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「プラスティック・ラブ」ムーブメントから考える日台音楽

もう3年ほど前のことになってしまうのですが、2018年ごろに、アジア圏で竹内まりやさんの「プラスティック・ラブ」が非常に流行していました。

当時、レコード屋さんの店長が、アジアから来る観光客の人がこぞって7インチのレコードを買いに来ていて、値段も少しずつ上がってプレミアが付き始めているんだ、という話をしてくれました。
アジア全域で、「シティポップ」=「プラスティック・ラブ」みたいな感じで、クラブでかかりまくっているんだよね、と話していたことを、良く覚えています。

そのムーブメントの牽引役のひとりが、韓国人DJのNight Tempo 夜韻だと思います。もう彼のことに関しては、たくさんの方が紹介したり、評論したりしているので、私が話すまでもないのですが…。
Night Tempo 夜韻は、80年代の日本のシティ・ポップや歌謡曲を彼の解釈でアレンジしています。何度か彼のDJを観ていますが、心地良くて楽しいのでとても好きです。子どもの頃のキラキラしたテレビから聴こえてきた音楽を思い出すようで。

以前に、仕事でアーティストの杏里さんとお話をしたことがあるのですが、Night Tempo 夜韻のアレンジで、ご自身の楽曲がプレイされているのが、とても嬉しいとおっしゃっていたのを覚えています。

「プラスティック・ラブ」のムーブメントは、シティポップ流行にも、とても繋がっているように感じているのですが、台湾での牽引役のひとりは、やはり9m88かなと思っています。

「Plastic Love Cover Version (Original Song by Mariya Takeuchi)」
ザ・ベストテン風のビデオ。この昭和感の再現が凄い。
彼女は本当に、歌も素晴らしいけれど、ファッションでも表現したいことが伝わってくるのが素敵です。

9m88については、こちらの記事でもう少し詳しく書いております。

シティポップという定義もとても曖昧ですが、やはり2018年以降に台湾からたくさんのシティポップ系のアーティストが登場しているように感じます。それも、ジャズやR&B寄りだったり、ネオソウル系など幅広いジャンルの影響を受けているアーティストが登場しているなと。
とは言え、これは日本を含めた他の地域でも起こっているので、台湾だけの現象ではないのですが。

SNSの影響などで、他の国や地域で流行り始めている音楽を簡単に知ることが出来るようになったのも、こういったことの要因のひとつかもしれません。私はこういった傾向を、割と興味深く好意的に受け取って音楽を聴いています。

2018年以降の日本と台湾の音楽の話に視点を戻すと、メジャー、インディーズ問わず、日台コラボレーションをした作品も多く出てくるようになったなと感じています。
対バンするだけではなく、一緒に楽曲を出す。そのアーティストのジャンルがロックだけではなく、シティポップ系だったりと、ジャンルが幅広くなったというか。

「6000℃」UQiYO & I Mean Us
台湾のドリームポップバンド I Mean Usと日本のインディー・ポップバンドであり音楽プロジェクトであるUQiYO(ウキヨ)のコラボ。浮遊感が非常に気持ちが良いです。

「Horoyoi Karasu - LINION」THREE1989
日本の3ピースバンド THREE1989と、台湾のネオソウルアーティスト LINIONとのコラボ。
THREE1989は、70年代, 80年代, 90年代のサウンドを取り入れ、ダンスミュージックを織り交ぜた音楽が特徴的。彼らが台湾ツアーを行った際に、LINIONが来ていて、それがキッカケで曲をコラボすることになったそう。

また、メジャーレーベルのアーティストで言うと、AIも台湾のHIP HOPグループのMJ116とのコラボもしています。

AI 「You Never Know feat. MJ116」
この作品は、2020/7/8に発売されたアルバム『IT’S ALL ME -Vol.1』に収録されています。

いまや多くのアーティストが、一緒に楽曲をつくるなど、コラボしていることが分かります。台湾っぽいとか、日本っぽいとか、歌謡曲にはあったようなものが少し減っているような印象もありますが、SNSなどの登場により、リアルタイムで好きな音楽を共有できるようになっている時代です。その辺の境界線も少しずつ溶け合っているのかもしれないです。

とは言え、境界線がなくなるということもなく、それぞれの個性は残るし、コラボすることで、また新しい個性が生まれてくるのかなと思っています。2018年には、「プラスティック・ラブ」もそれぞれの解釈でカヴァーがされていたわけですし。

なんだか思ったことを、つらつらと書いてしまいましたが、日本と台湾の音楽の関係や、いまのトレンドなど知りたいことがたくさんあります。
また調べたらnoteに書いてみようと思います。

今日紹介したアーティストもnoteで書いていますので、興味がある方は読んで下さると嬉しいです。

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