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2月の蚊の多さと撃退方法あれこれ、そして蚊の死に方について【バングラデシュ渡航記2】

その2月は、蚊がたくさん死んだ。バングラデシュの話。

誰かが日本から持ってきたらしい「萬歳楽」と書いたありがたそうな紙と注連縄の入った袋に、干からびた蚊が一緒に入っている。蚊を殺しすぎて、せめてもの救いに誰かが神様に捧げたのかもしれない。

この記事のサムネはなかなか情緒的というか夏の風物詩みたいになっているけれど、んもうそんなことではないことは、これを読んでくれたら分かると思う。蚊が多すぎて、蚊について書いたら1700字を超えた。

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蚊の多さと撃退方法あれこれ、そして蚊の死に方について

出張の超初期に覚えたベンガル単語のひとつが蚊(「モシャ」)である。蚊についてはのエピソードは止まらないというか、「いっぱいいる」としか書きようがないというか、とにかくバングラデシュは蚊が多い。

時間帯としては夕方から増えてきて、夜になるともうすごい。

このあいだは、夜2時間ほど仕事をしながら蚊を殺し続けた。仕事が終わる頃には自分の座っていた椅子の周りの床には殺戮現場が広がっており、数えたら37匹の遺体が転がっていた。蚊の神様に呪われて、来世でなにか良くないことがありそうな気がする。

この文章を書きながら、3分連続で蚊を殺さずに文章を書き続けられたらいい方で、すでに15匹くらいは殺している。この文章は蚊の多大なる犠牲の上に成り立っていると言っても過言ではないのである。

蚊について、というより蚊の撃退グッズについても特筆しておきたい。

手でパチンパチンとやるのではない。驚いたけれど、蚊取り線香(モスキートコイル)も、日本と同じ形式で同じ匂いのものがある。もちろん周りに無いもないときは手でやる(殺る)けれど、そんなことをしていたら蚊を殺す以外の物事は何も進まない。国の経済発展に関わる。

そのへんに蚊がプンプンしていたら、撃退グッズでいちばん手っ取り早いのはテニスラケット状のバットである。

テニスラケットのガット(網)にあたる部分が金属になっていて、そこを電流が走る仕組みになっている。だから蚊を殺すときはパチパチと音がする。線香花火をやっているみたいな音になるときもある。実際に光もパチパチ光って、蚊が焦げる匂いもする。文字にすると残酷なようだけど、慣れると本当に機械的にやるしかなくなる(かろうじて、そういえば文字にすると残酷かもしれないと思いついたくらい)。

蚊が死ぬときは、即死する場合もあれば、ずっと網でバチバチいっている蚊もいるし、網にかからず床に落ちて、どういう原理かクルクル高速回転してから絶命するやつもいる。

ボタンをいじると懐中電灯のような明かりもつくようになっていてなかなかハイテクな必須アイテムである。今も、通りを挟んだ向こうのアパートの家からバチバチ音が聞こえてくる。誰かが闘っているのだ。

あとは日本から先輩が持ってきた強力スプレー。一吹き、二吹き、心配なら三吹き四吹きくらいしておくと、時間差で瀕死状態の蚊がバタバタ落ちてくる。自らの手で殺めなくて良いだけでなく、数分でスプレーの可動圏内にいた蚊が一撃できるのでとても効率的である。そんなものが日本に存在していることすら知らなかった。
田舎で大量に出たときはこれを使って、本当に文字通り集めて掃いて捨てた。

このスプレーの特徴としては、即死させてあげられないことである。致死的なほど強くないようなので、落ちてきた蚊がしばらくウヨウヨと動いている。

そこで床に集めて例のラケット状バットで一斉に電流にかけてあげたところ、バチバチバチバチっと光と音の大花火大会になった挙句、ラケットの網目という網目に蚊が張り付くことになった。これは全然おすすめしないので、時間がたって死ぬのを待つ方がよい。

夜は蚊帳で寝ることはもちろんだが、蚊帳の中に蚊がいることも珍しくない。どう管理すれば蚊帳の中に蚊が入らずに済むのかよくわからない。寝ていて、痒くなったり、ぷぅぅぅぅぅううんという世界共通モスキート音が聞こえてきたりして(モスキート音の意味が違う気がする)、目覚めることも週に何度もある。体調管理の上で本当に侮れない。

季節としては3月上旬で30度を超えているのだが、もっと暑くなり雨季になると蚊もバテるらしく、今がピークだと聞いた。蚊に関しては、そうであることを信じたい。

蚊取り線香がきいて3分以上文章をかけるようになったので、ついつい蚊について書きすぎてしまった。

落ち着いたところで、気休めに一緒に合掌してください。蚊の神様にわたしが呪われんことを。合掌。

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*村上春樹のエッセイ「遠い太鼓」みたいに書きたくてわざわざKindleで買って読んでそのテンションで書きました。990円。1こ読まないと1こ書けないなんてコスパ悪いですね。


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