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『中国が世界を攪乱する』:目次

中国が世界を攪乱する』が東洋経済新報社から刊行されます。

4/29~5/6の期間、Kindleで全文無料公開中です!

・5/7(木)~5/20(水)電子書籍版の先行販売(3割引)
・5月22日(金)に全国の書店で発売します。

これは、目次全文公開です。

目次


第Ⅰ部 米中経済戦争の進展
【第1章】新型コロナウイルスは経済活動をどの程度落ち込ませるか?
1│リーマン・ショック以来の経済危機
国際機関などの対応/中国の経済活動が大きく落ち込んでいる/中国の影響力は大きくなっている

2│世界銀行による分析
感染が拡大しなければ「マイルド」よりやや軽微/供給面でなく、需要面で問題が生じる/施策は慎重に行われる必要がある/補てんは公平に行われなければならない/アンケート調査の結果/給与所得者と自営業やフリーランスの差

3│コロナウイルスの影響──OECDによる予測
2020年に世界GDPが0・5%落ち込むが、21年に長期的趨勢を取り戻す/ドミノシナリオ/スペイン風邪の場合、死亡者が7000万人でGDPはマイナス3%/事態は予断を許さない


【第2章】米中の制裁関税で大きく落ち込む貿易
1│米中貿易戦争
関税戦争の勃発/米中間の貿易が大きく落ち込む/日本の輸出も減少

2│貿易戦争の経済への影響
輸出依存度が高い中国は高関税に弱い/中国鉱工業生産の伸びが低下/中国輸出業者が関税を負担?/外資の生産拠点が中国から東南アジアへ/アメリカ経済は大きな影響を受けていない/対中輸出減で日本の製造業も悪化


【第3章】複雑化した政策対応
1│2019年夏に米中貿易戦争が激化
単なるアメリカ産業復活策ではない/自国が被害を受けても中国を叩く/米中両国の経済に悪影響

2│金融市場の動揺
リスクオフ志向が強まった/元安が進んだ/対応に苦慮した各国政策当局/貿易交渉の第1段階合意

【第4章】米中ハイテク戦争
1│中国ハイテク企業に対する制裁措置の始まり
国防権限法でファーウェイ排除/ファーウェイCFOの逮捕

2│2019年5月以降、ファーウェイ叩きが加速
ファーウェイをエンティティー・リストに追加/ファーウェイの締め出し/ファーウェイ叩きの根底にあるもの/中国はレアアースの輸出禁止で対抗

3│ファーウェイは生き延びられるか?
ファーウェイとはどんな会社か/独自プラットフォームを立ち上げ

4│5Gや衛星でのハイテク戦争
5G分野における中国の成長/衛星測位の「北斗」や「一帯一路」/中国はグリーンランドにまで手を伸ばす

【第5章】リブラ vs. デジタル人民元

1│リブラ・ショック
直ちに形成されたリブラ包囲網/歴史に残る愚かな対応

2│デジタル人民元ショック
中国の危機感には理由がある/デジタル人民元の開発を加速化/ホールセール型か、リテイル型か/国民のプライバシーを奪うデジタル人民元

3│電子マネーでなく仮想通貨であることの意味
仮想通貨は電子マネーとどこが違うのか?/価格安定化は容易ではない/中国外で用いられる可能性/日本で使われる可能性もある/海外への送金には圧倒的に便利

4│アメリカの腰が引けているのはなぜか?
欧州中銀には危機感/アメリカの不思議な態度/自由と規律のどちらをとるか?

【第6章】アメリカでは危機感拡大、日本は危機感欠如
1│アメリカの危機感
ペンス演説が強めた危機感/大統領が関税率を変更できる

2│中国の躍進
中国ITは目覚ましく成長/基礎的な科学技術力の向上

3│日本の危機感の欠如
中国とのGDP比が1・4倍から2・5倍に拡大/日本産業の劣化/2040年代に中国は日本より豊かな国になる可能性も/出稼ぎ労働の方向が逆転する?/豊かさの逆転で日本国内の生活が攪乱される/支配されないためには強い経済力を持つ必要


第Ⅱ部 長い停滞から脱し、世界の工場からIT先進国へ
【第7章】なぜ中国は長期停滞に陥ったか?
1│世界最先進国だった中国は、明の時代から長期停滞へ
明の時代に成長が止まった/鄭和大航海の壮大さ/鄭和大航海の目的は何だったか?/権力争いで対外政策が二転三転/リスクに挑戦する仕組みがあるか?

2│近代史に見る「株式会社」の重要性
株式会社の成長こそが発展の本質/中世末期のイタリアで発明された会社組織/株式会社によってヨーロッパの世界支配が可能に/中国には株式会社が生まれる社会的基盤がなかった/ヨーロッパ型国家の原型はローマ共和国/いま起きていることがなぜ重要か?


【第8章】長期停滞から脱して世界の工場へ
1│中国は「長い長い停滞」の後、いかにして大転換を遂げたか
他国とのどうしようもない実力差/中華人民共和国は官僚帝国/文化大革命後、「改革開放」に大きく舵を切った/国営企業を改革し、株式会社を作る/重要企業が誕生した1980年代/1990年代、ようやく本格的な成長へ

2│なぜ中国共産党だけが生き残ったのか? 天安門事件と中国の本質

なぜ中国共産党は生き残ったのか?/天安門事件に見る中国の本質/市民は軍に立ち向かった/鄧の基本的な考えは国家の威信回復/人民解放軍が国民に実弾を放つ/中国は「異質の国家」であり続けるのか?

