直樹さんの「東京百景」。

(この日、錦見映理子さんはこのイベントの会場にいらしていました。)

中には
「本当は選びたかったけど、絶版や品切れになっていて推せなかった本」
もあったそうです。

枡野さんが本当は選びたかった本の一冊が絵本作家・五味太郎さんのエッセイ、「ときどきの少年」。

「物書きはいじめられっ子側を書くと思うけど、この本はジャイアン的な男の子の視点で少年時代が描かれていて、すごく面白い」
のだそうです。 

一旦最初の出版社がなくなった後、別の出版社から復刊されたのに、また品切れ状態になっているのだとか。

山階さんは今回は歌集は選ばないことにしていたものの、漫画を入れるかどうかすごく迷ったそうです。

「(イラストコミュニケーションサービスの)pixiv(ピクシブ)に連載されていた漫画『根暗とギャル男』もよかったんだけど、まだ書籍として刊行される前だった(10月末出版)」
ので、推せなかったとのこと。

木下さんは
「今回は漫画は入れちゃダメなのだろう」と思って選ばなかったものの、もし漫画から何か選ぶとしたら「ハンターハンター」。

とても好きで、短歌を考える時も「ハンターハンター」の世界観をイメージして短歌を作ることもあるのだとか。

例えば、
「見た風景に対して、自分が干渉するとしたらどうするか」
「面で動かしたらどうなるか」
「AB間の空間を折りたためたらどうか」
など。

実際にそのように作られた木下さんの作品については、また次回に。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

*「朝焼けがとてもきれいで生きていて良かったような気がする色だ」
(枡野浩一) 

暗いニュースが多い中でもはっとするような美しい風景を見ると、
「ああ、生きていてよかった。世界はまだこんなにきれいだ」
と思う。

どんな時にも目の前にある美しいもの、素敵なものに意識を向けられる人でいたいと思います。

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