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この街のお正月に、トラが多いわけ

1月、ベトナムに到着して、疑問に感じたことがある。

トラが、やたらいる。

ベトナムのお正月は、日本と違い旧暦。旧正月の1月22日を前に、街はお正月ムードだった。

街は黄色と赤の正月飾りだらけだ。縁起がよい色らしい。
店のショーウィンドウにはお正月飾りのシールが貼られ、電光掲示板にはお正月らしい映像が流れる。

日本と同様、キャラものが、うける国のようで、そこにトラキャラが、やたらいるのだ。

2023年は、寅年の次の卯年のはずで、私は年女なのだけど、この国では前年の干支を飾る風習なのだろうか。

もうひとつ、やたら招き猫も多い。たまに招いていない猫もいる。
干支はそんなに重視されず、招き猫が大切にされている国なのだろうか。

犬まで招き猫の服を着せられていた。



週末、夫のベトナム語の先生に、トラと猫の意味について、質問してきてもらうことにした。

夕方、帰ってくるなり夫が、「衝撃の事実がある」と言う。


「この国では、来年は、猫年らしい」


!! でも、それなら、招き猫だらけな理由がわかる。
トラだと思っていたのは、おそらく三毛猫だった。

言われてみれば、三毛猫。

私は猫年でもあるのかと思うと、ちょっと嬉しい。ウサギと猫、かわいい干支がダブルなんて。

諸説あるが、中国語のウサギとベトナム語の猫の発音が似ているのと、ベトナムではあまりウサギが身近ではないから猫年になったと言われることが多いようだ。

ちなみに他の干支も、ヒツジはヤギ、猪は豚、牛は水牛らしいので、やはりある時代の人が身近な動物で民に広げたのかもしれない。

せっかくなので、五行山のお土産屋さんで、干支アイテム・猫ブレスレットを買った。


夫がベトナム人の同僚グループに、この驚きをチャットしたところ、こんな会話が繰り広げられていた。

「街にたまにウサギがいて、なんでだろうと思ってたことあるんですよ〜」
「うそだ〜またまた。知らなかったことはないでしょ」
「ウサギも猫もかわいいから問題なし! でも、私は猫が好きかな」
「トラと猫が似ていてわかりにくいから、中国ではウサギになったっていう説もあるみたい」
「以前猫を10匹飼ってたんだけど、今はみんな死んだり、盗まれたりしていなくなっちゃったの……」

猫との思い出も語りだす人もいた。

中国や韓国系の店に行くと、ごくたまにウサギもいる。

私のほうでも日本の猫好き同僚に話してみたら、当然のように知っていて、猫好きには常識なのかもしれない。

中学生のときはまった漫画『フルーツバスケット』は、猫年が「ない」というのが、かなり物語のキーなのだけど、この国ではウサギがいないとは。同人作家だったら、なんだか一つ物語が描けそうだ。

アジア圏で文化を共有しているからこそのカルチャーショック。
これまでよく行っていた、アフリカやヨーロッパとはまた違う感覚で、これからどんなものに出会えるか、楽しみになってきている。



ホーチミン、ダナン、ホイアン、フエの街のめでたい猫たちを集めて、動画にしました↓
めでたい色=黄色だからか、三毛猫が多いですね(そこがまたトラっぽい)。


たくさん集めたなかで個人的ベストは、このちょっと手塚治虫先生タッチの黄色猫風船。ダナンでたくさん売っていた。かわいい。

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