見出し画像

勉強できるできないって、そもそも何なんだろう。

昨日は小学校の個人懇談だった。

雨はザーザー降っているし、ソフトバンクの通信障害でスマホはつながらないし、まったく気分がのらないなか長靴を履いて出かける。
学校について鏡を見たら、せっかくドライヤーで伸ばした髪が湿気で見事にクルックルに渦巻いていて、誰にも会わずに帰りたい気持ちになる。
でもちゃんと懇談してきた。えらい。

さて、不器用だった私とは違い、子どもたちは楽しく学校生活を送っているようでひと安心。
勉強はできないよりはできたほうがいいんだろうけど、まだ小学生だし、本人のやる気がなければどうにもならない。
友達と仲よくやっていればそれでいいとも思っている。

勉強できるできないって、そもそも何なんだろうなとも思うのだ。

私には2人の妹がいるのだけれど、一番下の妹をみているととくにそんな疑問がわいてくる。

彼女は小学生のとき、いわゆる勉強ができない子だった。
見たことないような点数のテストを妹が持って帰ってくると、母が怒り、その矛先は私にも向けられ、勉強を手伝うハメになる。

「まりこさんが3個りんごを持っています。たろうさんは2個りんごを持っています。合わせて何個でしょう?」
たとえばこんな問題があると、3+7=10みたいな答えを出す。
そのまんま足せばいいのに、妹は勝手に7を足す。
どっから7が出てくるのかと聞くと、「7が好きだから」と答える。

ほほう、そうきたか。ねえお母さん、どうすりゃいいの、私。

夏休みの宿題も大変だった。
3姉妹そろって計画性がなく、母も土壇場になるまでほったらかしなので、毎年夏休みの最後の週は真っ白な宿題と全員が向き合うことになる。

忘れもしない、妹が小6だったとき。
高校生の私はやっぱり夏の終わりに宿題に追われていて、妹も隣りで読書感想文を書いていた。
できあがった感想文を見た母が「なにこれ! なんでこの本を選んだ!!」って叫んでいる。

小6だった妹が選んだのは、『にゃんたんのゲームブック』。

主人公のにゃんたんがお姫さまを助け出す話なのだけど、「◯◯なら◯ページへ」という文言がいろんなところに入っていて、読み手によって展開が変わる本。対象年齢6歳~。

隣りにいた私も巻き添えを食らい、「これを見てみなさい!!」って母に怒られる。
「にゃんたんはすごいね。私だったらあそこで◯ページには行けなかったよ。勇気があるね。」
とか書いてある。
いやいや、◯ページに行くことを選んだのはにゃんたんではなくあなた。
何度説明しても妹には伝わらない。

結局私が妹の年齢に合った本を選んで、妹の感想文を書くことに。
私も切羽詰まってるので、もうええわと思って同じ本で自分の感想文を書いた。

妹が通っていた学校の通知表は1(悪い)~5(良い)までで点数がつけられるのだけど、まあみんな悪くても3くらい。
あるとき、「すごい成績がとれた!!」って喜んで帰ってきたので通知表を見たら1と2のオンパレード。

「すごいやろ? いっちに~いっちに~って、行進してるみたいやろ??」
めっちゃ得意げ。
母はその後、うちに訪問販売に来た「絶対成績が上がる」という文句の教材を一式衝動買いしていた。
教材たちは、そのままホコリをかぶって部屋の隅に置かれることになる。
さすがにやらなければ成績は上がらない。

高校に進学するのは無理だろう。
でもこの子はなんせ明るい。おもしろい。それでいいじゃないか。
無理に勉強させないでのびのび育てよう、誰もがそう思っていた。

妹が中学2年のとき、私は大学へ進学し、京都で一人暮らしを始めた。
その年のお正月に帰省したとき、私ははじめて妹が勉強机に座っている姿を見ることになる。

「え!! 何してるん??」
と驚く私に
「勉強してるよ」
ってサラリと答える妹。

何がきっかけだったのか、実家を離れていた私にはわからない。
けれど、妹のやる気スイッチがどこかで入ったのは間違いなかった。

高校にも合格し、私が落ちた大学に推薦で受かり、宅建を一発で合格し、どうやら先日受けた国家試験も一発合格する気配。

気がつけば、家族のなかで一番優秀な子になっていた。
私ももう、彼女がなんの試験を受けても落ちる気がしない。
多分、うちの家族で勉強の楽しさを知っているのは、自らのタイミングでやる気スイッチを入れた彼女だけだと思う。
それってめちゃめちゃカッコいい。

いっちに~いっちに~って笑ってた妹もかわいくて仕方なかったけれど、目標に向かって突き進む妹もやっぱりかわいい。
もうお互いアラフォーだけど、妹たちはいつまでたってもかわいいものだ。

というわけで、勉強できるとかできないとか、母としていまはそれほど興味がない。
でも、妹のいまの姿を見ていなければ、私もいつか教材を衝動買いしていたかもしれないな。

常にとばっちりは受けてたけど、母の愛は深かったなあと思う。
きょうだいゲンカするとなぜか一番ヒートアップして、「そんなにケンカするんやったら包丁もってこい!! それでやり合え!!」とかめちゃくちゃなことを言って私たちの闘争心を奪う母の話も、またいつか書いてみたい。









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?