17：00少し前、飛行機は滑走路に向かって、ゆっくりゆっくり進んでいた。
窓から外を見ると、私の乗ったNH10便の前に1機、後ろには3機の飛行機が離陸の順番を待っている。
いつぞやのニュースで聞いたことはあったが、飛行機の出発がこんなにも混み合っていることを目の当たりにし、驚いた。

みんなどこへ行くのだろう。重要なビジネスだろうか、大切な人に会いに行くのだろうか、重い気分の人もいるかもしれない、女三人寄ればかしましい旅行もあるだろう。もしかして逃亡犯も紛れ込んでいたりなんかして。
そして私は、今、35年以上憧れ続けたNew Yorkへ、ドキドキしながら離陸の時を待っている。
 
やっとここまで辿り着いた。長かった。
時間、体力、軍資金、タイミングなど、すべてが整って、ようやく今なのだ。14時間後にはNew York・JFK空港に降り立っているだろう。
陽が落ちて薄暗くなりかかった空港を楕円の窓から眺めながら、ここまでよく生き延びたね、頑張ったねと、自分で自分を褒めた。