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東京かっこつけ物語

先日「美容業界」で仕事をする知り合いの女性と食事をする事になりました。
仕事の事で少し相談があると言うので「じゃあご飯でも食べながら」って事になったのですが、世間が見たらいわゆる普通の「デート」ってやつです。

デートの前日が体育会系の先輩との朝までコースだったので抜群の「二日酔い」でしたが、その彼女が「中華料理たべたーい」と言うので、決して疲れ切った内臓に優しくない中華料理を食べる事に…

まぁいいんですよ…それで彼女が喜んでくれるなら。
蕎麦とかが良いんですけど。

「紹興酒飲まない?」との希望にも応えますよ。
烏龍茶がいいんですけど。

「ジョセフ様、今日は大ぶりのオマール海老がはいっておりますので、少し濃いめの味付けでエビチリにしたいと思います…」

(いや…今日は少しあっさりとし…)
「わーい!エビチリ大好きー!」

ですよね〜、美味しいもんね〜

そんなこんなで、まぁ料理は美味しかったんですけど少し身体にダメージを残しつつも無事にお食事は終了。
彼女の仕事の相談は終わったので帰る予定でしたが、その後は彼女が「せっかくだしもう少し飲まない?」と言うので知人のBarへ移動。

この辺から少しお酒も受け入れる身体になってきたので、味も分からないくせに彼女の希望でワインを注文。

「○○産の○○が○○で、珍しい○○の○○ワインです」

もぅ何でもいいよ…何を言ってるのかさっぱり分かんないよ…
日本語でお願いしますよ。

こっそり店員さんに「二日酔いに効く薬ないですか?」と聞いたところ「いいのありますよ」との事なので頂戴することに…
差し出された薬のパッケージには「これからお酒を飲まれる方に"シジミ"のパワーで二日酔い防止!」と書いてある。
いや、これから飲まれるんじゃなくて飲んだ後なんです。
もぅ二日酔いなんです。
防止できなかった人なんです。

彼女の相談は仕事から恋愛まで及び、約2時間ほど飲んだでしょうか…

遅めのエンジンがようやくかかり「お!?何だか飲めるぞ!」となってきた頃でしたが、時計を見るとすでに12時をまわっていました。
翌日は私も仕事だったので「今日はそろそろ帰ろうか」と言うと、彼女が「ジョセフさんって○○方向でしょ?私もそっち方向だからタクシー便乗していい?」という展開に。
タクシー代を渡すよりは安くつくので(セコイ)では一緒に帰ろうかとなったのです。

少し遠回りだけど、彼女の家から先に送ることに…

「今日はありがとうね。すごく楽しかった。悩みもスッキリしたしジョセフさんに相談して良かった」

「…もう少しだけジョセフさんと飲みたかったなぁ…でもジョセフさん明日仕事なんでしょ?」

「………」


え!何!?この変な沈黙!
まさかの大人の展開と認識してもいいのかな!

でも、その時の私は無性にお家に帰りたかったのです。

だって、すんげーお腹が痛いんだもん!

尋常じゃない便意!
ヤツらがオイラの肛門をKnock!Knock!するのです!
できることなら便意が止まらないので、せめて車を停めて欲しいくらいです。

でも、格好つけたかった!
女性の前で「う○こしたい」って言えなかった!

「そうなんだよねぇ…明日が仕事じゃなければ朝まででも飲むんだけどねぇ」

と言いながらも、私の背中は寒気と冷や汗が全開MAX…
意識は肛門に全集中!

「そっか…残念だなぁ…一緒にいたかった…」と彼女。
いや、俺も残念ですよ!
でも今は「挿れたい」よりも「出したい」のです!

彼女の降りるとこまでは、あと10分はかかる…
彼女を降ろしてから近所のコンビニで停めてもらい、急いでウ○チできるとしても20分近い地獄の時間は覚悟しないといけないだろう…
時に神様は残酷な試練を与えてくださるもんだ…
いや、神なんているもんか!
いたら今日の大人のチャンスをものにできているはずじゃないか!
神になんて祈らないぞ!俺は実力で乗り越えてみせる!

すると奇跡が!
目の前にコンビニが見えてきたのです!!
神様ぁ!ありがとぉぉうう!!!

私は思わず「運転手さんコンビニ寄って!」と言っていました。
彼女に「何か買うの?」と聞かれたので…
「い、いや、よく考えたら現金が残り少ないからおろしておこうと思って…タクシー代足りなかったら大変だからね…」と答える俺。
我ながら苦しい!

「あ、お客さん、カードでも大丈夫ですよ?」と運転手。

(黙れ!コロスぞこの野郎!)

無視してタクシーを降りる俺。
普通に「トイレ行きたい」と言えない小さな俺。
でもお母さんは言った…
「意地を張るのは男の仕事だ」と。
「クソと愚痴は漏らしちゃイカン!」と。

幸いにもトイレがあるコンビニだったので、まるで小便をしたかのような時間で速攻ウ○チを終わらせる!
原因は間違いなく「二日酔いのお腹に濃いめの中華料理」だろう…
まだ多少の気分の悪さと腹痛はあるが、何とか今を堪えることはできた。

しかしトイレを出ると俺は目を疑った。

なぜかそこに彼女がいるじゃない♫

「あ!トイレだったんだ。そういえば歯磨き粉なかったなーと思って」
そうですか…彼女も買い物しに降りてきたんですか…ハイ。
そうですよ…本当はトイレだったんですよ…それも大きい方ですよ…

そうして彼女の買い物も済ませ、そのままタクシーで彼女の家へ着くと無事に彼女を降ろす。
「今日は本当にありがとうね!またご飯連れてってね」
ずっと手を振る彼女…本当にいい子だ。

きっと普通に「お腹が痛いからトイレ行ってくる」と言っても、別に何とも思わないだろう…自分の小ささを恥じた夜、本当に情けないぜクソったれ!

……クソはたれたんですけども。

今度からは正直でいよう。
無理にカッコつけるなんてもっと格好悪いじゃないか。
素の自分でいいじゃないか。
人間だもの!ウ◯チくらいするさ!

そんな事を考えた帰りのタクシー
窓の外の夜空を見ながら僕はもうひとつ重大なことを考えていた…


(やっべ、トイレ流したっけ?)


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