#169 客にイライラしてムカツクおねえさんにさえ、羨ましいと思った。・・・ニューヨーク1人旅 2018年11月16日(金)16日目・・・8

そろそろ小腹がすいてきた。次の予定まで1時間弱あるので、ここは迷わず通りすがりに見つけたDEAN&DELUCAに入る。
New York・ManhattanのDEAN&DELUCAで飲食ができるなんて、夢みたい。日本でDEAN&DELUCAに入りながら、どれほどここがNew York・ManhattanのDEAN&DELUCAだったらいいのにと思ったことか。
ついに、正真正銘、New York・ManhattanのDEAN&DELUCAに入った。

ところが、店内は広いのに、客が2~3人しかおらず、カラの棚がいくつもあり、閑古鳥が鳴いていた。時間は18:00。仕事帰りの人たちで込み合っていてもおかしくない時間と場所なのに、日本の活気あふれるDEAN&DELUCAとは、まるで別のお店のようだった。

サンドイッチとラテを注文したのだが、当然ちゃんとはできず、おねえさん店員から何か言われているが、まったくわからない。きっとボケーとしていたのだろう。明らかにイラツイているおねえさんに動揺してしまい、お金がスムーズに出せなかった。イライラおねえさんは、ムッとしたおねえさんに変わった。もちろん良い気はしなかったけれど、こんな体験でも観光中の私にはOKなのだ。

大きな大きな窓ガラス前のカウンターに座り、通りを行きかう人の往来を眺めながら、サンドイッチをかじった。手のひらサイズの小さいサンドイッチ$16、ラテと合わせて$22。日本の倍以上の値段だ。しかも、そろそろ日本食が食べたくなってきている頃なので、あんなに憧れていたNew York・ManhattanのDEAN&DELUCAでの飲食だったのだが、特別美味しくは感じられず、嬉しさも半減した。

窓側のカウンター席に座り、食べながら人が歩いている地面のコンクリートを見ていたら、帰りたくない病の症状が出てきて、悲しくなってきた。
今、私の目の前を左右に行きかう人たちは、1か月後も1年後も、こうしてManhattanを歩けるんだろうな。けれど私はあと1週間でManhattanを歩けなくなる。道行く人たちに向かって、〝ちょっと、今、そこを歩けていることが、どれだけありがたいことか、どれだけ嬉しいことかわかってるの!? 当たり前じゃないのよっ!!〟と心の中で毒づきながら、いつか旅行者ではなく、本物のNew Yorkerとして歩けることを心底願った。

客にイライラムカツクおねえさんにさえ、羨ましいと思った。なぜなら、Manhattanでお仕事をしてお給料をもらうことができているのだから。

人が歩いている歩道のコンクリート

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