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「超」整理法の思想


1.たかが整理、されど整理
私は『「超」整理法』という本を書いた。その後、「整理のプロ」などと言われること が多い。
しかし、私が本で書いたのは、「整理は下らない仕事だから、どうやってサボれるか?」ということだ。
それで、この本のタイトルを反整理法としようとした。

ただし、整理ができていないと、不都合もある。
整理の目的は2つある。1つはスペースがなくなってしまうから、スペースを確保すること。
もう一つは、どこに行ってしまったか分からなくなるから、探し出せるようにすること。

2.ノウハウになっていないノウハウが多すぎる
整理法の本を読むと「いらないものは捨てよう」と書いてある。これほど馬鹿げたステイトメントはない。これは、ノウハウではない
何がいらないか分からないから、苦労しているのだ。
いらないものを自動的に見出すシステムこそが重要なのである。

簡単でなければ実行できない。

3.情報は分類できない
分類とは思想である。
思想によって分類は変わる。思想が変われば分類は変わる。

これが情報とモノとの違いだ。モノは分類しないと取り出せない。
スーパーマーケットでミカンとボールペンを同じ場所に置いたら、客はどこに行っていいかわからない。
情報はこれと違う。

もう一つの問題:通常、1つの文書は 複数の属性を持っている。
コウモリは空を飛ぶから、鳥と同じグループだ。他方で哺乳類でもある。
では、コウモリは「空飛ぶ動物」に分類すべきか、哺乳類に分類すべきか?
「ある文書が複数の属性を持っているなら、いくつもコピーを作って複数のフォルダに入れよ」といっている人がいた。
冗談ではない。そんなことはやっていられない。

4.押し出しファイリングの思想
分類のために整理しているのではない
この答えが、「押し出しファイリング
使っていないものを自動的に見いだす仕組み。最初は面倒だから左に置いたのだが、重要な意味があることがすぐに分かった。
モットー:分類するな。ひたすら並べよ。

5.キャッシュメモリの設計
同じ頃、コンピュータサイエンテストも、キャッシュメモリの設計に関して同じ問題を考えていた。到達した結論も同じ。Move-to-Front (MTF)法 。
ブライアン・クリスチャン、トム・ グリフィス、『アルゴリズム思考術』(早川書房、2016年)。

6.フォルダで分類もある
もっとも、全く分類していないわけではない。例えば、書籍の執筆中、各章の原稿や資料は、PCのフォルダにまとめてある。連載原稿は雑誌でフォルダで分類している。これらの分類項目は固定していて変わらない。
しかし、これが後で役に立つか。作業中は役に立つ。しかし、後ではあまり役に立たない。どの原稿が当該のものかを忘れてしまうからだ。



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