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小池都政の限界? 東京15区から見えた知事選と都議会選のゆくえ


小池都政・3期目なるか?

今回、東京都知事の小池百合子氏と都知事選について解説したいと思います。

なお今回のブログにて都知事選挙および都議選、統一地方選の票を詳細に
分析し、小池氏およびそのほか候補がどうなるかが必見ですね。

小池知事

最新の選挙結果とその影響

2024年の衆院東京15区補選では、小池百合子都知事が支援した
無所属の新人、乙武洋匡氏が5位と落選しました。乙武氏は1万9655票を獲得し、当選者の酒井菜摘氏に3万票近い差をつけられて5位に終わったことは
まさに衝撃的事実です。

東京15区補欠選挙
【立憲】酒井菜摘 49,476(票) 当選
【無所属】須藤 元気  29,669(票) 次点
【維新】金澤結衣 28,461(票)
【保守】飯山 陽  24,264(票) 
【無所属】乙武 洋匡 19,655(票)
・・・

これにより、小池知事にとっては痛手となり、
今夏予定されている都知事選での再選出馬が有力視されている中、
小池百合子および都民ファーストの
政治基盤の強化に黄信号が灯っています。

なおこの選挙の前に行われた昨年末の江東区長選挙では
小池百合子氏に近い方が擁立され、都民ファと自公が
乗っかることで、見事に江東区長選挙で勝利することができました。

2024年江東区長選挙(告示日:2023年12月3日 投票日:2023年12月10日)

【無所属】大久保 朋果 57,029(票) 当選 
推薦:自民、公明、国民、都民ファーストの会)
【無所属】酒井 菜摘  34,292(票) 次点
支持:立民、共産、れいわ、社民、東京・生活者ネットワーク、緑の党グリーンズジャパン)
・・・

今回はそのモデルが失敗したのです。

理由は単純に乙武氏の過去の女性問題で、
公明党の支持者が反発し、
江東区長選挙(4月の方)では自民党推薦の
都議ではなく、木村弥生氏を応援したことから、
与党からの支援を得ることは難しい事態でした。

つまり与党相乗りでなく、事実上の国民民主党・都民ファーストの
候補となることで、 選挙戦では苦戦されました。

区長選で違法ネット広告を流したとして捜査を受けた前区長の辞職に伴う東京都江東区長選が10日、投開票された。無所属新顔の元都部長、大久保朋果氏(52)=自民党、公明党、国民民主党、都民ファーストの会推薦=が、国政野党が推す候補ら新顔4人を破り、初当選を決めた。投票率は39・20%(前回48・86%)だった。

出典:朝日新聞 2023/12/10 江東区長選、元都部長の大久保朋果氏初当選 「政治の信頼回復」焦点

 東京都の小池百合子知事は30日、衆院東京15区補欠選挙の結果について、「(街頭の)反応は大変良かったが、票につながらなかった。多くの反省点があり、これから検証していく」と述べた。

出典:読売新聞 2024/4/30 乙武洋匡氏支援の小池都知事「反応は良かったが、票につながらなかった」…衆議院東京15区補選

小池百合子という女帝はどう乗り越えた?

政治キャリアの振り返り

小池百合子氏は2016年に東京都知事に無所属で立候補し、
圧倒的な支持を得て当選しました。

【無所属】小池百合子 2,912,628(票) 当選
【無所属】増田 寛也  1,793,453(票) 次点
・・・

なお小池氏は高市経済安保大臣や野田元総務大臣よりも
早く党3役につき、女性で初の自民党総裁選に挑んだことも
また有名な証です。

このまま永田町に残るかと思えば、
自民党を離れ無所属になり都知事選に立候補しました。

当時の自民党の都連会長は石原伸晃元幹事長でしたが、
石原元幹事長を含め、自民党の大半と公明党は
増田 寛也氏に推薦を出す方針で固まるも、
小池氏の地元の東京10区の区議や
当時の衆議院議員である若狭勝氏が
支援するといった保守分裂の事態となったのです。

増田 寛也・・・自民党・公明党推薦
小池百合子・・・自民党一部議員・小池氏地元区議の一部が造反

女性初の東京都知事として、自民党との関係や前任者の問題を批判しながら、
東京の改革を推進してきました。特に

都民ファーストの会」を設立し、政治塾『希望の塾』から多くの候補を擁立して2017年の東京都議会議員選挙で勝利を収めるなど、
地域政治において大きな影響力を持っています。

