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しずおか茶町体験記〜1~

静岡が誇るお茶文化を象徴するのが「茶町」(ちゃまち)と呼ばれるエリア。江戸時代、将軍家御用達としてお茶を献上していた歴史もあり、独特の商業文化があります。

お茶には独自の取引市場があるってご存じですか?とくに5月は活気にあふれ、まさに売り手との真剣勝負!2018年と少し前になりますが、体験ツアーの記録を改めて。圧倒的素人目線での茶市場体験記です。

お邪魔したのは株式会社静岡茶市場。日本で最初にできた茶市場で、静岡県産だけではなく鹿児島など全国のお茶が集まります。市場は売り手(生産者など)は買い手(茶商など)を仲介し、安定的な流通を担っています。

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参加したツアー(主催:(株)そふと研究所)は朝6時に市場集合。すでに取引に参加される多くの方がお茶を吟味していました。青い帽子は買い手、黄色い帽子は市場の方。

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帽子をかぶって市場の方にご案内をいただき、いざ張りつめた空気の中へ^^

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市場で茶商などの買い手がお茶を選ぶことを「拝見」といいます。茶葉が「拝見盆」と呼ばれる黒いお盆にのせられズラリと並び、それをひとつひとつ買い手が手で触り、艶や茶葉の大きさや重さなどの品質を確認し、さらに鼻を近づけて香りもチェック。

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そこからこれは、と思ったものは、水見場へ移動して味や水色をさらに吟味します。そこでは一定量の茶葉が拝見茶碗に入れられ、沸騰したお湯(!)がジャー!っと注がれます。そしてすくい網で茶葉をすくって葉の開き具合や色合い、香りなどを拝見。ご家庭で飲むときは、旨味を引き出すには低温、苦み渋みは高温で、なんて温度を分けて楽しむのですが、ここではそんな悠長なことは言ってられません。

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そしてスプーンでお茶をすくって味見をし、一度に苦み渋み甘みなどをチェック!それもとってもスピーディー!さっさっさっと拝見が進められる様子と鋭い目つき、そして活氣に圧倒されます。

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それからお茶屋さん自らの火入れでどのくらいの味わいに仕上げるかをイメージして札入れ。その後、無事取引が成立すると「シャンシャンシャン」と盛大に3回手をたたき「手打ち」。それもなんか格好いいんですよ^^。

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その後、ツアー参加者は特別に「拝見体験」をさせていただきました。ずらりと並ぶ各地のお茶。実際に触らせてもらったり香りを嗅いだり。改めてお茶の種類や品質、加工の仕方などなど多彩で深いお茶の世界を感じます。

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そして拝見茶碗で葉の開き具合や水色、香りの違いなども体験。拝見茶碗が白いのはそれぞれの差を分かりやすくするため。またこれは後日お茶屋さんに伺ったのですが、すくい網の傾け方で香りの立ち方も変わるそう。着る服も水面に映り込むと水色の評価に影響するので赤い服はご法度。繊細な世界なんですね!!

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さらにさらに美味しいお茶の煎れ方講座まで!プロの技を惜しみなく教えていただきました。これはこれでまた書きたいと思います^^

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いやー、たかがお茶、なんてこの熱量を感じたら、もう口が裂けても言えません(笑)。こんなアツい世界があるからこそ、世界に誇る文化としてお茶の世界があるのだなぁと実感しています。

ミカン農家の娘は畑の境界にお茶が植えられている光景が当たり前だと思っていましたが、最近ではミカンだけではなくお茶も栽培をやめる畑も増えています。買った方が安い、とはお茶に限らず田舎でよく聞く言葉。私には残酷な響きに聞こえます。

幸いうちは父がお茶が好きで自家用に栽培していたこともあり、今年からお茶の販売も少量ですが始めました。豊かな里山のめぐみをこれからも分かち合い、喜びを巡らせていきたいと思います。

いただいたサポートは無農薬、自然栽培の勉強に充てさせていただきます。