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ジャンプする天体 天岩戸開き

何故、ヒトは月にウサギやカエルがいると想像したのか。
この物語を生み出したヒトは、何から着想を得たのか。

おそらく天体の動きに注目したのだろう。

月は、朔を境に出現する場所が東から西へと飛ぶ。
東の空に夜明け前見えていた月齢27日位の三日月が
突如、月齢2日目には、日の入り後の西の空に出現する。それも、月の向きは左右逆転する。

これは、太陽と地球の間にある天体におこる現象で、
内合の期間(見えなくなる期間)を挟んで、数日で鏡のように左右対称の現象が起きる。
朝と夕と時間が逆転し、東と西と場所が逆転し、右と左向きに形をかえる。

形を変えるのは月だけではない。
水星も金星も月のように満ち欠けし、光度も変化する。

このジャンプ現象を、ウサギやカエルの跳躍に引っかけた。
水星を指すバビロニアの言葉は『飛び跳ねるもの』というような意味である。朝、夕に一瞬だけ空に現れるからというが、むしろ突然位置を変えるからではないだろうか。
ジャンプの間は太陽の光のトンネルに入り見る事はできない。
トンネルを抜けると全てが逆転している。
まるで鏡の世界を通り抜けてきたかのように。

そう、鏡。

天照大神を天岩戸から引き出した八尺鏡は合のトンネルだと思う。

まずウサギについて詳しくみていく。
ウサギは後ろ足が強いため、坂を上がるのに適しており、下りには弱い。
つまり、昇る力は強く、下る力が弱い。
金星が明けの明星、宵の明星として空に輝く間の軌道。昇る間は徐々に光を強めていくのに対し、降りでは徐々に光を弱めていく。

ウサギは、金星を指しており、満ち欠けすることから月に重ね合わせられたのだろう。
金星はメソポタミアでは豊穣の女神イシュタルと呼ばれた。
インドの古代神話では男神シュクラで、その光と色から「16の光をもつ神」、「白い神」とも呼ばれ、中国では太白と呼ばれた。

金星の公転周期は224日、会合周期は584日。
8年に5パターンの会合をする。

カエルは恐らく水星にあたる。
西王母の不老不死の薬を飲んで、カエルになり月に隠れた蟾蜍(せんじょ)
水星は農耕の季節に深く関わっているため、カエルに例えられたのだろう。

水星は公転周期88日、会合周期は116日。

月も金星も水星も太陽の世界には存在しない。
ただし、交点では日食を引き起こし、太陽の光を遮る存在となる。

天照大神が岩戸に隠れるのは、日食を象徴していると言われる。
日食は正しいが、解釈が間違っている。
天照大神を太陽と前提とするのは違う。

天照大神は、北極星を中心とした天の赤道の範囲を、
須佐之男は、黄道である海原を治めていた。
二人が対峙するのは春分点がしし座レグルスに来た時。
北極星はヘラクレス座にある時代(紀元前6000年頃)
秋の空にしし座が昇る頃、秋雨前線が活発化する。
天之真名井に降りすすぎて
さがみにかみて吹きうつる
気吹きの狭霧になりませる
この宣約の描写は、秋雨前線を指している。
天之真名井は天の赤道と黄道の交点となる。

天照大神が岩戸に隠れたのは、
ヘラクレス座からりゅう座に北極星が移動するまでの間、ふさわしい北極星が見当たらない期間を指す。
世界は道標を失った。
そのため、北極星に代わる指針を見つける必要性が生じた。
それが、水星と金星だった。

厳密にいうと、季節ー風と雲(雨)、気象観測の時代に入っていく。農耕の時代になった。
こうして遼河文明に龍や風水が誕生した。

天照大神が忌服屋に座す時、スサノオが天の斑馬を投げ入れて、天の服織女は梭に陰上を衝いて死んだ。
つまり、北極星がりゅう座(死者の魂の帰る場所)にある時、黄道上の秋分点は射手座にあり、秋分点と天の北極を結ぶ零時の線は、こと座を貫く。
早い話、天気が悪い季節で方向が分かりにくい。
北極星も分からない。
夜空の暗黒時代に突入。

天照大神を岩屋戸から引き出すのは天宇受売。
ベガは、太陽系が向かう方向である。地球は太陽の周りを螺旋状に移動していく。
渦の目が、ベガ。
岩屋戸が閉まらないように押さえた手力男は木星。
太陽の力は地球を引っ張るが、外惑星の木星も反対から地球を引っ張る。
地球は太陽と共に銀河系の渦の軌道にある。

歳差運動と地球の進行方向を計算し、印となる星を導きだした。

夜の世界の人々は、何とかして時間を守ろうとした。
どうすれば、夜の時間を知れるのか。
夜明け前と日没後に出現する水星と金星に目をつけた。
夜明け前の星、ヒライアカルライジングである。

例えばオリオン座は、現在天の赤道上に三ツ星が配置されている。つまり三ツ星は真東と真西を示している。
春分秋分点がわかる。
同時に太陽が昇る直前に三ツ星が昇る時期は、夏至を、
太陽が沈んだ後に三ツ星が昇る時期は、冬至を示す。

水星はより太陽に近いため、ひと月単位で出現を繰り返す。視覚的に時間の指標になりやすかった。

金星は会合周期が584日あるため、昇っている時間は長い。金星と太陽の時間差を測った。水時計で。
金星は甕星と言われる。水を貯めていった。
水の量は柄杓で測る。
故に、北斗七星も柄杓の形を取り、時計代わりに用いられてきた。
時間は、星の角度と水の量から得られた。
宵の明星は西の空に輝く。
天気は西から変化し、雨雲がやってくる。
西は水を運んでくる。
金星は水の象徴となった。豊穣の象徴である。

北極星天照大神は、金星と水星という味方をつけて、夜の世界を守った。
秋ー太陽の力がどんどん弱まっていく。
夜の時間が強まっていく。
冬至を過ぎれば再び太陽は力を盛り返す。
だから、古事記では秋を豊秋としきりに推す。

天照大神は太陽神ではない。むしろその反対の世界を治める存在なのである。
天岩戸は、太陽が作りだした籠(檻)である。

カゴメ、カゴメ、籠の中の鳥はいつ出会う?
夜明けの番人、水星と金星。






























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