希望の党は一時、安倍政権に変わり政権交代すると言われていましたが、
「排除します」といった発言により、
有権者の支持は広がらず、結局は野党同士の共倒れしました。

当時の所属議員の現在は、大半は野党第一党の立憲民主党に。
その次に国民民主党や自民党、無所属といったところで
活動されております。

立憲代表の泉健太代表や国民民主党代表の玉木雄一郎代表
希望の党出身と、希望の党所属の議員が
今、キャリアを前進させて輝かせております。

主な功績と政策

小池都知事の在任期間中、多くの改革を実施しました。

その中でも特筆すべきは、築地市場の移転問題への対応です。

豊洲への移転を一時延期し、安全性の再評価を行ったことで、
公衆の健康と安全を優先する姿勢を示しました。

築82年の老朽化した建物によって、漁業の業者
および観光客にとってもさまざまな悪影響があり、
移転は不可欠でした。

もちろん当時も反発はありました。

日本の台所と呼ばれた築地市場(東京都中央区)が6日正午、83年の歴史に幕を閉じた。関東大震災の被災を契機に、日本橋魚河岸から1935年(昭10)に築地に移転。そのバトンは今月11日から豊洲新市場(江東区)に引き継がれる。

出典:日刊スポーツ 2018/10/7 豊洲移転反対の女将さん会「涙が出るほど悔しい」

戦前から2018年まで支えた遺産を失うことは
とてつもない事件であったと伺えます。

また、コロナ対策や東京オリンピックの準備過程では、
持続可能な開催を目指す方針を打ち出し、国際的な評価を得ました。

さらに、女性活躍推進環境政策に力を入れ、
東京都の持続可能な発展を促進しています。

近年はスタートアップでも都はさまざまな施設や
企画で起業しやすい場所にしております。

3期目は予想できるも、都民ファーストはさらに少数化か?

小池百合子都知事は多くの挑戦と批判に直面しながらも、
東京都政の改革と政治キャリアの拡大を目指しています。

同時に自民党支持層の約半分は小池都知事を支援するだろうと言われており、
公明党も前回に続き小池百合子都知事を推薦するでしょう。

つまり岩盤支持層は揺るがないと言えます。

立憲・共産・市民連合は誰を擁立する?

まず現在の立憲民主党の執行部と都連の間には、
一部考えの異なりがあることは言えるでしょう。

立憲執行部:野党候補一本化より独自候補擁立優先←立憲共産党と思われたくない(自民支持層3割狙い)
立憲都連:独自候補擁立より野党候補一本化優先←共産党支援に前向き(支持層が多い)

今回の東京15区では事前の報道ですと、執行部と都連で
考えが相違し、酒井菜摘氏と須藤元気氏の2者に絞られましたが、
乙武氏の擁立の報道の同日に酒井菜摘氏を擁立するとの発表がありました。

この15区で都連と執行部がどちらの候補の擁立するかは
真相は当事者である立憲の議員でしかわかりませんが、
いずれにせよ東京15区は共産党との一本化が
優先(野党候補一本化優先)の考えを持つ
都連の功が実る形となったでしょう。

現在の都連の幹事長は東京5区選出の手塚幹事長ですが、
すでに複数人まで候補者を絞ったと言われております。

この後の動向を注視してみましょう。

7月の東京都知事選に向け、立憲民主党など野党と市民団体による候補者選定委員会が1日に東京都内で開かれ、候補者を数人に絞った。選定作業を進め、月内に一定のメドをつけたい考えだ。

出典;読売新聞 2024/5/2 都知事選の野党統一候補、数人に絞る…立民や市民団体による選定委

本当の試練は2025年の都議選か?

今回は都知事選では勝利が予想される小池都知事ですが、
肝心なのは2025年の都議選かと思われます。

全127議席を争う東京都議会議員選挙ですが、
小池氏支援の都民ファーストの議席数は
26議席と過半数の64議席には届きません。

一方で第一党の自民党は29議席で、公明党は23議席であることから、
合わせて52議席とこちらも過半数を取れません。

そのため2025年の都議選では
仮に江東区での乙武氏の選挙結果のみで判断すると、
最悪20議席を下回る異常事態となり、
自民党の議席は風次第で本当にどうなるかは分かりませんが、
いずれも小池氏の逆風は都議会のねじれ議会のリスクもあると
言えるかと思います。

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