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子は今日も走り回る

寝かしつけでは、1時間くらい絵本の読み聞かせをする。毎日続けると喉がガラガラになるから、正直つらい時もある。

それで先延ばししようとして、あの手この手で子どもを釣る。すると突然、子どもが「寝ない」と言って絵本を抱えて寝る部屋から出て行ってしまった。

「もしかして怒ってる?」

尋ねたけれど返事はない。

「ごめんね。絵本を読もう。持っておいで」

声をかけると、絵本を何冊か増やして戻ってきた。それから、

「ぷんぷん!」

と言って、両腕を大きく広げると、頬を膨らませ、目は少し笑った状態で怒りを表現した。

「何それ、かわいい!!」

反射的に叫んだ。

それからまた子どもが「ぷんぷん!」とやった。今度は頬が膨らませられず、完全に顔が笑っている。

子どものやりたいことに付き合っていると、瞬く間に時間が過ぎる。推しキャラクターの乗り物には40分乗り続けるし、滑り台は一度で終わることがない。

そんなに楽しいもんかなぁ、と思うけど、普段は見せない「キャッハー」と興奮した笑みでこちらをみるから、きっと楽しいんだろう。

まぁ、母である私も、屋内遊園地のジャングルジムに子どもと共に登り、疾風のように駆け抜ける小学生と衝突しないよう見守る時、ちょっと楽しい。滑り台でボールプールに突っ込む時も、「これこれ、幼い時にやりたかったやつ」と浮かれている。子を追うことに必死で、その瞬間は忘れているけど。眠る前、写真で振り返りながら、ひっそりと童心を噛み締めている。

子は私の親心など気にも止めず走り抜けていく。もう、怒りも喜びも表現できる。ちょっと前は赤子だったのにね。時間が過ぎるのが、はやい、はやい。

母の時間が過ぎるのも、はやい、はやい。ただ、子を目で追い続ける時間ばかり。


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