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初心者だという自覚の無い人たちに困る師匠たち

グチ投稿が連続してしまった。笑

以前も似た内容の記事を書いた事がありますが・・・

また似たような話を書きます。

これは私個人の経験談というよりは、教室ではなくプロを目指す弟子を入れている工房の親方だとほぼ経験する事なので、親方の立場にある人同士だとだいたいこの話題で盛り上がります。

そしてこれは仕事の場だけでなく、お稽古事や、フィットネス系の業界でもあります。

それぐらい分野を問わず良くある事です。

Threads などにも、そういう話題が出て来ていますね。

(念の為書きますが、これは年齢を重ねた人は創作の場に入ろうとしてはいけない、という意味の話ではありません)

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伝統系のモノづくりの分野で、教室ではなく商品を生産している工房には時折、30代半ば〜中年からそれ以上の年齢でモノづくりの修行を始める人がおります。行く行くは自分も創作で生きて行きたいという事で入って来るわけですね。現実的にはその年齢からそれ一本で食うのは厳しいので最終的には「ライフワーク+多少のお金が入れば良いな」という感じを目指す人が多いです。実際、布系では有名な作家さんであっても自分の作品の売上のみで生活している人は非常に少ないですし・・・

現実的に専業プロを目指して始めるには30代半ば〜中高年スタートだと、かなりの覚悟と努力が必要になります。職人仕事はプロスポーツ程激しくはありませんが、同じく身体を激しく使い、肉体と脳との連動も取らなければならないものだからです。もちろん大変熱心で、師匠の言う事を良く聴き適切な努力をし、質の高い人脈も得て専業プロになれる人もおりますが、簡単な事ではありません。(ちなみに、当工房の弟子入りは28歳までという年齢制限があります)

そのような30代半ば〜中高年から修行を始めた人の一部は・・・一部と言っても割りと多くいるのですが、年下であっても創作一本で生活している自分の数倍から数十倍のキャリアと実績のある仕事上の先輩に対して、なぜか自分よりもキャリアの浅い人間だとみなし、気安過ぎる態度で接する人がおります。

新しく別の分野に入って来て、現状では一番下に居るのにもかかわらず、なぜか自分がそれまでにして来た他の分野の仕事のキャリアを振りかざし、尊大な態度を取る人たちです。

そのような人たちは本音では手仕事の工房の仕事なんて今まで自分がして来た仕事に比べればたいした事はないと思っているのを隠し切れておらず、時に上から目線で的はずれなアドバイスをして来る事すらあります。

プロの工房ではなく長年お教室に通っている生徒さんでも、自分のキャリアが長いという自負からか若いプロや講師の人への態度が悪い人がおります。プロの現場とお教室では全くレベルが違うので自分とプロとの差が分からずそういう態度になってしまうようです。

プロでなくとも習っている期間が長いと耳年増になります。その人の持っている知識や体験を貯めておけるものをコップに例えると、そのコップが中途半端な知識や経験でいっぱいになっているので、後から本当に得るべきものに出会ってもそこには入れられない状態が耳年増です。そのような人たちは、その中途半端な知識と経験により実力の伴わない自負を持っている事が危険であり実質的に未経験者よりも下になっている事を知りません。

また、上記のような尊大な人であっても、その業界で何かしらの権威を持っている人に対しては、その人がどんなに若くポンコツでも随分と下手に出ます。まあ、伝統系に限らずそういう人は多いですね。権威に弱く擦り寄りたがるのは人間の性ですから。

常識的に、そのようなタイプの30代半ば〜中高年の初心者の方々は、新しく参加した業界では仕事上、最も下のレベルにいるのですから、その業界内では謙虚でなければならないのは当然で、年下であっても業界の先輩に対し謙虚でいるべきです・・・色々学ばせて下さい!という姿勢であるべきだと思うのですが、彼らはそうは思っていません。無自覚に非常に無礼である事が多く、周りの仕事人たちは戸惑います。

