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「超」メモ革命                                            ―個人用クラウドで、仕事と生活を一変させる:全文公開 第1部第1-2章の3

『「超」メモ革命』(中公新書ラクレ)が刊行されます。
5月7日から都心の書店で、5月10日から全国の書店で発売されます。
これは、第1部第1-2章の3全文公開です。

3 重要書類の保存・管理に使う

取扱説明書や重要書類は、URLや格納場所をメモしておく
 取扱説明書は、これまでは印刷物でしたが、家庭電化製品などについては、最近ではウエブに詳細な説明書があります。
 これらは、必要になったときにウエブを検索すれば見い出すことができるでしょう。
 使用している製品についてのウエブサイトのURLを「超」メモに残しておけば、つぎからはすぐに見ることができます。
 生活上、重要な書類や情報がいくつかあります。例えば、つぎのようなものです。

銀行預金通帳 健康保険証 運転免許証 車検証 契約書

 これらは、現状では紙の書類になっている場合が多いでしょう。
 それらにつき、書類の格納場所をメモしておくとよいでしょう。そして、その情報を家族と共有しておきます。
 スマートフォンの購入契約書Wi-Fi の契約書は、機器交換時や契約更新時に必要になることがあります。しかし、大事にしまいこんでしまうと、かえってわからなくなることがあります(「押し出しファイリング」に格納しておけば失うことはないのですが、古いものがすぐに見い出せるわけではありません。また、重要書類をここに格納することについて、心理的抵抗を持つ人が多いと思います)。

重要書類の写真を撮って、ロックをかけておく
 書類紛失等の事故があったとき、番号などの情報だけでもあると、事態が改善する場合が多いでしょう。
 ただし、これらの情報をそのまま「超」メモに記録するのは、安全の点から問題なしとしません。
 機密を要するのであれば、書類を写真にとり、それを Word ファイルに貼り付けてロックをかける方法が考えられます。この方法の詳細は、第2―7章の4で述べます。

パスワードの管理は簡単ではない
 ウエブサイトへのログインや、スマートフォンのロック解除、あるいは銀行口座へのアクセスなど、様々な場面で、ID、パスワード、PINなどの入力を求められます。
 同じパスワードにすると安全性が落ちるため、異なるパスワードを作る必要があります。ところが、そうすると、非常に多数のパスワードができることになり、とても覚えていることができません。これらをどのように記録し、管理するかが、現代人にとっての喫緊の課題です(注)。
 指紋認証や虹彩、顔認証など、生体認証もだいぶ普及してきました。しかし、あまり使いやすいとは言えません。私は、iPhone の指紋認証や顔認証をいまだに使っていません。
 パスワードを忘れてしまうと、ウエブサイトなどを利用できなくなり、面倒な事態に陥ります。この危険は大いにありうることなので、どこかに記録しておくことは不可欠です。
 しかし、普通のメモと同じように「超」メモに記録するのは、安全のために、しないほうがよいでしょう。
 パスワードを忘れる危険と、パスワードが漏れる危険。この二つのリスクに対処する必要があるわけで、決して簡単な課題ではありません。
(注)なお、これは、現在の仕組みが「集中型ID」と言われるもので、サービスを提供する企業の側で管理する仕組みになっているために生じることです。これに対して、個人がIDを管理する「分散型」という仕組みが開発されつつあります。

安全優先なら、パスワードは紙に記録しておく
 私はこれまで、IDやパスワードを、つぎの二つの方法で記録・保存してきました。

紙のノートに記入してあります。
USBメモリに記録し、これを通常はインターネットから切り離してあります。

 ただし、これらの方法も完全とは言えません。第1に、必要になった場合に参照するのが、やや面倒です。
 第2に、これらのノートやUSBメモリを紛失してしまう危険がないわけではありません。USBメモリは小さいので、暫く使わないでいると、どこに格納したかを忘れてしまうこともあります。また、パスワードを変更したのに、記録を書き換えるのを忘れていると、混乱が生じます。
 以上のような問題があるため、右の方式は必ずしも完全なものとは言えません。そこでGメールと「超」メモのシステムを結合させてパスワードを管理することが考えられます。これについては、第2―7章で説明します。


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