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「短歌西荻派の夕べ」@西荻窪・今野書店

前回に続き、「短歌西荻派」についてのお話を。

10月22日に西荻窪・今野書店地下の会場で行われた「短歌西荻派の夕べ」は会場で参加できたのは実はかなり少人数で、そのほかの方達はオンライン参加。

ですから、会場で参加できたわたしはかなりラッキーだったのです。


枡野浩一さん、木下龍也さん、山階基さんの「短歌西荻派」の皆さんは手を繋いで登壇されたのですが、その真ん中に立った枡野さんは
「2人に介護されているみたいだ(^^)」

ちなみに、1968年生まれの枡野さんは
「永井祐さん(1981年生まれの歌人)以降は、みんな同じくらいに感じる」
そうですが、木下さんは1988年生まれ、山階さんは1991年生まれ。 

お二人はほぼ同じくらいのタイミングで短歌を始めたそうです。

さて、前回書いたように、「短歌西荻派」は枡野さんの新刊出版をきっかけに書店員さんの声がけで始まったユニット。

お三方の紹介と短歌西荻派の結成についてのお話のあと、木下さんと山階さんに
「西荻派に誘われてどう思ったか」
の質問が。 

木下さんは短歌を始めた頃、仲間と冊子を作り、先輩歌人などに送ったことがあったそうです。

その当時はまだ面識がなかった枡野さんにもその冊子を送ったところ、無視されても当然なのに枡野さんは丁寧に返信してくれ、木下さんは
「その時の恩をいつか返したいと思っていた」
のだとか。

また、山階さんが第一歌集を出版する前、枡野さんの力強い後押しが。
帯文も枡野さんと東直子が担当されました。
(枡野さん曰く、「この25年で初めての帯文」) 

山階さんは
「枡野さんの手助けがなかったらあの歌集は出ていなかった。
その後もお世話になっていて、恩返しができればと思った」
と話していました。

(ちなみに、このお三方に限らず、西荻窪には他にも飯田有子さんなど、歌人が多いのだとか。)

さて、枡野さんは木下さんと山階さんのことをどう思っていたのでしょう?

「木下くんは最初から目立っていた。 

弟子の佐々木あららと2人で
『(木下くんに)声かけよう』
と言っているうちに、あっという間に売れていった。

木下くんの本(第三歌集「オールアラウンドユー」)は布張りの本が1位になるのがすごい。

本人もすごいし、出版社も頑張っていると思う。

木下さんの第一・第二歌集を出版した書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)は若手の登竜門みたいになっている」

「山階くんは短歌の賞で3回2位になってる。

僕自身が2位になった経験があるから、他人事じゃないと思った。

彼の最初の本はレイアウトも全部自分でやってる。 

短歌研究社は山階さんの歌集を出した後、その雑誌に見えるデザインを次々に踏襲している。」

そして、最近「短歌ブーム」と言われていることに関しては、木下さんは
「自分の見える範囲で、(短歌人口が?)10年前よりは増えている気がする」
との感想。 

サイン本を作るために書店を訪問しても
「怖くなくなった」
のだそうです。

ご自身が慣れた、というだけでなく、書店の方にとっても短歌集の存在や歌人の訪問がより当たり前になった、ということなのかもしれません。

枡野さん曰く、
「25年前から時々短歌ブームと言われるけど、今が一番短歌ブームだと思う。」

実際に、このイベントが行われた今野書店では(フェアなどもしていることもありますが)しばらくの間、枡野さんの新刊が売上ベストテンの1位となり、その次に1位になったのは木下さんの新刊「オールアラウンドユー」。 

枡野さんは今野書店で歌集が上位にランクインしていることについて
「西荻の人は文化程度が高すぎるのでは。
歌集を買おうとする人たちがいることがすごい」
と言っていましたが、今野書店だけで歌集が売れているわけではないのです。

例えば、2022/10/24日付のジュンク堂書店吉祥寺店の今週のランキング(一般書)で木下さんの「オールアラウンドユー」が2位。 

同日付のジュンク堂書店池袋本店の今週の文芸書ランキングでも木下さんのこの本が3位。 

木下さんが取り上げられた「情熱大陸」ではこの本の創作過程も取材されていたので、その影響も大きいのでしょうが、それにしても、西荻にとどまらず、
「歌集を買おう」
と思う人たちがそれだけいるのはやはりすごいこと。

短歌ブームについてのお話の続きは、また次回に。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


*この日、会場には某テレビ局の取材が。


このイベントも短歌ブームの

ニュースの一つとして

取り上げられるのかも。

(すでに放映されたかどうかは未確認)

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