3│1992年の南巡講話で「社会主義市場経済」を導入
「社会主義市場経済」路線で社会主義に決別/「世界史上最大の創造的破壊」だった国営企業改革/「海の中国」に住む華僑が成長資金を供給

4│世界の工場へ
農民工が支えた製造業の急成長/貧困工場、陰の工場/賃金が上昇すると「中国の時代」は終わるのか?/常識を超えたフォックスコンの巨大工場/水平分業が世界を変えた/リーマン・ショックで壊滅的打撃/4兆元対策で危機を克服

【第9章】アリババの大躍進
1│さえない英語教師が考えた、落ちこぼれの起業術
中国に生まれた世界最先端企業/中国の輸出業者に可能性を開いた/タオバオ、Tmallの設立/積極的にリスクをとる

2│強さの秘密は独自のビジネスモデル
中国のインターネット鎖国政策/eBayとは異なるタオバオの基本的発想/無料サービスで生産者と消費者を結び付けた/中国では原始的な取引しかできなかった

3│アリババ「独身の日」で4兆円の売上
イオンの半年分の売上を1日で達成/エスクローの導入で取引が拡大/電子マネー、アリペイの誕生/「二流のプロ集団が一流の仕事をしている」/ニューヨーク証券取引所に上場

第Ⅲ部 未来への驀進に危険はないか?
【第10章】信用スコアリングの光と陰
1│電子マネーの普及と金融包摂
中国では、電子マネーを使わなければ生活できない/電子マネーから得られる情報は極めて有用/信用スコアリングを用いた融資が成長/金融包摂の実現/比較にならぬほど遅れる日本

2│信用スコアの潜在的危険
利点もあるが危険もある/政府版の社会信用システム「百行征信」/便利さと管理社会化のどちらをとるか?/日本には管理社会の心配はないのか?

3│顔認証決済と監視社会の危険
顔認証決済ができる店舗が広がる/顔認証によるさまざまなメリット/警察に使われれば「超監視社会」が実現しないか?/日本の空港で導入するシステムとの違い

4│新しい情報技術の光と陰──中国は特殊か?
市場経済のインフラが未発達だった/ITによる市場の透明化が持った重要な意味/管理社会の危険/ビッグデータという新しい問題/中国はAIに適している社会なのか?/民主主義と市場経済の優位性は揺らぐのか?

【第11章】中国スタートアップ企業の目覚ましい躍進

1│成長を続ける中国フィンテック
フィンテックで中国は世界のトップに/世界のフィンテック投資の半分が中国で/融資や資金運用での新しいサービス/インシュアテックに乗り出した保険会社/フィンテックに対する規制が強まる

2│中国で独自のSNS社会が進展
インターネット規制で独自の発展/無視できないSNSの政治的側面/TikTokが起こした「動画革命」

3│ユニコーン大国となった中国
中国のユニコーン数はアメリカに次ぐ/バイトダンスの企業価値はトヨタの3分の1/AI分野にもユニコーン/中国に多数のユニコーン企業が誕生する理由/企業の資金調達はいかに行われるべきか

【第12章】中国の未来
1│「データ共産主義」が実現し、究極のデジタル独裁者が生まれるか?
『一九八四年』のビッグ・ブラザーは古い技術/AIを使えば大量の情報を処理できる/進行しつつある国民監視のシステム/社会信用システムで社会秩序を改善する/国民管理の道具になる危険/国と企業が密着しているから問題/「デジタル・レーニン主義」

2│「軍民融合体制」で増強された中国の軍事力
迎撃できない極超音速滑空ミサイル/軍事的脅威を重視するアメリカ/AIドローンの先端技術/「軍民融合体制」で進める、AIによる軍事革命

3│中国は覇権国家となりうるか?
覇権国の条件は寛容/ローマは寛容政策で強くなった/ローマの後継者はアメリカ/中国の「内なる寛容性」

4│未来の世界で覇権を握る国の条件は何か?
貧しい中国系移民の大成功物語/アメリカは寛容によって成長した/異質な体制の国家は変わりうるか?/ローマは非寛容になって衰退、アメリカや日本は?

【終章】コロナウイルスに見る中国国家体制の強さと弱さ
1│医師の警告を活かせなかった中国国家体制の重大な欠陥
無視された医師の警告/現場の情報を社会全体の行動にどう結び付けるか?/情報隠蔽に走った中国当局/言論統制強化か、言論自由化か?/人々のグローバルなつながりを拡大できないか?

2│カミュの『ペスト』が提起した問題こそ、最重要
カミュの『ペスト』がいまの日本と重なる/自分の職務を果たすこと/「ペスト菌」は、ナチズムの暗喩/コロナウイルスはいつかは終息するが……/管理国家だから封じ込められるのか?/プライバシーがなくとも、安全な管理社会の方がよいのか?/日本人は、中国型の「ハードな対応」を望んでいない

3│コロナウイルスが提起した本質的問題
国のあり方の基本が問われている/悪夢のような欧米の状況/医療制度の基本が問われている/EUは何もできなかった/日本は事態の深刻さにまだ気づいていない?/日本の株価対策は宇宙人向けのものか?



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