まな板の上の鯉、背筋を伸ばす
久しぶりに筆記試験とやらを受ける私は、
さながら「まな板の上の鯉」のようだった。
鯉と違う点は、大学の講義室で長机と引き出し式の椅子に着席しているところと、服を着ていることくらいだろう。
(もうやることはない。この1週間やるべきことはやった)と、精神統一とばかりに目を閉じる。
その心は、落ち着かない自分を宥めるのが目的だ。
何年度分かの過去問に取り組んではみたものの、合格ラインに到達したことはなかった。
ふと、大学受験の時に記念受験で判定の悪い大学を受けた時のことを思い出す。
(それでも、受けたかったんだよなぁ。)
(今回もソレに似ている)、だなんて思いながら目を開ける。
そこには、粛々と配られた解答用紙と問題用紙。
自ずと背筋がピンと張る。
ピキッとした音が背中からする。
受かっても受からなくても、その会場に来れただけで良しとしよう。
私が最初に書いた文字は、「落ち着いてやる」。
ページを捲る度、私の字が私を励ます。
今日も会社へ行くだけで御の字としよう。
ゆるーくいくのだ。