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世界史で勉強しなかったこと。

「英国の宮殿」といえば、
やはりバッキンガム宮殿を思い浮かべる方が多いと思います。 

でも、英国でいくつかのお城や宮殿を見学して、
わたしがいちばん印象深かったのは
「ハンプトン・コート宮殿(Hampton Court Palace)」
でした。 

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ロンドン南西部にあり、
ウォータールー駅から電車で四十分くらいなので、
旅行中にロンドンのみに滞在している方でも
行きやすいところです。
 
英国で初めて見学した宮殿がここだったので
なおさら印象深いということもありますが
とにかく豪華で壮大。 

ハンプトンコート正門

なんというか、
「王室の権力を誇示するために
最大限立派にしたら、こうなりました!」
というくらいの迫力ある宮殿でした。 

敷地からしてとんでもない広さで、
その敷地に足を踏み入れてから
正門に到着するまでもややしばらく歩きます。
 
広大な庭園もあるので、その広さは
東京ディズニーランドの約5.5倍。
 
いかに広いかわかりますよね。 

もともとは王室のものではなかったのですが
6名のお妃と結婚し、
そのうちの2名を処刑した
ヘンリー8世がこの宮殿を気に入ります。 

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元の持ち主だった枢機卿から取り上げたのか
様々な思惑で枢機卿の方から差し出したのか
諸説あるものの、
この宮殿はヘンリー8世に
「進呈」されたのです。 

それからこのハンプトン・コートは
王室の宮殿として、豪華な宴会、
贅沢な宮廷生活、
そして途方もなく高価な芸術を通して
あらゆる方法で王の壮大さと権力を示すことになります。
 
その後、何度も改築や修復を繰り返しながら
現在に至るため、
建築様式もチューダー、バロック、
ジョージア様式が入り混じる、
独特の歴史的建造物になっているのです。 

このハンプトン・コートを見学していて
興味深いことはたくさんあったのですが
特に印象深かったのは、
チューダー朝時代の台所を再現した
「チューダー・キッチン」。
 
ヘンリー八世は600人とも800人とも言われる
廷臣を引き連れていたので、
その食事を用意する台所もまるで工場のよう。
毎日膨大な食事を用意していた当時のキッチンは
まさに戦場のようだったのでは。。。
 
そして、王のための食事も用意するのですから、
量だけ用意していたわけではありません。
 
ヘンリー8世はクジャクの肉が好物だったそうで、
調理場では羽を抜いてクジャクを調理し、
出来上がるとまた羽を植えつけ、
あたかもクジャクが食卓に舞い降りたかのように
仕上げたそうです。。。

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ということは、クジャクの丸焼きに
羽を1本1本植えつけたということですよね。
なんとも贅沢なお話ですね 

また、世界史で習った「名誉革命」で
王位に就いたウィリアム3世と
メアリ2世もこの宮殿で過ごしていたことがあるのです。
 
ただ、メアリ2世は天然痘で若くしてなくなり
その数年後にウィリアム3世も
このハンプトン・コート宮殿で乗馬中、
モグラの穴に馬が脚を踏み入れたために落馬して重体に。
 
その後、ケンジントン宮殿で五十一歳で亡くなりました。
 
「名誉革命」で
王位に就いたご夫婦が
こんな最期を迎えていたなんて。
 
こういう話、学校では教わらないですよね。
 
現地に行って知って驚いたこともありますし、
今、改めて調べて初めて知って
「面白いなあ」
と思うこともあります。
 
折しも、現在上野の森美術館で
「KING&QUEEN展」
が開催中。

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ロンドンの肖像専門美術館の
ナショナル・ポートレートギャラリーから
チューダー朝から現在のウィンザー朝までの
肖像画や写真が展示されているそうな。 
 
ハンプトンコート にゆかりのある
ヘンリー8世やそのお妃から
現在のエリザベス2世まで、
英国王室の歴史が
楽しく学べそうです。 
 
これはいかなくちゃ!
 
今回も最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
 
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続編も、鋭意執筆中!

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