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映画ファンへ招待状 #01 

上にある写真はノッティング・ヒルにある小さなレコードショップで撮りました。2019年の春だったはず。
音楽ファンじゃなくて映画ファンが、これだけの情報で何を思うでしょう? 
思い浮かぶ映画はありますか?

ノッティング・ヒルから「ノッティング・ヒルの恋人」? 
たしかにあの書店もここからすぐ。まだロンドンは西より東のほうが栄えていて、今じゃ高級住宅街なのに、そこに住んでいることを恥ずかしそうに話すヒュー・グラントの笑み。

BLURの名前があるから「モダンライフ・イズ・ラビッシュ」? 
それならブリットポップの話で盛り上がりましょう。いつかその記事を投稿します。チャーリーズ・エンジェルの一作目のほうで「Song 2」が流れる場面は最高でしたよね!

MANCHESTERに反応して「マンチェスター・バイ・ザ・シー」?
とても好きです。あれ最高。

でも今回ここで紹介するのは別の映画。

Shoplifters Of The World

この映画が作られていることをニュースで知ったとき、マジかよ!と驚きました。でもちょうどコロナ禍で映画館が動いてなかったせいで、日本での配給がないかもってことになり、かなり遅れてようやくDVDになりました。近所のレンタルショップでも一枚だけ置かれていて貸出中だったから、「えっ、どんな人が?」と嬉しかったです。

トップガン? マーヴェル? HBO? クソかよ! 
とリッキー・ジャーヴェイスみたいなこと言いたい時期って、きっと誰にでもあるはず。
それが80年代はじめで、アメリカに住んでいるティーンエイジャーだったら、希望は同じ言葉を使いながらも全く異なる文化をもつイギリスで、社会現象になっていたロックバンド The Smith だったかもしれない。
ところがそのバンドが人気絶頂で突然の解散。ニュースがラジオから聞こえてきて・・・という話。
主演は「6才のボクが、大人になるまで」のエラー・コルトレーン。あの映画と並べて語るわけにはいかないものの、いい役です。

映画のなかのスミス
「(500)日のサマー」で、ジョセフ・ゴードン=レヴィットがヘッドフォンで音楽を聴いていて、エレベーターで隣になった女の子に「スミスが好きなの?」と声をかけられる場面があります。
いまスミスって言った? こんな子がスミスを知ってるの? と驚いて、そこから恋に落ちる。超名場面。
そこでヘッドフォンから漏れていたのがスミスの代表曲「There is a light that never goes out」で、もちろんこの映画でも使われてます。だからどっちも見ていなかったら先にこっちを見て、それから「(500)日のサマー」をぜひ。

「Shoplifters Of The World」は設定そのものは事実に基づいていて、でも非現実的なリアルが拡大していくという点で村上春樹さんの短編「パン屋再襲撃」に似たムードがあります。「ドライブ・マイ・カー」好きだったらイケるんじゃないかな、いや・・・。
ベティ・ブルーとか、懐かしいワードもたくさん出てきます。そこはストレンジャー・シングスみたい。

当時スミスを好きだった世代が、この映画の存在を知っているかわかりません。スミスが解散した後で生まれた世代がこの映画のパッケージを見て、手に取ろうと思うか分かりません。
いまから40年くらい前にスミスという素晴らしいバンドがいてね・・・ということを若い世代に知って欲しくて、えっ、スミス好きでしたよという世代には胸が熱くなる映画がありますよって知って欲しくて、今回の記事を書きました。

おまけ
スミスの二人(ボーカルで歌詞を担当していたモリッシー、ギターで作曲をしていたジョニー・マー)は仲違いをして、別々の道を歩んでいます。ジョニー・マーはハンス・ジマーと組んで映画音楽もやっていて、有名なところだと「インセプション」のラストシーンでコマが回っているところのギターは彼じゃなかったかな。ビデオで見たハンス・ジマーのライブではジョニー・マーが弾いてました。
ほら、ハンス・ジマー繋がりでトップガンに戻れました! 

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