もちろんその業界の若い先輩たちは、取り敢えずはそういう人であっても「人としては」年長者として尊重して扱いますが、プロの現場の場合は仕事の覚えが悪く加えて態度が悪ければ相手にしなくなります。お教室ではないのですから、それは当然の事です。そういう人たちであってもプロとして仕上がるまで教えろ、年上なんだから敬え!というのは無理な話です。昔の景気の良い時代に若くして現場に入った人でも一本立ち出来るようになれるのは極一部の人しか居なかったのですから。

困った事に、そういう狼藉を働いている弟子を目の当たりにしても指導しない師匠がおります。師匠が現場のスタッフに丸投げして放置している場合もあります。そういう師匠はそもそもスタッフたちに業界の対人関係の指導もしないようです。逆に、そういう狼藉を働く弟子を「物怖じしない頼もしい弟子が入って来た」と思ってしまう人さえいます。ですから、師匠自体がポンコツという場合もあります。

しかし、弟子を良く観察・管理している師匠であっても弟子が師匠のいない時に行った事までは、なかなか管理出来ないので難しいものです。他人から弟子の狼藉を聞かされ、脇下の汗一升、なんて事もあります。

そうそう、

弟子に入って来るそれなりに年齢を重ねた人で、いつまでも独立せず学んでいる人がいます。そういう人は「私は〇〇先生にも△△先生にも習っていたからキャリアがあり色々知っている」と自慢しますが、しかし仕事が出来るわけでもなく、中途半端に工房を渡り歩きます。「この師匠では私を伸ばす事が出来ない」などと言って次々に師匠を変えるのです。お医者さんを次々に変えるドクターショッピングのように「師匠ショッピング」をしているわけです。

そのような人たちは、実際に仕事として使える部分が殆ど無く変に耳年増なだけで何も出来ない人が殆どです。例えば勤めていた一流レストランのシェフの紹介状を持って色々な一流レストランを渡り歩き着実にキャリアを積み重ねる料理人などとは全く違います。

仕事を中途半端に覚え中途半端に辞めると、辞める度にキャリアが無効になるのですが、しかし中途半端に前の師匠の教えが残滓となって残ります。この「残滓」が非常に厄介で、それがその人の成長を阻害します。残滓は腐敗するのです。特にそれを繰り返し「その人の器が腐った残滓でいっぱいになっている人」は、器に満杯に入っている感覚だけはあるゆえに自負だけが膨張し、プライドが異様に高く仕事では変な癖だけ身に付けた使えない人になるのです。

そういう人は、何かを教えている際に「〇〇先生はそういうやり方では無かったですが、ここではそうするんですね?」と、その工房スタッフや師匠にワザワザ言い、自分が経験豊かで知識がある事を仄めかします。それは大変失礼な行いです。学ぶ人は絶対にやってはいけない事です(新しい師匠に聴かれたら別ですが)そのようなタイプの人たちは、他所の工房の人々へも失礼な事をしたり失礼な物言いをするので、師匠は注意が必要です。

何にしても、上記のような人たちは、仕事が上手くなる事はありませんし、対外的に師匠と工房の名を貶める元になりますから、キチンとした対処が必要です。

これは師匠と弟子の問題という狭い話ではなく、会社の人事などでも同じですね。ただ、師弟というのは、特に内弟子の場合、上記のような問題がより濃く出る傾向がありますから弟子を入れるのはなかなか覚悟のいる事です。

これは弟子でも社員でもそうですが「あなたの振る舞い自体が、あなた自身の評価だけでなく、工房、師匠への評価に直結します。人は他人へ知らず失礼な事をしてしまうけども、要所はキチンとして下さい。要所をキチンとしていれば、多少の失敗は流してくれるものです」と説明するのですが、狼藉を働く弟子は、年齢性別問わず、自分はそれが出来ている、むしろ普通の人よりも出来ていると思っていて変に活動的だったりもします・・・とにかく人を入れる、育てる事は難しいですね。

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・・・今回は、師匠同士でそういう話題で盛り上がる、というお話でした。もちろん完璧な師匠なんて存在しませんから師匠だっていつも反省ばかりなのですが。

仕事は、仕事の事よりも、人間関係の方が難しい面が沢山あります。

人間だもの。


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