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炎に包まれ、美しい音色を聞く楽焼体験| #うつたび 京都編

みなさん、こんにちは。うつわが好きなスタイリスト菅野有希子です。今年の春、京都、奈良、滋賀の陶芸産地をめぐる #うつたび してきました。今回はちょっと素敵な京都での体験についてお話しします。

春の京都、ギリギリ桜が咲いてました。満開を超えて散りかけ

「TOKINOHA Ceramic Studio」

訪れたのは「TOKINOHA Ceramic Studio」。うつわの展示販売を行うショップはもちろん、職人さんの工房や、体験スペースも兼ねた複合施設です。トキノハのある清水焼団地と言うエリアは窯元や原料屋さんなどが集まるエリアだそう。

ガラス張りの窓からさんさんと光が入る明るいギャラリーが気持ちいい。お買い物も楽しみですが、私のお目当ては「楽焼体験」の陶芸教室です。

サクサクの土でサクサク焼く楽焼

楽焼とは、京都の楽長次郎がはじめたとされるやきもののこと。京都で生まれ茶の湯文化で育まれてきたまさに京都らしい陶芸の一つと言えます。

楽焼の土は目が荒くサクサクした土。「昔はほんとうにそこらの地面で野焼きしてたんじゃないですかね〜」というように、焼き方も低音で短時間でサクっと焼く。サクサクした土でサクッと焼く楽焼。じっくり焼いて固く焼き締める磁器とは全く逆の方向で面白いですね。実際楽焼は固く焼き締めていないので「水が染み込みやすく割れやすくカビやすいので扱いに注意してくださいね」だそうです。

楽焼体験やってみます

可愛いエプロンに着替えて早速楽焼体験のスタートです!

三種類から選べる釉薬の中から、私は白い釉薬のものにしました。うつわもいくつか種類のある中からおちょこタイプをチョイス。

ガラス質の低音で溶けやすい釉薬を使っていきます。あやしげな白い粉ですが、これが釉薬のもの。水をいれて溶いて使います。すぐ固まっちゃうんで片栗粉みたいだった。

片栗粉、ではなく釉薬をかけた状態がこんな感じ。釉薬がもったりのっかる感じで厚みが出るのが面白くて、あえて垂れたり重ねて分厚くしてみました。仕上がりをイメージしつつどれくらい釉薬をかけるか、どこにかけるか考えるのも楽しい。

目跡も景色

釉薬を塗り終えたら、小さく丸めた粘土をつけます。これは焼成する際に下にくっつかないようにつける足みたいなもの。うつわを重ねて焼く時もこういったものをつけるのですが、それが焼いた後に薄く残るのを「目跡(めあと)」と呼んで、うつわの景色として楽しんだりもします。

炎に包まれるダイナミックな焼成

ではいよいよ窯で焼いていきます。火バサミでつかんで。

いざ!窯へGO!
900度で10分ほど。びっくりするほど早いです。

電気釜での焼成が終わった後がこの楽焼体験の一番どきどき楽しいポイント(私的に)。焼き上がったアッツアツのうつわだして、新聞紙を重ねて燃え盛る炎のまま上からバケツをかぶせてしばし待つ。仕上げの段階です。写真を撮る余裕がなかったのでお店できないのが残念ですが、うつわが燃え盛る姿が面白いのでぜひ検索してみてください。

炎が落ち着いたところでバケツをオープンすると、こんな感じ。まださわると熱々でこれでもやけどしそうなくらい。

こんな感じに仕上がりました。最初は白っぽかった素地が真っ黒になり、もったりしていた片栗粉のような釉薬はツルッと艶のある白に。思ってた通りのモダンなデザインになってうれしい〜!本当は楽焼は釉薬の変化が予測できない、その不確実性が面白いと言うタイプの陶芸だと思うんですが、たまたまイメージ通りの仕上がりができてしまった(笑)

美しい響きを奏でる貫入音

そしてもっと素敵なのが、この状態のときにうつわから発せられる音。ガラス質の釉薬が冷める中でひび割れて「パチン….ぱちっ…..プチン…ピン….」と鳴ってるんです。このひび割れは「貫入」と呼ばれるもので、失敗のひび割れではなく"あえて"模様のように仕上げる釉薬のひび割れのこと。「貫入」を入れて仕上げるときの音がこんなキュートな音だったなんて。窯出し後になるこの貫入音の美しい響き忘れられません。

泥を飲むオリジナルドリンク

炎に包まれる楽焼みたり、プチプチ美しい音を奏でる貫入音を楽しんだ後は、お飲み物をいただきながらショップをゆっくり拝見しました。

「トキノドロ」というオリジナルドリンクは、粘土を飲むようなイメージで作られたそう。中はバナナとミルクのプロテインドリンクなのですが、二重構造になって外側はほんものの粘土質。遊び心満点ですね。

初心者さんにも優しいうつわスポット

トキノハのうつわは手が伸ばしやすい価格で日常的に使いやすいデザインばかりで、私はこのシリーズの小鉢をひとつお買い上げしました。体験教室すると当日から使える割引チケットももらえるのでお得です。

工房がガラス張りでオープンなので、職人さんの手仕事も間近でみることができます。それにしても皆さん女性ばかりでびっくりでした!ショップもうつわもふんわり柔らかい雰囲気が漂ってて心地よかったなあ。職人さんにお話しやすくて、初心者の方も足を運びやすいスポットだと思います。窯元巡りしたいな、体験してみたいなと思っても、ご縁がない初心者さんにおすすめできるところってなかなかなくて。THE観光客向けの教室はあまり面白くないしオシャレでもないし、といってプロ向けスポットだといきなり訪問は難しいし。今回のトキノハさんは広くたくさんの方におすすめしやすい場所だな〜と感じました。

TOKINOHA Ceramic Studio
📍京都府京都市山科区川田清水焼団地町8-1
📞075-632-8722
🕑10~18時 定休日火曜


サポートありがとうございます!いただいたサポートで新しい食器を買って、みなさんが「読んでよかった」と思ってもらえるようなnote書きたいです🌿