蠍、蜂、蚊、蛇

虫とつく漢字が気になったので
色々調べてみました。

蠍は虫に歇とかく。
曷の意味は死霊を呵して責め、呪詛する意味。
欠は口を開いて声を発する人の形。
歇は呪詛し、声を発して災厄を止める行為を意味する。
つまり蠍を連想させる民族は、この呪儀を行う民族であったと推測する。

また蠍は毒を刺し、鋏を持ち、夜行性である。
毒矢、切る(刀)、夜
狩や闘いを連想させる。

蠍を示す漢字には蠆がある。萬(万)の下に虫形を加えた象形文字であり、虫虫(こん)に従う字形もある。
萬は禸ジウー(九と厶)に従うとある。
禸は大小の虫の相交る形。相ふみつける意味らしい。
その萬にさらに虫を重ねて蠆とする。三虫が交わって蠆となった。
これは実に興味深い。
虫の旧字は蟲である。つまり、上下逆が蠆になる。
必ず、意味があったはずだ。

蜂は虫に夆とかくが、旧字は逢の下に虫虫と書く。
逢は神怪変異にあう意味である。逢魔時ともいいます。
虫虫(コン)は昆ー小虫の象形、群衆を意味する。

昆は昆虫の形とされるが、この漢字はなかなか複雑である。日と比に分解され、日は太陽の形、比は虫の足の形。日は元々、中に小点を加えた形である。

おそらくこれは、人の象形である。
民と言う漢字は、片目を刺された奴隷を指す。
つまり、民衆ー小さな群衆とは、奴隷の人々を指す。
その人々は片目であったから、日の象形が一つ目の顔に相当する。比の足の部分は、手足が長い事を指す。
根拠は、日と実とが古代同音であった事にある。

実と言う漢字は、旧字を實に作り、宀と貫に従う。
説文では「貫を貨物となす」と言う。貫は貝貨を貫き重ねたものらしい。
これまで貝について何度も考察したが、
貝は子安貝の形とされるが、元々は妊婦の形の象形と推測しており、横縞の文身をほどこした妊婦を指す。
文身の儀や子安貝が採れる場所は温かい地域。

殷では妊婦を殴る儀式が存在したことからも、妊婦の奴隷の需要が高かったと推測している。妊婦が連なる様なのではないだろうか。

殷が滅びた時、呪儀は廃れ、妊婦は人道上用いられなくなり、代わって貝を貨幣としたのではないだろうか。
故に、日は元々、熱帯の一つ目の奴隷を指すと考えるのだ。

逢と言う漢字が神怪変異とは、この奴隷階級の人々には何か特殊な能力があったと推測される。
それが、蜂のもつ特性。
毒、針、群、太陽の位置を知る。8の字行動、方角を知る。蜂蜜を採る(ミツバチ)、女王蜂。女性の群れ。
ジガバチらは土バチ、蚕に卵を産みつける。

羽根を持ち飛ぶことから、帆船を乗りこなして海を飛ぶように往来したと考えられる。蜂蜜を運ぶように食料を運んだ。彼らは、太陽を目印にした事から昼の人々と言われたのではないか。また、蜂は寒さに弱い。
暖かい所の人々であったと考える。
羽音にも意味があろう。低音の弦楽器を演奏し、舞を踊った。タイの弦楽器をイメージする。

ちなみに、宦官は陰茎をカットした人々を指す訳だが、この南方の文化圏に男色、女装があるのも偶然ではない気がして仕方無い。

蚊は、虫に文と書く。
旧字は民の下に虫虫と書く。
民は片目を刺された奴隷の意味。
虫虫は群衆。
文は文身(いれずみ)の形である。胸に朱色などで加える文身をいう。

蚊は、血を吸う(産卵の為にメスだけ)、刺す、痒み、マラリアなどの病気を媒介する。アレルギー反応、病気の元になる危険な生き物である。

美しい文身を施した奴隷、吸血するのはメスだけ。水場に卵を産みつける。
マラリアは、日本においては昭和中期まで土着マラリアとして存在していた。琵琶湖周辺での大発生があった。

蚊の漢字は、羽音のブーンに由来するとあるが、それだけでないと考える。もっと大きな理由があった。
恐らく、文身を施した美しい女性は、笙など高音の楽器を吹いたに違いない。蚊のように飛翔する美しき舞姫たち。
さらに、夏に活発である点。冬は姿を消す。
渡りの人々であった事が推測される。
これが蚊の元々の意味するものであったと考える。

蛇は、虫に它とかく。
它は頭の大きな蛇の形。
おそらくコブラのような形状だろう。
つまり、熱帯の蛇を指すと考えられるし、
髪型が膨れた形ともとれる。結髪して結い上げていたのではないか。
髪型と地域の特色を表現していると思う。
蛇もまた、暖かい所で活発に動き、冬に姿を消す。
コブラは毒をもつ。毒使いに長けていた人々だった。

以上見てくると、虫と表現された民族は、主に温かい地域からくる渡りの人々であったと考えられる。
そこに、中国東北部の比較的寒い場所の虫が加わる。そして蠆(さそり)が誕生する。
蜂も蛇も蠍も蚊も全て毒性を持つ点で共通している。

また、虫は蒸しにも通じ、つまり群は熱気をもつため、蒸気が発生する。この点も、無視できない。

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