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わたしと娘に訪れたモテ期たち(人外あり)

人間には人生で三回のモテ期が
誰にでもあると聞く。

実はわたしと娘にもあった。

我が家の小学五年生の娘。

親からみたら
なんとも涼しげな一重
愛らしいくちもと
手足の長く品と知性を兼ね備えた所作
などなど、
親バカ炸裂に可愛い子なのだが
一般的にはべつにさして
目立つタイプではない。

ただ保育園のときに一度
幼稚園のときに一度
そして小学三年生のときに
それぞれ娘のことを
好きになってくれた男の子がいたのである。

それが三人ともなぜか娘の名前を大声で叫びながら近づいてくる子ばかりで
「リリエル姉ちゃんリリエル姉ちゃん!!」
(大天使がミカエルならうちの天使はリリエルである。)
と抱きついてくる男の子が、保育園のとき。

「♪リリエルちゃん(パンパン)
♪リリエルちゃん(パンパン)」 

とお囃子のように
手を叩きながら近づいてくる男の子が
幼稚園のとき。

そして小学生三年生のときには
「リリエルちゃんリリエルちゃんリリエルちゃんリリエルちゃん!!!!」
と教室の入口から叫ぶ年下の男の子がいた。

いずれも娘から聞いた話ではなく
わたしが実際に目撃したり保護者から聞いたり同じクラスの子から聞いたりしたのである。

ではモテ期到来の娘は一体このことをどうおもっているのかというところだが、実際にこの話を本人にすると修羅の顔で押し黙り、あまりしつこく言おうものならわたしの向こう脛を蹴飛ばしそうな勢いなんである。

つまり、もんのすごく嫌がる。

元来めだつことが嫌いな娘はこの話に触れるとおこりだすのでこれを読んだママ友は何とぞお口にチャックをご用意願いたい。
(といいながら晒される娘。
仕方がないのだ。
ブログネタを前に人権など
我が家には無いに等しい。)

そしてその母である私にもモテ期は二回あった。

まず一回目はファーストキスの相手のオランウータンのこうへいくん。

そして二回目は動物園のダチョウ。

人外だ。

こうへい君にいたっては
親公認の仲だった(らしい)

なにせ親が仕掛けたんだから。

なにがどうしてそうなったのかは分からないが物心ついた時には親から
「あんたのファーストキスはオランウータンのこうへいくんだから」
と言われて育った。

多様性が認められる令和においてもまだ人外と人類の恋愛が認められる時代は来ていない。

おせぇよ、時代。
つってな。

わたしとしては

「ぎりぎりプラトニック!」

と自分に言い聞かせている。

高校の同級生はこの話のインパクトが強すぎてわたしに関する話はこれ以外覚えてないと言われた。

二人の思い出を消し去るダイナマイトみたいなエピソード。

そして二回目は動物園のオスのダチョウである。
詳しい描写は省くが
発情したオスに追いかけられた。

右に逃げれば右に、左に逃げれば左に、
わたしだけをめがけてダチョウのオスが追い回してくる。
羽を広げてバッサバッサと飛びかからんばかりの勢いで一緒にいった友人は薄情にも倒れこんで笑っていた。

飼育員さんが必死で抑えるもきかないので、

「離れてください!
離れてください!!」

としきりに叫ぶほどわたしのフェロモンは
オスのダチョウに地獄みたいな効力を発揮していた。

あれから数10年。
三回あるうちのモテ期の二回は使ってしまったかもしれない。
だが齢44、わたしのカードはまだ一枚残っている。

神様、
贅沢はいいません。
不貞も行いません。
心臓をかけて誓いますとも!
だからせめてせめて!
最後のモテ期は人類で!!







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